戦争を公正な終結へ向かわせるためにはパートナー国の強力な決定が必要=ゼレンシキー宇大統領
ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージの際に発言した。
ゼレンシキー氏は、「今週、パートナー国との関係で本当に結果が出るように作業をしている。私は今日、大統領府と外務省の外交チームと会議を開いた。この戦争を公正な終結に向かわせることを可能とする、パートナー国の強力な決定が必要だ。私は、然るべきリーダーシップを示している人一人一人に感謝している」と発言した。
また同氏は、国際司法がロシアの現在の戦争犯罪に関する裁判や10年前のドネツィク州上空におけるマレーシア航空機撃墜に関する裁判で公正な判決をもたらすだろうと強調した。
その際同氏は、「今日は、ウクライナの空で旅客機MH17便がロシア占領軍に破壊された日から10年目である。マレーシア航空のボーイングであり、そこには298名が乗っていた。内80名は児童だった。これまでにその犯罪の状況、なぜそれが起き得たのか、誰がその実現を可能にしたのかを完全に明らかにすることに成功している。そして、裁判と国際司法の作業全体が、その犯罪の犯人一人一人について完全に公正な判決を必ず導くことに、疑いはない。そして、それこそが必要なことである」と発言した。
加えて同氏は、どれだけの努力が必要だろうと、その悪をもたらした者全員の責任が追及されねばならず、ロシアの他の何千という戦争犯罪、侵略そのものも同様だと強調した。
その上で同氏は、「その全てのことの後、信頼できる平和は、侵略で苦しんだ人々の正義で満たされた感覚にのみもとづいて生じ得るのだ。正義のために活動しているウクライナの人々、正義に関する問題にて、多くの点でリーダーであるオランダをはじめ、私たちを世界で助けてくれている全ての人、ロシアの悪を正気に戻し、モスクワに不処罰の感覚を与えないように支援してくれている全ての人に感謝している。ロシアに命を奪われた全ての人に、光と永遠の記憶あれ」と強調した。
なお、マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。
同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。
2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。
2022年11月17日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて開かれたMH17便撃墜事件裁判にて、4名の被告の内、イーゴリ・ギルキン氏(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校)、セルゲイ・ドゥビンスキー氏(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、レオニード・ハルチェンコ氏(ウクライナ国籍)に対して有罪判決が言い渡されている。