「報復との主張は口実」=戦争研究所、6月2日の露軍によるウクライナへの大規模攻撃の目的を分析
戦争研究所(ISW)の6月2日付報告書に書かれている。
ISWは、クレムリンが6月1日から2日にかけて夜間の攻撃に薄っぺらい合法性の建前を与えようと、いくつかの正当化を試みていたと指摘している。とりわけプーチン氏が、攻撃前の6月1日に会議を開き、ロシアが占領するウクライナ東部ルハンシク州スタロビルシクにあるロシアの先端無人機技術センター「ルビコン」の本部に対する5月21〜22日のウクライナによる攻撃が、あたかも「民間施設を標的にしたもの」であるとの主張を繰り返し、ウクライナ当局に攻撃の責任を負わせるよう求めたことが喚起されている。
ロシアのペスコフ大統領報道官は、6月1日の会議の後、プーチン氏がスタロビリシクへの攻撃に関連してロシア軍に命令を下したと主張。翌6月2日、ロシア国防省は、ロシア軍がスタロビリシクへの攻撃への報復として6月1、2日の攻撃を実施したと主張し、ロシア軍が攻撃したとされる軍事及び防衛産業施設のリストを公表。ISWは、ロシアによる攻撃は民間及び重要インフラに甚大な被害を与えつつ、しかし、多くの民間人犠牲者ももたらしたことを喚起している。
報告書では、「ロシアによるクラスター弾の使用、救助隊員を標的にした二重のミサイル攻撃(編集注:ダブルタップ攻撃)の実施は、民間人の犠牲を最大化し、民間インフラを破壊することを目的としたロシアの攻撃パターンを実証し続けている。プーチン氏は、ウクライナの戦闘意志を挫くため、またロシアの首都を含むロシア領内をウクライナの長射程攻撃から守る能力の欠如といった自国の弱さを隠すために、キーウへの大規模な攻撃パッケージを利用している。同氏はまた、5月9日の戦勝記念日のパレードを大幅に縮小して開催するため、ウクライナに許可を求めなければならなかったという屈辱から立ち直ることも目指している」と分析されている。
6月1日から2日の攻撃はまた、5月9〜11日の停戦後にロシアによる攻撃が激化しているパターンの一部だという。ISWは、その停戦は、モスクワでの戦勝記念日の式典中にプーチン氏がウクライナに対して攻撃を控えるよう要請せざるを得なかったため、ロシアが自国の深部をウクライナの攻撃から守る能力がないことを浮き彫りにしていたと指摘している。
ISWはさらに、プーチン氏や他のロシア当局者は、停戦中にウクライナが深部を攻撃した場合、キーウ市の意思決定中枢部を攻撃すると脅していたが、ロシアはその後、キーウ市の民間人に不釣り合いな影響を与える攻撃を継続的に行うことで、停戦の精神を破っていると主張した。そしてISW、最近の攻撃が占領下のスタロビリシクへの単発の攻撃に対する「報復」だというロシアの主張は、ロシアがどのみちこれらの攻撃を行った可能性が非常に大きいという現実を隠蔽しようとする試みだと分析している。