MH17撃墜捜査でウクライナの責任は問われていない=駐蘭ウクライナ大使
ウセヴォロド・チェンツォウ駐オランダ・ウクライナ大使がウクルインフォルムへのインタビュー時に発言した。
チェンツォウ大使は、「空間マネージメントに関しては、技術捜査の時点で本件に注意が割かれており、最終報告書の中に別途項目がある。その捜査の一環で、ウクライナはMH17撃墜の時点で有効だったICAOの義務基準と勧告にのっとって行動していた、との結論が出されている。また、指摘すべきは、同最終報告書には、ウクライナにより上空が閉鎖されていなかったことが、事件の原因であるかのような記述は一切ないことである」と強調した。
大使はまた、10月9日のステフ・ブロック・オランダ外相のキーウ(キエフ)訪問時に、本件が協議されたこと、同訪問前日にウクライナ最高会議外務委員会にて関連の公聴会が行われたことを指摘した。
そして、大使は、「それらのやり取りの中で、私たちは、オランダで何が起きているか、どのような要因が影響を及ぼしているのか、どのような決定が採られているのか、ウクライナはどのように行動すべきかについて理解しようと試みた。そして、現在、状況を安定させることができたと私は思っている」と発言した。
大使は、ウクライナが当時閉鎖していた空間よりさらに高度の空間、つまり9000メートル以上の上空について、その高度における危険に関する情報は、事件発生前、ウクライナにも、西側諸国の特殊機関・政治家・外交官の間にもなかったし、そのため同地域の上空を完全に閉鎖するための根拠は存在しなかったことを指摘した。
その上で、大使は、「しかし、もう一度言うが、ICAOの規定に従った新しい捜査をするとかいう話ではないのだ。2014年7月の、ウクライナとロシアの行動を含めた、紛争条件下の空間を巡るコントロールのプラクティスについて分析するという話なのだ。これにより、オランダ社会、とりわけ、本件の追加的分析を望む遺族たちを満足させることができる」と発言した。
なお、これに先立ち、10月8日、オランダ議会は、2014年のマレーシア航空機MH17撃墜事件につき、事件当時のドンバス地方上空が閉鎖されていなかったことを巡る状況を追加的に分析する提案を支持した。
ウクライナの政府関係者は、これまでウクライナがICAO(国際民間航空機関)のルールに従い、リスク分析をもとに、武力紛争の存在を伝え、民間機飛行に対する一定の飛行禁止を適用してきたと発表している。具体的には、最初は高度1500メートル未満の飛行の禁止、続いて、飛行高度7900メートル未満の飛行禁止。そして、2014年7月14日には、同9800メートル未満の飛行禁止を適用していた。
マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイル・システム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。
本年6月19日、JITはさらに、マレーシア航空機MH17撃墜に関与した容疑者を公式に発表している。
これを受けて、オランダとオーストラリアの両国政府は、ロシアのMH17撃墜関与を非難している。