ドイツ議会、ウクライナへの戦車提供の可否巡り激論も、支持に至らず

ドイツ議会、ウクライナへの戦車提供の可否巡り激論も、支持に至らず

ウクルインフォルム
ドイツ議会は19日、保守系野党会派CDU/CSUが、ウクライナに対して戦車レオパルド1とレオパルド2の提供を提案するも、賛成票が過半数に達しなかった。

同提案を巡る、独議会全ての会派が激しい議論を交わすも、議論の末、結論は出ず、本件を外務委員会へ送り、再協議することに全ての会派が同意した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

審議の際には、CDU/CSUの他、与党3党会派が、ウクライナに対する武器提供継続を支持した。反対したのは、極右のAfDと左派党の2会派。

CDU/CSU共同会派のD.ヴァデフル副会派長は、ショルツ独首相に対して、ロシアのウクライナに対する今年春の大規模侵攻の脅威を受けて、「好い加減に主力戦車レオパルドの供給に青信号を出すよう」要請した。ヴェデフル氏は、独議会は昨年春の時点で、ウクライナに対して重火器提供の支持を決めていたと喚起した。

同氏はさらに、「重火器とは、戦車だ」と述べ、ドイツの防衛産業倉庫には、約200両の古いながらも良い状態の戦車レオパルド1が200両あり、それはすぐにでもウクライナに提供できると指摘した。また同氏は、ポーランド、スペイン、フィンランドがレオパルド2の提供の準備ができていることを考えれば、「ドイツは単独では行動しない」という説明にはもはや根拠がなく、ドイツはNATO同盟国間の「足かせ」になっていると指摘した。

同会派の外政専門家であるJ.ハート氏は、「私たちは時間を失った。もしかしたら、私たちは遅れてしまったのかもしれない。私たちがレオパルド提供に同意し、人員訓練を5月に行っていたら、現状は違ったものとなっていただろう」と発言した。

与党社会民主党会派のD.ニタン副会派長は、「ウクライナはロシア人の支配している領土を取り戻し、戦争に勝てる能力を得なければならない」とし、そのためにはウクライナには「主力戦車が必要だ」と発言した。同氏は、その際、20日のラムシュタイン会合(ウクライナ防衛支援コンタクトグループ会合)にて、「重要な決定」が下される可能性は排除されないと指摘した。

同じく社会民主党のJ.ヴァインガテン氏は、ロシア首脳陣はウクライナを破滅させ、地図から抹消したがっているとし、塹壕戦はより多くの地域の完全な破壊をもたらすと指摘した。同氏は、「私たちは、ウクライナが負けないようにあらゆることを行う。私たちの対ウクライナ支援にレッドラインは一切ない」と発言した。さらに同氏は、戦車提供の決定は社民党にとって容易ではないとしつつ、しかし、ロシアが侵略政策を断念するつもりがないことを考えれば、他の出口はないのかもしれないと指摘した。同氏は、「議会内の民主的多数派は、ウクライナが侵略国ロシアに勝利することを望んでおり、その勝利とは、ウクライナがすでに達成している政治的かつ倫理的勝利だけではなく、軍事的な勝利のことも指している」と発言した。同時に同氏は、軍事的側面と並行し、外交的な戦争終結手段の模索も必要だと主張しつつ、他方で、和平は強制されてはならないとし、そのようなことを看過しないために、ドイツは武器を提供しているのだと指摘した。

与党緑の党のA.ブルッガー議員は、同党は戦車提供を支持しているが、本件は与党内での合意にまだ達していないと指摘した。同氏は、歩兵戦闘車マルダー40台の提供は、正しい方向への一歩であると述べた上で、次の一歩は主力戦車の提供となるべきだと発言した。加えて同氏は、「ウクライナは緊急に現代的戦車を必要としている」と述べ、その他の国がその装備(独製戦車)をウクライナに提供することへの許可を出さないことの根拠はないと思うと指摘した。

別の緑の党の議員であるR.ワグナー氏は、プーチン露大統領が戦争をより残虐かつ破壊的にすることを決め、堂々とさらなる侵攻への準備を進めている中で、「戦車はそれ自体が目的なのではない。それは不可欠なものなのだ」と指摘した。また同氏は、「私たちが人々を救いたいのであれば、私たちは彼らにあらゆる必要な装備を提供せねばならない。歩兵戦闘車マルダーと戦車レオパルドは、一緒に送られるべきだ」と発言した。

与党の自由民主党もまた、戦車レオパルド提供を支持している。同党の最も積極的な支持者である、国防委員会のM.シュトラク=ツィマーマン議員は、ショルツ首相が独製戦車提供に抵抗することで、欧州を分断する危険を警告した。同議員は、ウクライナへの軍事支援の強化と、プーチン露大統領に対して、「私たちのシステムの破壊を望む者は皆、あらゆる民主的国家と事を構えることになる」という明確なシグナルを送るべきだと主張した。

自由民主党のA.ミュラー議員は、あらゆる代償を払ってでも停戦に向かうべきだと呼びかけることは間違っているばかりか、危険でもあるとし、その際、2014年の経験とミンスク諸合意について喚起した。同議員は、「私は、プーチン氏が自分のやり方では何ももたらさず、血塗られた攻撃とネオ帝国主義は機能せず、世界の人々は団結しており、互いに支え合っているということを認識せざるを得なくなった時に、戦争は終わると強く確信している」と強調した。同議員はまた、ウクライナに武器提供支援を行う者が紛争をさらに焚き付けているという見方には同意しないと述べた。さらに同氏は、軍事産業に対して、時間を無駄にしないために、戦車提供の決定が下される前に、現存する戦車の修理を始めるよう呼びかけた。

野党のCDU/CSU会派は、主力戦車レオパルドは、ウクライナに提供されねばならないと主張した。議員たちは、ドイツ政府に対して、産業界や第3国がレオパルド1とレオパルド2を輸出できる許可を与え、ドイツ軍の保有するレオパルド2の提供の準備を行うよう要請した。

なお、CDU/CSUはこれまで、6回以上重火器提供問題を独議会で提起しており、前回は、昨年9月だった。しかし、議会は、同提案を支持せず、毎回「再協議」を決定している。


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