ゼレンシキー宇大統領、自身提出の汚職対策機関権限回復法案にコメント

ウクライナのゼレンシキー大統領は24日、汚職対策機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」の縮小された権限を回復する法案を最高会議(国会)に提出する決定は、戦時下において社会の団結を失ってはならないという必要性から生じたものだと発言した。

ゼレンシキー大統領が記者団とのやり取りの際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

記者から、NABUとSAPに関する新しい法案を最高会議に提出する必要性は何によって生じたのかと質問されると、ゼレンシキー氏は、「私たちは皆人々の声を聞かねばならない。私は、それが最も重要だと思っている。なぜなら、主要な挑戦は、戦争だからだ。そして、この戦争において最も重要なことは、私たちの国の団結だからだ。そして、とても重要なことは団結を失わないことだ。人々の声を聞くこと、対話をすることなどだ」と発言した。

また同氏は、ウクライナには確かに独立した汚職対策機関が必要だと発言した。

同時に同氏は、「しかし、その際両機関は社会による正義の要請に応えねばならない。効果的に活動して、機構内で起きていることをコントロールしなければならない。もし立法によって定められた何らかの変化で、汚職対策機関の独立が失われるリスクがあるなら、それらリスクは除外されねばならない」と発言した。

同氏はさらに、新しい法案が採択された場合汚職対策機関は検事総長に従属しなくなると明言した。

そして同氏は、新しい法案はロシアの影響から汚職対策機関を守る新しい規範を含むと強調した。

同氏はその際、「同法案には、NABUの複数代表者のところで生じたようなケースのようなロシア連邦の影響からの防衛に関する新しい規範がある。汚職対策機関や、国家警察、国家捜査局といった法執行機関のロシアから、ロシアに親族がいる職員全員に対する嘘発見器(編集注:ポリグラフ)のことだ。2年に1回発見器を使う。全ての法執行機関職員と全ての汚職対策機関職員が同じ条件でなければならない」と指摘した。

また同氏は、「今最も重要なことは法案があることで、法案が(編集注:最高会議に)登録されていることだ」と発言した。

同氏は、「私は、それが投票されると思う。私は、そうあって欲しいと思っている」と強調した。

これに先立ち最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた

同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていた

同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した

キーウなどウクライナ各地では、連日最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求している

また、一部の最高会議議員は、同法の審査について憲法裁判所に申し立てをするために、議員の署名集めを行うと発表している

23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた

24日、ゼレンシキー大統領は、最高会議に両機関の権限を回復し、独立を確保する新しい法案第13533を提出。NABUとSAPは同日、ゼレンシキー大統領が提出した法案第13533は両機関の独立性のあらゆる保証を回復するものだと表明した