ウクライナは防空ミサイルでのウクライナ航空機撃墜の可能性も分析=安保会議書記
オレクシー・ダニロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記が9日、ニュースサイト「ツェンゾール・ネット」へコメントした。
ダニロウ書記は、「航空機の突然の墜落について複数の可能性が分析されている。主な可能性の中には、防空ミサイル『トール』を含む、防空ミサイルによる損壊も含まれる。なぜなら、事件現場近くにてロシアのミサイルの破片が見つかったとの情報がインターネット上に現れたからだ。また、無人機あるいはその他飛行物体との衝突、技術的原因でのエンジン破壊・爆発、テロ行為による飛行機内部の爆発の可能性が想定されている」と発言した。
同書記は、9日未明、ゼレンシキー大統領の決定を受けて、ウクライナ国際航空ボーイング事件捜査委員会がテヘランに到着したと伝え、同捜査委員会には12の関連機関から45名の代表者が加わっていると発言した。同書記はまた、「現在、イランのICAOを含めた、同国の関連機関代表者との会議が開かれている」と伝えた。
同書記は、ウクライナの捜査委員会には、2014年7月17日のウクライナ上空におけるマレーシア航空機MH17に対するロシアの攻撃に関する国際捜査に参加する専門家や、その際のマレーシア航空機を撃墜したロシア製地対空ミサイル「ブーク」の破片の分析を行った専門家が含まれていると説明した。
また、ウクライナの捜査委員会は、インターネットにて掲載された情報をもとに、ロシアの防空ミサイル・システム「トール」のミサイルの破片の捜索を行う意向だと伝えられた。ダニロウ書記は、「私たちは、テヘランでのウクライナ航空機事件での真実確立のために、MH17攻撃捜査でのあらゆる作業経験を利用する。現時点では、私たちはイラン側と効果的な外交協議を行っており、同航空機の『ブラックボックス』分析を含め、ウクライナの委員会があらゆる問題で協力していくことを期待している」と発言した。
これに先立ち、8日、イラン首都テヘランのイマーム・ホメイニ空港を離陸した後、キーウ(キエフ)に隣接するボリスピリ空港へ向かっていたウクライナ国際航空のボーイング737が墜落した。同機には、乗客167名、乗員9名が搭乗。全員が死亡したと伝えられている。
墜落原因は主に技術的問題によるエンジン事故と見られているが、一方でグローバル脅威・民主主義分析研究所(IGTDS)など複数研究所は8日、ロシアが本件に関して米国の評判低下を行い始めたと指摘した他、オープンソースの写真から、ウクライナ航空機が2014年のマレーシア航空機MH17撃墜時に機体が受けた損壊との類似のものが見られると指摘している。
写真:NSDC