モトール・シーチ社をめぐる今後の決定はすぐには採択されない=副首相

モトール・シーチ社をめぐる今後の決定はすぐには採択されない=副首相

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ウクライナの航空機エンジン製造企業「モトール・シーチ」に関する今後の決定採択は、国益を維持し、西側の理解を得つつ、中国と合意する必要があるため、時間がかかる。

オリハ・ステファニシナ欧州・欧州大西洋統合担当副首相がニュースサイト「グラフコム」へのインタビュー時に発言した

ステファニシナ副首相は、「現在、私たちはターニングポイントを迎えている。私たちは、自らの戦略的国益と戦略的技術を維持しつつ、それを防衛するための法的方程式を見つけつつ、中国側とコンセンサスに達さねばならないのだ。その上で、その決定は西側世界にとっても理解可能でなければならない。それは非常に複雑なプロセスであり、そのため現在迅速な決定は採択されないのだ」と発言した。

副首相は、中国側は常にモトール・シーチをめぐる状況は経済主体間の関係だと主張しているが、国有化なり、合意条件の無効化なりという話になれば、その問題は経済的なだけでなく、政治の問題に移行するのだと説明した。

さらに同副首相は、「ウクライナは、中国と欧州連合(EU)の間の良い橋である。中国は、ウクライナの最大の貿易相手であるが、中国は同時にEU市場も目指している。そして現在、ウクライナのロジスティックネットワークは、かなり拡大されており、その機会を完全に生かすことができる」と発言した。

これに先立ち、3月11日、ウクライナNSDCは、ウクライナの航空機用エンジン製造企業「モトール・シーチ」社問題を審議し、近々同社を「国に戻す」決定を採択している。

また、1月28日、ウクライナは、航空機用エンジン製造企業「モトール・シーチ」社への投資に関わる中国国籍の実業家王靖(Wang Jing)氏と、中国に位置する3企業、英領ヴァージン諸島に位置する1企業に制裁を発動している。

2019年11月末、アイヴァラス・アブロマヴィチュス国営防衛企業(複合体)ウクルオボロンプロム社(当時)総裁は、中国スカイライゾン社がすでにモトール・シーチ社の株式を50%以上獲得していると発言。また、2019年12月13日、ヴヤチェスラウ・ボフスラウ・モトール・シーチ社名誉総裁は、記者団に対して、同社の株式を中国に売却したことを認めていた。

しかし、モトール・シーチ社の売却に関しては、米国政権が反対を表明。2019年8月、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(当時)は、キーウ(キエフ)訪問時、「私たちは、一般的に、中国側が、とりわけ米国で行っている、不正義かつ不公正な慣習についての警告と懸念を(ウクライナ政権側に)伝えた」と述べている。ボルトン氏は、その際、懸念の理由として、軍事技術の窃取を指摘している。

2020年9月4日、中国のモトール・シーチの株主たちは、ウクライナ司法省に対して、クレームを提出している。同文書では、35億ドル規模の損失について、ウクライナを国際調停裁判所にて提訴する意向が示されていた。

2021年1月15日、米商務省は、中国のスカイライゾン社に対して制裁を発動。ウィルバー・ロス商務長官は、その際、スカイライゾン社は中国側が主張するような民間企業ではなく、国営企業であり、中国側の「外国の軍事技術獲得・合法化の試みは、米国の国家安全保障と外政利益に重大な脅威を生み出している」と指摘していた。

1月31日、ザポリッジャ市にて予定されていた、航空用エンジン製造企業モトール・シーチ社の中国投資家やウクライナの実業家による「臨時株主総会」は、ウクライナの保安庁(SBU)捜査官が捜査を実施したことにより開催が阻止されている。


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