ハンガリー選挙でオルバーン首相を支援するロシアの情報工作をFTが報道
フィナンシャル・タイムズ(FT)が、情報をに詳しい複数の関係者の話を元に報じた。
報道によれば、ロシアのクレムリンは、西側諸国の制裁対象となっているクレムリン系のメディアコンサルティング会社「ソーシャル・デザイン・エージェンシー」が策定した、オルバーン首相率いる与党「フィデス」を支援する計画を承認したという。この計画は、クレムリンが作り出したメッセージを、ハンガリーで影響力のある人物を通じてソーシャルメディア上に拡散させるというものだという。
昨年末にこの会社が作成したもので、FTが確認した企画案の中では、オルバーン首相がハンガリーの主権を維持し、世界のリーダーたちと肩を並べることができる唯一の候補者として位置付けられているという。また、「世界中に友人がいる強力なリーダー」であるオルバーン氏に対し、主な対抗馬であるマジャル氏のことは「外国からの支持がないブリュッセルの傀儡」として対比させる内容となっているという。
ハンガリーの世論調査でマジャル氏の政党「ティサ」がリードしている中、この計画は「ティサ」対する情報攻撃を想定したもの。計画の目的は、「ティサ」のことを「無能、敵意、秘密の計画」によって分裂した政党として描いた上で、その論争の対象となっている同党の代表者たちに注目を集め、また同党をEUの傀儡として提示することにあるという。
「ソーシャル・デザイン・エージェンシー」は、ロシアによるオープンな選挙介入がオルバーン首相にとって悪影響をもたらす可能性があることを考慮し、ハンガリー政府と直接は連絡を取っていないという。関係者によれば、この計画は仲介者を通じてハンガリーのインフルエンサーと連携することを想定したものだという。2月、同社はアイデアを求めてハンガリーのニュースやシンクタンクの報告書の分析を開始。コンテンツの拡散に利用できそうな約50人の親オルバーン派の人物や約30人の野党関係者を特定したという。
計画では、ロシアはオルバーン首相の政治的コンセプトを、プーチン氏のイメージから部分的に着想を得たものだと見なしているが、他方で、両者の直接的な関連付けは避けようとしている。その代わりに、計画ではオルバーン首相をトランプ米大統領の重要パートナーとして描き、両者の個人的な結びつきを誇示することで、トランプ氏こそがハンガリーにとって最高の希望であると主張することを目指しているという。
このキャンペーンは、あたかもハンガリーで生じたものに見えるよう工夫されているという。特に、ロシアで制作され、ハンガリーの現実に合わせて調整されたミーム、インフォグラフィック、動画、メッセージの作成が想定されている。
FTは、このロシアの計画は、ウクライナとオルバーン政権の間の対立激化と時期が重なっているとし、過去数日、ハンガリーのソーシャルメディア上では反ウクライナ的なナラティブが急激に拡散したことを指摘している。先週、ハンガリー当局が現金と金を運んでいたウクライナ国民を拘束し、その後に釈放したというニュースは、親オルバーン派のタブロイド紙「リポスト.hu」のルポ記事において、犯人とされる人物や盗まれた財産を捏造した画像と共に伝えられていた。フェイスブックにおけるこの投稿は数日間で13万件の反応を集めたが、その大半は外国のユーザーによるものであり、ハンガリーのソーシャルメディア上では異例の傾向となっている。
ロシアは、ハンガリー議会選挙への介入に関する報道についてコメントし、全てを否定している。ハンガリー政府もまた、ロシアの介入疑惑を否定し、それは「左派による偽りの非難」だとし、「オルバーン首相に対するゼレンシキー大統領の脅迫や、ハンガリー選挙に影響を与えようとするその他の試みから注意を逸らそうとする惨めな試みだ」と表明している。
その他、調査報道プロジェクト「Vsquare」もまた、欧州の国家安全保障当局の関係者の話として、クレムリンがロシア軍参謀本部情報総局(GRU)系の政治技術者グループに対し、2026年4月に実施予定のハンガリー選挙に介入し、影響を与えるよう命じたと伝えていた。