「ウクライナ人はずっとここにいる」=ゼレンシキー宇大統領、「国家性の日」に演説

「ウクライナ人はずっとここにいる」=ゼレンシキー宇大統領、「国家性の日」に演説

動画
ウクルインフォルム
ウクライナのゼレンシキー大統領は、7月15日の「ウクライナ国家性の日」に合わせて、国民に向けて演説を行った。

大統領府がゼレンシキー大統領の演説動画を公開した。ウクルインフォルムが全文を日本語に翻訳する。


親愛なるウクライナの皆さん!

7月15日、私たちは大切な日を迎える。私たちの国家性の日だ。

これは「キーウ・ルーシ=ウクライナ」の洗礼の日である。この日は、繋がりに関する日だ。私たちの国家建設のあらゆる段階に関する日であり、1000年前この地で暮らしていた人々から、今生きている人々まで、数十世代を1つにまとめる日だ。

時をまたぐ橋は、3つの揺るぎない支柱の上に立っている。それは、「ウクライナ人はここにいた」「ウクライナ人はここにいる」「ウクライナ人はこれからもここにいる」というものだ。

この大地では常に命が勝ち、価値観と私たちの気質が優勢となる。私たちの最善の部分は、戦争、涙、そして痛みの中でも、自らの人間性を保ち、互いを守り続けることであり、それはすなわち、自分たちの国家を守ることである。

そして、私たちの何千もの運命、何千ものストーリーがそれを証明している。乗り越えたことのストーリーであり、あなたが誰であろうと、兵士であろうと、教師であろうと、音楽家であろうと、無人機開発者であろうと、あるいは大統領であろうと関係なく、一人一人の心の中にあることについてのストーリーである。

それは、私たちの昼、夜、朝についてのストーリーだ。軍人が伝える「最前線の夜」の「ストーリー」だ(編集注:インスタグラムの動画投稿機能「ストーリー」とかけている)。「(敵が)攻めてくる。あらゆる方向から押し寄せてくる。耐えている。あなたたちも頑張ってくれ。平和な町への攻撃のニュースを読んでいる。何と言えばいいのだろう…。これは私たち皆の戦争だ。私たち皆に神が平和を与えてくださいますように。」

そして、その投稿を夜中に地下鉄駅で、幼い娘を腕に抱いた若い母親が読んでいる。幼い子は、周りのあらゆるものを注意深く見つめている。まるで全てを記憶したいかのように。いつか自分の子どもに、地下鉄でのこれらの夜のこと、人の精神のこの極みについて話すためかのように。

おじいさんが3人の孫のためにマットレスを膨らませ、毛布を丁寧にかぶせている。「おじいちゃん、漫画は?」と聞かれる。すると彼は、タブレットを取り出して、「もちろんあるぞ、コサックたちよ、漫画がなけりゃどうするんだ?」と答える。

そして近くでは、人々が寝袋に入り、固い床の上で体を休ませている。しかし、彼らの中には、この夜に勝って乗り越えるという、同じだけの「固い」決意がある。そして、そういった夜の間、プラットフォーム、駐車場、シェルター、廊下、浴室で、何十ものプッシュ通知によりスマホのあかりがつく。

「飛翔している」「防空が稼働」「シェルターに留まるように」

そして、私たちは留まり続けている。自分たちの国で、自分たちの大地で、ウクライナ人としてあり続け、陽が昇るのを見て、何があろうとも、互いに「おはよう!」と言うために。

そして、私たちはいつでも、そうなることを信じている。正にそうやって、何世紀にもわたって、ルーシでも、シーチでも、あらゆる時代に、どんな敵がどこから来ようとも、その敵はこの地には定着せず、ここに根を下ろせないし、ウクライナは常に自分であり続けている。

そして、朝は必ず訪れる。

そして、もう少し寝ていたいところを、あなたは力を振り絞って起き上がる。近しい人たちにメッセージを送り、全てが大丈夫だと知って、喜ぶ。そして、同じ軍人による「撃退した! 数時間は一息付ける」という投稿を読む。誰かが書く。「緊急で必要なものがある…」あなたは募金し、外に出かける。

この朝、町を、自分の町を歩きながら、周りにいる「自分の人」たちを目にする。人々の顔、そして、何があろうとも、命が映る彼らの目を見る。

何があろうとも、カフェは開店し、何があろうとも、交通機関が走っているのを目にする。

そして理解するのだ。「国」とは「人」なのだと。人の力、人の強靭性、人の真摯さ、人の輝きなのだと。

停留所で、渋滞の中で、朝のコーヒーを待つ行列で、人々は皆、数時間しか寝ていないために、少し緩慢だ。しかし、誰もがそのことをを知っており、隣にいる人たち、1238日間耐えているウクライナの人々に対して、理解と親切さを持って接している。

そして、私たちはそういう日々を共に乗り越えている。一緒に。行動と助けと支えでもって、互いに励ましながら。もちろん、時には冗談を言い合いながら。冗談がなけりゃやっていけない。

そして、清掃作業員のおばさんたちが公園で花を植えているところで、あなたはこんな会話を耳にする。「ロシア野郎なんて息を詰まらせてしまえば良い! 私たちは夏だ! 全部綺麗でないとね!」

そして、そういう一夜一夜が強靭性の夜であり、そういう朝が団結の朝である。何があろうと命は勝利するし、その時、私たちの本当の姿が映し出されるのだ。

私たちはパートナーたちからよく聞く。「あなたの国の人々は、どうやったらそんなことができるのだ? その頑丈さ、忍耐力、鉄の精神…」そして、彼らはこう言うのだ、「それはウクライナ国民の(特筆すべき)現象だ」と。

確かに、それは嬉しい言葉だ。ただし、今日、ウクライナ人はその言葉のため、私たちへの派手な美辞麗句のために耐えているのではない。私たちはただ、家、自分の家を守っているのであり、それ以外のことができないだけだ。なぜなら、他のことは望んでいないから。私たちは、ここにロシアがいることを望んでいない。それが真実の全貌だ。

そして、ウクライナが日々経験していることはいずれも、「日常」ではない。それは、あなた方が行っている偉業だ。前線の英雄、陣地を守る英雄、毎晩ミサイルや「シャヘド」を撃墜する英雄、火を消す英雄、瓦礫を片付ける英雄。そして、この苦しい時をずっと耐えている1人1人の国民も。

あなた方に感謝する。何百万のウクライナ人に。何百万の個性に。私たちの国家は、それによって構成されている。私たちの国民も。私たちの歴史も。「ルーシ=ウクライナ」の洗礼から今日、私たちの国家性の日までの道も。今日私たちが持ちこたえ、自らを信じ、ウクライナを信じ、「私たちにはできる」と信じることを助けてくれる、これまでの世代の経験への道も。

なぜなら、ウクライナ人はここにいたし、ウクライナ人はここにいるし、ウクライナ人はここにい続けるからだ。

親愛なる国民よ、国家性の日、おめでとう!

ルーシ=ウクライナの洗礼の日、おめでとう! 

ウクライナに栄光あれ!


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