欧州議会、露によるウクライナ周辺への軍集結や他国を「影響圏」に加える試み非難

欧州議会、露によるウクライナ周辺への軍集結や他国を「影響圏」に加える試み非難

ウクルインフォルム
欧州議会は16日、ウクライナ国境周辺と同国一時的被占領地の状況に関する決議を採択した。同決議は、ウクライナ周辺へのロシア軍集結を非難し、ロシアに対して、軍を撤退させるよう呼びかけている。

欧州議会ウェブサイトに決議全文が公開された

決議に賛成した議員は、548名。反対は69名、保留は54名だった。

欧州議会は、決議にて、ロシア連邦が再びウクライナとの国境付近や占領するクリミアに10万の兵力を集結させているとし、その規模は今年の春の集結時よりもさらに大きいと指摘した。

また、ミンスク諸合意が採択されてから6年(編集注:最初の2合意からは7年)、クリミアが違法に併合され、ウクライナにて戦争が開始してから7年が経っているとし、ロシア連邦がウクライナ東部の不安定化のためにいわゆる「ドネツィク・ルハンシク共和国」なる自らの支配下にある勢力を利用しており、その結果1万4000人以上の人がすでに亡くなっており、約200万人のウクライナ国民が避難民となっていると説明された。

決議にはまた、被占領下ウクライナ領での調達システムを簡素化するロシア大統領令など、ロシア政権が被占領地に関連して採択した違法な決定について説明されており、それらはロシアがウクライナからこれら占領地をさらに引き離そうとしていることを示すものであり、ミンスク諸合意に直接反するものだと指摘されている。

また、欧州議会は、ロシア大統領がウクライナの東方不拡大を書面で保証することを求めたことや、米露オンライン首脳会談の際にバイデン米大統領がロシアによるウクライナへの再侵攻の際の多大な結果と制裁について警告したことが喚起されている。

議員たちは、国際的に認められた国境内でのウクライナの独立、主権、領土一体性への支持を表明し、クリミア・セヴァストーポリの違法併合を承認しないというEUの堅固な立場を確認した。

さらに欧州議会は、ウクライナ周辺に集結する戦車や火砲を含むロシア軍の兵力が約10万となっており、また同時にロシアによる敵対的レトリックが劇的に高まっていることを指摘した。そして、このロシアの軍事集結は、欧州の平和、安定、安全にとっての脅威となっていると強調し、ロシアに対して、自らの国際義務を遵守するよう要請した。

議員たちは、ウクライナの人々との連帯を表明した上で、EUに対して、個別的・集団的自衛権を定める国連憲章第51条に従い、ウクライナとの間で、欧州友好国による防衛用武器供与を含む、安全保障分野の対話を深めるように要請した。また、議員たちは、2021年12月2日のEU理事会によるウクライナの防衛能力発展を目的とした3100万ユーロの支援パッケージ供与の決定を歓迎した。

決議ではまた、ロシアがウクライナ周辺の軍事集結を西側への圧力の手段へと利用していることが指摘されている。議員たちは、ロシアの目的は、ウクライナを犠牲にする政治的妥協を得ることだと説明した。これに対して、欧州議会は、全ての国が持つ加盟先同盟を選ぶ権利は他国の決定の対象となってはならないと強調し、ロシアによる隣国を「影響圏」に加えたり、隣国の将来を決めようとする試みを否定した。議員たちは、これら問題に関して西側が妥協することは、ロシアに「弱さの現れ」だと受け止められるのであり、妥協は侵略を激化させるだけだと指摘した。

議員たちは、現在のロシアの軍事集結は、EUやそのパートナー国に対する、混乱と悲しみを社会に撒き散らすことを目的とした、ハイブリッド戦争手段を含む広範な戦略の一部に過ぎないと強調した。また、ロシアがその目的のために、軍事、デジタル、エネルギー、偽情報といった手段で脅迫を行っていると指摘した。

決議には、EUはロシアに対して、敵対的軍事行動は受け入れられないだけでなく、高い経済的・政治的代償をもたらすという、非常に明確な計画を送る準備をすべきだと書かれている。

その他、決議には、EUのロシア産エネルギーからの依存を縮小するための速やかな行動が必要だと強調されており、同時にウクライナとの間では連合協定の一環でエネルギー面での連帯を強化する必要性が指摘されている。

また、EUに対して、ロシア初の出自の怪しい資金・投資へのコントロール強化や、資金洗浄対策のEU方の適用強化を可能とするグローバルな反汚職制裁メカニズムを構築することが提案されている。

対露制裁に関しては、議員たちは、EU機関に対して、制裁の脆弱な点を排除して、その効果を上げることで、ロシアにその敵対行為に対する真の代償を払わせるために、現在の制裁を分析するよう呼びかけている。

また議員たちは、EU各国首脳に対して、ロシアの行動により引き起こされている欧州の安全に対する脅威への対応手段を検討するよう、そしてEUの広範な対露戦略の作成に関する議論を継続するよう要請した。

同日、ウクライナのゼレンシキー大統領は、今回の欧州議会の決議採択につき、ツイッター・アカウントにて感謝のメッセージを伝えた。ゼレンシキー大統領は、「EUからウクライナへの強力な支持に感謝する。昨日は、東方パートナーシップ首脳会談だった。今日は、欧州議会によるウクライナ国境情勢の決議だ! ウクライナに対する軍事行動は、ロシア連邦にとって、高い経済的・政治的代償をもたらす。ウクライナの安全への脅威は、欧州の平和と安定への脅威なのだ」と強調した。


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