日本ではウクライナとロシアを以前より区別するようになった=調査発表
外交シンクタンク「ウクライナ・プリズム」のセルヒー・ヘラシムチューク副事務所長が調査結果「日本におけるウクライナの認識」を発表した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ヘラシムチューク氏は、調査の結果、日本においてウクライナのことはほとんど知られておらず、地図上のどこにウクライナがあるかを知らない人もいることがわかったと指摘した。また、日本では、ウクライナがロシアの文脈で受け止められることが多く、料理などの分野を含め、ロシアと関連づけられることが多いと説明された。
同時に同氏は、2014年、ドンバスで戦争が始まって以降、日本におけるウクライナの認識を巡る状況は若干変わってきていると指摘した。同氏は、「言うまでもなく、日本の報道機関は、ウクライナの情勢展開へより多くの注意を向けるようになった。つまり、戦争という事実が、逆説的だが、日本におけるウクライナの認識の面では、私たちにとって肯定的な影響を及ぼしているのである。つまり、ウクライナがロシア連邦やソ連と区別され、別個のものとして受け止められ始めているのだ」と発言した。
他方で、同氏は、ウクライナにおけるロシアの侵略戦争は、日本の人々がウクライナを考える際に「危ない」「不安定」というイメージを連想させるという、別の問題を生み出していると指摘した。
また、同氏は、日本の人々は、ストーリーの中に希望を感じられるものを好むとし、ウクライナのイメージを日本で展開する際には、否定的側面や問題に焦点を当てるのではなく、肯定的なメッセージを作り出したほうが良いとの見方を示した。その上で同氏は、「肯定的な連想とは、何世紀も続くウクライナの歴史や、面白い文化、美しい自然といったものだ。特に日本の人々はひまわり畑、リウネ州の愛のトンネル、ウクライナ料理、現代ファッションとしてのヴィシヴァンカ、オペラやバレエのような古典芸術、コサックといったものを好む。コサックが好まれるのは、日本の武士と似ているからだ」と説明した。
今回の調査「日本におけるウクライナの認識」は、文化外交を担う「ウクライナ・インスティテュート」が国際財団「ルネッサンス」と共同で2020年に実施したもの。調査実施主体は、シンクタンク「ウクライナ・プリズム」と調査企業「インマインド」。調査は、ウクライナに関わる日本人や日本に関わるウクライナ人などに対してインタビュー形式で行われた。
調査結果(英語)は、以下のリンクからダウンロードできる。
写真:AA