ゼレンシキー宇大統領、EUにモルドバ支援を要請「同国を失ってはならない」
ウクライナのゼレンシキー大統領は24日、欧州連合(EU)に対し、モルドバにてジョージアやベラルーシの時と同様のシナリオが繰り返されることのないよう、モルドバを支援するよう要請した。
ゼレンシキー宇大統領が国連総会での演説の際に発言した。
ゼレンシキー氏は、「世界がかつてロシアによる攻撃後にジョージアを助ける必要性を無視したり、ベラルーシの機が失われたりしたことを、覚えておくことが重要だ。同じ形でモルドバを失ってはならない。欧州にとっては、モルドバの安定を支えることは高価ではない。しかしながら、行動しなければ、その代償ははるかに高くつくことになる。だからこそ、EUは今、言葉や政治的ジェスチャーだけでなく、財政的、エネルギー的な支援でモルドバを助けるべきだ」と訴えた。
また同氏は、現在、ロシアによるモルドバへの影響力を取り戻そうとする試みに対する国際社会のの対応は不十分だと主張した。
同氏はその際、「モルドバは再びロシアの干渉から自国を守っている。私たちはモルドバを助けている。かつてイランがレバノンに対して行なったことを、ロシアはモルドバに対して行おうとしている。世界の反応は? またしても不十分なのだ」と強調した。
なお、モルドバでは、9月28日に議会選挙の投票日を迎える。
同選挙に関して、モルドバのサンドゥ大統領の安全保障担当補佐官を務めるスタニスラフ・セクリエル氏は8月上旬に、選挙への介入の試みとして、ロシアがモルドバ国外の欧州各地で暮らすモルドバ国民を対象として偽情報拡散を活発化していると発言していた。
日本の石破首相は今月1日、モルドバのレチェアン首相と会談し、同国で今月28日に投票の実施が予定されている議会選挙の情勢などにつき協議し、その際、双方は、「同選挙の民主的な実施が地域や国際社会の安定にとって重要であるとの認識で一致」していた。
7月には、モルドバ首都キシナウで第1回欧州連合(EU)・モルドバ首脳会議が開催され、その際に採択された共同宣言では、ロシアによるモルドバの選挙への介入の試みに特に注意が払われていた。
同共同宣言には、「モルドバの未来は、外部圧力、外国からの干渉、印象操作なしに、モルドバ国民によって自由かつ民主的に決定されねばならない。私たちは、モルドバの民主的な選挙を破綻させることを目的とした、ロシアによる恒常的かつ増大するハイブリッド脅威、情報環境への操作と干渉、そして現地の仲介者を通じた大規模な選挙不正スキームの利用を断固として非難する」と書かれている。
モルドバのヴォデ政府報道官は9月9日、レチェアン同国首相の姿で、議会選挙前にガス料金の値下げを約束するディープフェイク動画が拡散されていると警告していた。
写真:国連