
もしロシアがウクライナを支配できなければ、ロシアは「モスクワ国」に成り下がる=スウェーデン研究者
ヘドルンド教授がストックホルムで開かれたフェスティバル「ウクライナの春」のオープニング時の公開討論の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ヘドルンド教授は、ロシア人は今ある姿のウクライナや、アイデンティティやネイションとしての「ウクライナ人」を抹消したがっていると主張した。その際ヘドルンド氏は、「これは、私が知る限り、完全に文化的問題によって生じた最初の戦争である。モスクワの政権、ロシア人一般の理解では、彼らがキーウを支配できなければ、ロシアは存在しなくなる。帝国としてのロシアは消滅する。この問題ははるかに深淵だ。モスクワがキーウを支配できない場合、ロシアはモスクワ国に成り下がる。イワン4世のモスクワ国にだ。そして、ロシア人にとってそれがあまりに酷いことであるがために、彼らはあらゆることを行う準備があるのだ」と発言した。
また同氏は、「ロシア」という名前が使われ始めたのは、ピョートル1世の時代になってからで、帝国が建設され出した時だと指摘した。
同氏は、「ヴォルテールがかつてスウェーデン王カール12世の本を書いた時、『モスコヴィー』という概念を使っていた。彼は、ウクライナは常に自由になりたがっていたと指摘している。ロシア人が、ウクライナの言語や文化、ウクライナ史が存在することを認めざるを得なくなれば、ロシアは消滅する。そしてそれは、彼らが決して諦めないことを物語っている。彼らは、生きたロシア人が2人になるまで、この戦争を続けていくだろう」と主張した。
同氏はさらに、この戦争に罪があるのがプーチンだけだと考えるのはナイーヴだと指摘し、「プーチンがロシアを作ったのではなく、ロシアがプーチンを作り出したのだ。彼は、彼らが『ロシア』と名付ける文化の産物である。彼らは、ウクライナ人もその文化を自分のものとして受け入れなければならないと主張している。もしプーチンが死ねば、様々なおかしなことが生じるだろう。人々がモスクワの窓から落下し続けるかもしれない。しかし、彼らはウクライナに対する自らの態度を変えない。それは、数百年さかのぼることだ。ロシア人は、ウクライナの降伏がなく、『ウクライナ人は存在しない』『ウクライナ語は存在しない』『ウクライナ文化は存在しない』『ウクライナ的なものなど何もない』という承認がない限り止まらない。それが『和平』という概念に込められている」と発言した。
写真:ミカエル・カルリン