
ドイツ大統領、大戦犠牲者の追悼の際にロシアの対ウクライナ侵略を喚起
シュタインマイヤー大統領が独議会の終戦・欧州解放80周年の特別会合の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
シュタインマイヤー氏は、ロシアがウクライナに対する侵略を「ネオナチ政権との戦い」などと喧伝していることに関して、「ウクライナに対する戦争は、ファシズムとの戦いの延長では決してない」と述べ、「プーチンの侵略戦争、彼の自由で民主的な国への(侵攻)行為は、第二次世界大戦のナチスの暴政に対する戦いとは全く共通項がない。それは歴史の嘘だ。帝国的狂気、深刻な不正義、最も重大な犯罪を覆い隠す偽装に過ぎない!」と発言した。

写真:オリハ・タナシーチューク/ウクルインフォルム
また同氏は、ドイツは現在のクレムリンによる歴史の嘘に断固として反対しており、明日(5月9日)のモスクワの戦勝記念日で再び述べられたとしても反対すると発言した。
さらに同氏は、「特別な5月8日でさえも、私たちは、ウクライナの自由と民主主義と主権のための戦いにおける同国を支えている。ウクライナを武器なしで無防備にしてしまうことは、5月8日の教訓の放棄を意味するのだ!」と強調した。
同氏は加えて、80年を経た今日、ドイツは、全力と多くの犠牲をもってナチス体制を打倒したことに対し、連合国の兵士たちと欧州のレジスタンス運動に深い感謝を表明すると述べた。その際感謝は、米国人、英国人、フランス人、そしてナチスの恐怖に立ち向かった全ての人々に対して述べられた。
同時に同氏は、ドイツ人はまた、ソ連の赤軍が果たした役割にも言及し、ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人、その他の戦った全ての人々知っており、決してそれを忘れないとしつつも、だからこそ、現在のクレムリンのナラティブに寛容になるわけにはいかないとも強調した。
また同氏は、「私たちは皆、5月8日の子どもだ。5月8日、私たちは解放されたのだ」と彼は強調した。
その他同氏は、現在の平和と自由への脅威はロシアだけから来ているわけではないとも指摘した。その際同氏は、現在起きていることは「ロシアの侵略戦争と、アメリカの価値の崩壊という、二重の歴史的断絶」に他ならないと述べ、世界最古の民主主義国家ですら、司法制度の無視、権力分立の破壊、学問の自由への攻撃によって、いかに脅かされ得るかを、皆が目の当たりにしていると述べた。
同氏はまた、欧州でも権威主義やポピュリズムへの誘惑が再び勢いを増し、民主主義に関する疑念が生じていると指摘した。そして同氏は、自身の観察により、ドイツでも、極端な勢力が力を増しており、民主的制度やその代表者を嘲笑し、人々の恐怖で遊び、互いに敵対させていると発言した。
その上で、同氏は、全力を尽くして民主主義を守り続けるよう呼びかけた。