ウクライナ議会、多重国籍法を採択
ウクライナ最高会議(国会)は18日、多重国籍制の導入を可能とする法案(第11469「ウクライナ国籍取得・維持の権利実現確保」法案)を第二読会で採択した。
ジェレズニャク最高会議野党会派「声党」議員がテレグラム・チャンネルで報告した。
同法案に賛成した最高会議議員は243名(過半数は226)。政党会派・グループ別の賛成票は以下のとおり。
与党
人民奉仕者党 172
野党
欧州連帯党 9
生活・平和プラットフォーム 13
声党 12
ウクライナ再生 12
未来 7
信頼 15
祖国党 0
その他、反対19、棄権9、無投票34だった。
また、公開されている法案解説文によれば、同法の目的と課題は、国家安全保障とウクライナの国益を確保する必要性に鑑み、国籍に関する法的規制を刷新することにある。また、ウクライナ社会の統一を維持しつつ、ロシア連邦による武力侵略に起因する人口動態上の危機の負の側面を軽減することも目的となっている。
同法はまた、ウクライナの国籍取得手続きの簡素化、および、ウクライナの法律で定められた手続きに従って契約により軍務に就いている、あるいは就いていた外国人および無国籍者、またはその配偶者や子どもの法的地位の規制を補完することも目的としている。
この法律は、ウクライナ国民が他の国(ロシア連邦を除く)の国籍を保持する可能性を以下のとおり規定している。
・ウクライナ国籍を持つ両親の間に国外で生まれた場合
・ウクライナの児童が外国籍の国民に養子縁組された場合
・外国籍の国民と結婚した場合
・特定の国の国民のために規定されている簡易手続きで外国人がウクライナ市民権を取得する場合
・ウクライナ国民が、自国籍の国民がウクライナ市民権を簡易取得する権利を持つ国の市民権を取得する場合
さらに、同法では、ウクライナの安全保障・防衛戦力に契約で参加している軍人、その配偶者、子どもがウクライナ市民権を取得できることが定められている。
同時に戒厳令化、契約軍人に対しては、ウクライナ国内での1年間の継続的な居住義務が規定されている。
その他、他国の国民である民族的(エスニック)ウクライナ人も、希望する場合、ウクライナ国籍を取得できるようになるという。
さらに、「ウクライナへの顕著な功績」による国籍取得の機会も定められている。
ウクライナ国籍を取得しようとする外国人は、ウクライナ憲法、ウクライナの歴史、ウクライナ語の国家試験に合格する必要がある。
同時に、軍人の場合は、試験の受験時期を延期する権利を有する。
この法律はまた、簡易国籍取得手続きが定められている。それは、国籍取得時に、試験の受験を含め、自らをウクライナ国民であると認める旨の宣言を当該個人が提出することを含む。
簡易手続きでウクライナ国籍を取得できる国籍者は、ウクライナ内閣が決定することが規定されている。また、ウクライナ国籍が喪失する根拠も別途定められている。
これに先立ち、2024年1月22日、ウクライナのゼレンシキー大統領は22日、最高会議(国会)に多重国籍制の導入を可能とする法案を提出すると発表していた。