【MH17事件公判】オランダ検察、衛星データや動画など提示

【MH17事件公判】オランダ検察、衛星データや動画など提示

ウクルインフォルム
9日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて再開されたマレーシア航空機MH17撃墜事件の公判では、検察側が罪の立証に向け証拠品の提示を行なった。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

タイス・ベルヘル検察官は、レーダー・データ分析の結果では2014年のマレーシア機撃墜の瞬間、ロシア連邦が国際捜査チームに提供したものを含め、同地域には戦闘機は観察されていなかったと伝えた。また、検察官は、レーダーでは、ミサイルも確認されていないと述べた。

次に、検察官は、「地上から発射されるミサイルを発見することのできる衛星がある。アメリカには、このタイプの衛星がある。2014年7月17日のMH17墜落後、彼らは、彼らの持つデータによれば、同機はミサイルにより撃墜されたと発表している」と指摘した。

裁判ではまた、2014年7月17日の露ライフニューズによる飛行機撃墜に関する報道が提示された。同報道では、キャスターが、An-26がミサイルにより撃墜されたと発言しているが、しかし実際に撃墜されたのはMH17であったことが後に判明している。更に、当時の武装集団幹部であるパヴェル・グバレフ氏とイーゴリ・ギルキン氏が地対空ミサイル「ブーク」を所有していないとコメントする場面の動画が提示された。

検察官は、MH17撃墜に関し、想定されたあらゆる可能性を検証し、証言者との作業を行ったと強調した。特に、彼らは、ウクライナの管制官を名乗り、ウクライナの戦闘機がMH17を撃墜したのを目撃したと述べていたカルロス氏という人物について、「この人物は、詐欺師であることが判明している。報道によれば、彼はロシアから金銭を受け取っている」と発言した。

なお、今回の公判は、6月8日に再開され、7月3日まで開催される予定。また、新型コロナウイルス感染流行により、裁判所に入れる人数は制限されている。

MH17の公判は、本年3月に始まった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受け、3月の公判は、9日、10日、23日の3日間開催されたのみであった。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表しており、オレグ・プラートフ氏(露国籍)はその内の1人。JITは、プラートフ氏につき、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当した容疑を発表していた。

スキポール裁判コンプレクスは、ハーグから約50キロ離れた場所に位置する。


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