ベラルーシの飛行機がクリミアに入れば、ウクライナは制裁を科す=外務次官
2日、ジャパロヴァ外務第一次官がウクルインフォルムにコメントした。
ジャパロヴァ氏は、「私たちは、ルカシェンコ氏による、被占領下クリミアへの航空路線開通の可能性に関するロシアとプーチン氏に対する発言を確認した」と述べつつ、その上で、ルカシェンコ氏の発言は挑発的であると同時に、ミンスク空港へのライアンエアー社旅客機強制着陸やプロタセヴィチ記者拘束、独立メディア閉鎖などに関してのウクライナ政権の反応に対する、ルカシェンコ氏の感情的な反応なのだろうと指摘した。
ジャパロヴァ氏は、「私たちは、ロシアの占領するクリミアを合法化する試み、いわゆる『DPR/LPR』との接触を強制する試みには、それが如何なるものであれ、迅速に対応していく。もしベラルーシの航空会社の飛行機が1機でも被占領下クリミア領内に入ったら、あらゆる被害を伴う制裁の発動はまぬがれない」と発言した。
同氏は、ウクライナを含む世界各国がベラルーシの航空便に対して科している制裁・制限と、それによってベラルーシ国民が感じている不便の責任は全て、ルカシェンコ氏にかかっていると指摘した。また、同氏は、ベラルーシ政権は、民間機の安全ルールや、自国民のみならず他国の国民に関してのレッドラインも越えたのだとし、そのような行為には対応しないわけにはいかないと強調した。
ジャパロヴァ氏はまた、ベラルーシとの航空路の制限の決定は政治的なものではなく、治安上のものであり、ベラルーシ政権の行動が予測不可能であることから、ベラルーシ領空飛行のリスクを事前に評価することができないのだと指摘した。また、同氏は、ウクライナは、ルカシェンコ氏の危険な行動への対応に関しては、欧州連合(EU)と米国、民主的世界全体と完全に連帯していると発言した。
さらに同氏は、「ルカシェンコ氏が述べた『混沌と挑発』というのは、ウクライナが行ったことではなく、間違いなく、クレムリンのシナリオに従ってベラルーシ政権が行ったことである。プーチン氏からルカシェンコ氏への抱擁が強まれば強まるほど、ベラルーシが真に独立した主権国家であり続けるためのチャンスは小さくなる。ルカシェンコ氏の浅薄かつ挑発的な行為は、私たちにとって非常に近しい存在である一般のベラルーシ人を苦しめている。私たちは、彼らに対して大きな敬意を持って接しており、彼らの自らの権利と自由を防衛する努力と連帯している。クリミアとドンバスがウクライナ領であることは、それを示す国際法が存在する。ロシアは、クリミア自治共和国を占領し、ウクライナ東部にて侵略を開始することで、国際法を乱暴に侵害したのであり、同国はそれによって責任を負うこととなる。ルカシェンコ氏がハーグにてその責任をプーチン氏と分かちたい、国際的孤立をさらに強化したいというのであれば、もちろん、それは彼個人の選択なのだが、しかし、それがウクライナの友人であるベラルーシの民の選択でないことは確かである」と指摘した。
これに先立ち、5月23日、アテネからビルニュスへ向かっていたライアンエアー社旅客機FR4978便が、ベラルーシ当局からの爆弾設置の連絡を根拠に、ベラルーシ首都ミンスクに強制着陸させられていた。
その後、同着陸は、ベラルーシ国家保安委員会(KGB)による、同機に乗っていたニュースサイト「NEXTA(ネフタ)」創設者のプロタセヴィチ記者を拘束するためのと特殊作戦であったことが判明した。着陸後、同氏と恋人のソフィヤ・サペガ氏がベラルーシ当局に拘束されている。
欧州連合(EU)や米国、日本などは、ベラルーシ政権の行為を非難しており、記者の速やかな解放を求めている。また、多くの国がベラルーシ上空の旅客機飛行を停止しており、欧州の空港はベラルーシのベラビア社の便の受け入れを停止した。
アレクサンドル・ルカシェンコ氏は、プロタセヴィチ氏があたかもベラルーシにて「血まみれの反乱」を計画していたなどと述べ、また「ウクライナ南東部で殺人をしていたことある」などとも発言していた。
ルカシェンコ氏はまた、ウクライナがベラルーシの飛行機に対して領空利用を禁止したことを受け、プーチン氏に対して、ベラルーシの飛行機をロシア領を通じてクリミアへ飛行することを認めるよう要請していた。