ウクライナ軍による中国兵拘束を「偽情報」だとする主張拡散

ウクライナ軍による中国兵拘束を「偽情報」だとする主張拡散

ファクトチェック
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ウクライナの親露議員のドゥビンシキー氏や、中国の偽ブロガーアカウントが、ウクライナ軍が中国国籍の兵士を拘束したことに関する偽情報を拡散した。

執筆:アンドリー・オレーニン

4月8日にゼレンシキー宇大統領は、ウクライナ軍人がドネツィク方面でロシア軍側で戦っていた中国国籍者2名を拘束したと発表。ゼレンシキー氏は、その際、拘束された中国国籍者の内の1人の動画も公開した。

その後、ロシアによる拘束の事実を隠蔽する、ないしは、ゼレンシキー氏の公開した動画を「ウクライナによる情報心理作戦」だと思わせようとする偽情報の拡散が始まった。

まず、ロシアのメディアや、ウクライナの反逆者ヴィクトル・メドヴェチュークのメディアグループ親露Zレグラム・チャンネルなどが、動画に写っているのは中国国籍者ではなく、俳優だとか、「中国系米国人」だなどと投稿し始めた。その「証拠」として、ロシア人たちは、公開された動画のファイル名が「0804_Korean_Soldier 2」となっていることを指摘した。彼らは、ウクライナ大統領府の職員は、最初拘束された朝鮮人の動画を作ろうとしたため、間違いを犯したのだと主張した。

その後、ロシアのプロパガンダメディアは、ロシア軍に加わった中国国籍者の拘束については、ウクライナ最高会議(国会)でも否定されたと伝えた。

しかし、ウクライナ議会でその「情報」を発信していたというのは、現在ロシアに利する国会反逆罪容疑により拘置所で拘束されているオレクサンドル・ドゥビンシキー議員である。

これらは、偽情報である。ゼレンシキー大統領がテレグラム・チャンネルに投稿した動画の元のファイル名は、「0804.mp4」である。

ドゥビンシキー議員は、その動画を大統領の公式テレビグラム・チャンネルからダウンロードしたのではなく、ニュースアカウント「ラチェン・ピーシェ」からダウンロードして、それを「証拠」とみなしたのであろう。そのアカウントでは、拡散された動画のファイル名が「0804_Korean_Soldier 2」となっている。同時に、そのテレグラム・チャンネルの運営者であるブロガーのイーホル・ラチェンコウ氏は、投稿にて、動画に写っているのは、朝鮮兵ではなく、中国兵だと書いている。

なお、ゼレンシキー大統領のチャンネルに動画が投稿されたのは15時19分、ラチェンコウ氏のアカウントに投稿されたのは、その少し後となる15時21分である。

このように、ロシアのプロパガンディストたちは、ニュースチャンネルからダウンロードして拡散したファイル名を根拠に、印象操作を行い、偽情報を作り出したのである。

ドゥビンシキー氏もまた、自身の投稿で、あたかも「ウクライナのフェイクはワシントンでも笑われている」と書き込んでいる。同氏は、その証拠として、ソーシャルメディア「X」におけるアカウント「Lord Bebo」がドゥビンシキー氏の投稿を拡散したことを挙げている。しかし、そのアカウントは、ロシアのプロパガンダを拡散しながら、匿名の米国ジャーナリストを装っているボットである

アメリカの声によるアカウント「Lord Bebo」解説記事
「アメリカの声」によるアカウント「Lord Bebo」解説記事のスクリーンショット

同時に、トランプ政権は、ロシアが対ウクライナ戦争において自国軍に北朝鮮兵だけでなく、中国国民を加えていることにつき懸念を表明している。

また、ロシア・プロパガンディストは、ソーシャルメディア「微博」にて、「地球鏡頭A」というアカウント名の「権威ある」中国のブロガーも引用している。同アカウントは、ゼレンシキー大統領の発表を「ごみ」だとし、中国に新しい敵を見つけ出そうとするものだと指摘している。

しかし、これもまた、中国のソーシャルメディアでウクライナに関する偽情報を拡散するために使っている親露Zブロガーである。

この微博のアカウントには、ロシア・ウクライナ戦争についてロシア側からの見方のみが示されている。そこで主に公開されているのは、通常親露Zテレグラム・チャンネルで公開されている戦闘の動画や、ウクライナに関する偽情報である。

また、「地球鏡頭A」のプロフィール画像に注目しよう。これは、ロシアのプロパガンダプロジェクト「個人的な写真クロニクル アナトリー・レビジ」の画像を切り抜いたものである。同プロジェクトは、チェチェンで戦い、ジョージア占領に参加したロシアのテロリストに関するものであるが、本人は2012年に交通事故で死んでいる。

ウクルインフォルムのファクトチェッカーは、これまでにもこのプロパガンディストが拡散したウクライナに関する偽情報を否定してきた。その際、「地球鏡頭A」は、ゼレンシキー氏があたかもTikTok、Douyinといった中国のソーシャルメディアに登録しようとしたが、アカウントが削除されたなどと投稿していた。

ロシアは、偽情報にて、他国の国民を対ウクライナ戦争へ参加させている事実を隠そうとした。

これに対して、中国政府は、拘束された中国国民の情報をウクライナ側に確認しているところだと表明している


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