ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領就任演説全文

ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領就任演説全文

ウクルインフォルム
5月20日、ヴォロディーミル・ゼレンシキー氏が最高会議にて第6大統領に就任した。

親愛なるウクライナ人よ!

私が選挙に勝つと、6歳の息子がこう言った。「パパ!テレビで、『ゼレンシキーが大統領』って言ってるよ。つまり、僕も大統領?」その時それは冗談のように聞こえたが、しかし、私はその後、それが真実なのだと理解した。なぜなら、私たち一人一人が大統領だからだ。私に投票した73%の人々についての話ではなく、100%のウクライナ人皆についてのことである。これは、私の勝利ではなく、私たちの共通の勝利なのだ。そしてこれは、私たちの共通のチャンスである。そのチャンスのために、私たちは共通の責任を背負っている。そして、たった今、私だけが忠誠を誓ったのではない。

私たち一人一人が、憲法の上に手を置き、一人ひとりがウクライナへの忠誠を誓ったのである。スキャンダルな記事名を想像して欲しい。「大統領が税金を払っていない」、「大統領がほろ酔い赤信号を突っ切った」、「大統領が、『みんなやってることだ』と言って、少し盗みを働いた」。あなたたちは、これが恥ずべきことだということに、同意してくれるだろうか?私が、あなたたち一人一人が大統領、というのは、そういう意味である。

今日から、私たち一人一人が、自らの子どもたちに残す国への責任を負う。私たち一人一人が、自らの場所にて、ウクライナの発展のためにあらゆることを行うことができるのだ。欧州的な国は、自分たち一人一人から始まる。

私たちは、欧州への道を選んだ。しかし、欧州とは、どこか別の場所にあるものではない。欧州とは、ほら、(編集注:頭を指差しながら)ここにあるのだ。欧州がここにあるならば、それはここ、ウクライナ全土にも現れるのだ。そして、それが私たちの共通の夢である。

しかし、私たちには、共通の痛みもある。私たち一人一人が、ドンバスで亡くなった。毎日、私たちは、私たちの中の誰かを失っている。私たち一人一人が、避難民である。自分の家を失った人と自らの家の扉を開けた人が、痛みを分け合っている。私たち一人一人が、出稼ぎ労働者である。自らの居場所を家の中に見出せず、外国での稼ぎを見つけた人。貧しさとの闘いの中で、自らの尊厳を失わざるを得なくなった人。しかし、私たちはそれを全て克服しよう。なぜなら、私たち一人一人が、ウクライナ人なのだから。私たちはみな、ウクライナ人である。そこには、偉大さや正しさの差など存在しない。ウジホロドからルハンシクまで、チェルニヒウからシンフェローポリまで、リヴィウ、ハルキウ、ドネツィク、ドニプロ、オデーサにいる、私たちは、ウクライナ人である。そして、私たちは、団結しなければならない。なぜなら、その時はじめて、私たちは強くなれるのだから。

そして、今日、私は、世界の全てのウクライナ人に呼びかける。私たちは、6500万人いる。そう、驚かないで欲しい。私たちは、6500万人いるのだ。ウクライナの大地が産み落とした人々である。欧州、アジア、南北アメリカ、オーストラリア、アフリカのウクライナ人。私は、地球上全てのウクライナ人に呼びかける!私たちは、あなたたちをとても必要としている。新しく、成功した、強固な国を作る準備がある人皆に、私は、喜んでウクライナ国籍を与えよう。あなた方は、ウクライナへ客人として来るべきではなく、家へ戻るのだと思って来るべきである。私たちは、あなたたちを待っている。外国のお土産は要らない。知識と価値を持ち込んで欲しい。それら全てが、私たちが新しい時代を始める際の助けとなるのだ。

懐疑主義者はこういう。それは幻想だ。それは不可能だ、と。いや、もしかしたら、それが私たちの民族のアイデアではないだろうか。連帯して、不可能なことを実現するということが。どんなことがあってもだ!欧州サッカー選手権でのアイスランド代表チームを思い出して欲しい。彼らは、歯医者、舞台監督、飛行士、学生、清掃業者が闘い、自らの国の誇りを守ったのだ。誰も信じなかったが、彼らはそれを成し遂げた。そして、それが私たちの道なのだ。私たちは、サッカーにおけるアイスランド人、祖国防衛におけるイスラエル人、技術における日本人、幸せな生活におけるスイス人にならなければならない。いかなる不和も乗り越えて。

私たちの最初の課題は、ドンバスの停戦である。私は、『停戦のために何をする準備があるか』とよく聞かれる。おかしな質問である。あなたたちウクライナ人は、自分に近しい人々の命のために、何をする準備があるだろうか。明言できる。私たちの英雄をこれ以上死なせないために、私は、あらゆることを行う準備がある。私は、困難な決定を下すことを決して恐れない。私は、自らの人気と支持を失う準備がある。必要となり、私たちの領土が失われることなく平和が達成されるならば、私は迷うことなく自らの職を失う準備がある。

歴史とは、不正義なものだ。私たちが戦争を始めたのではない。しかし、私たちはこの戦争を終わらせなければならない。私たちは対話の準備がある。(編集注:この一文ロシア語)私は、全てのウクライナ人人質の帰還がその対話の最初の一歩となるのだと確信している。私たちの次の挑戦は、失われた土地の回帰である。正直に言えば、この表現は、完全には正しくないと思っている。なぜなら、今も私たちのものであるものを失うことは不可能だからだ。クリミアもドンバスも、私たちウクライナの土地である。そこで私たちが失った最大のものは、人である。

(編集注:ロシア語に切り替え)今日、私たちは、彼らの自覚を取り戻さなければならない。私たちは、彼らの自覚を失ったのだ。この数年、政権は、人々が自らをウクライナ人だと感じるためのことを何もしなかった。彼らは他人ではない。彼らは、私たちと同じ、ウクライナ人なのだ。誰かが国籍証明書をばらまきたいなら、させておけばいい。そんなことでは何も変わらない。ウクライナ人は、国籍証明書の中にあるのではない。ウクライナ人とは、ここにあるのだ(編集注:胸を指しながら)。

(編集注:ウクライナ語に戻り)私はそのことを確かに知っている。そのことを、ウクライナを防衛する軍人たち、私たちのウクライナ語話者とロシア語話者の英雄たちにより、知っているのだ。そこ、前線には、けんかや仲違いはない。あるのは、勇気と誇りである。

そして、私は、我らの守護者たちに呼びかけたい。政権が、毎日国のために命を捧げる人々を尊敬しない場所に、強い軍はない。私は、あなた方が尊敬を感じられるよう、あらゆることを行う。それは尊厳ある、安定した資金面での保障であり、あなた方の生活条件であり、戦闘課題履行後の合法的休暇であり、あなたたちと家族にとっての休息となる。必要なのは、北大西洋条約機構(NATO)の基準について話すことではなく、その基準を作り出すことなのだ。

言うまでもなく、戦争以外にも、ウクライナ人を不幸としている多くの困難がある。それは驚くべき公共料金であり、小ばかにした給料や年金であり、痛々しい物価であり、存在しない職である。それは、普通の病院に子どもとともに横たわったことのない人々が改善について語っている、医療である。それは、誰かの想像のなかだけで建設され、回収されている、魔法のウクライナの道路である。アメリカ大統領になった素敵なアメリカの俳優の言葉を引用させて欲しい。「政府は、私たちの問題を解決していない。政府が、私たちの問題なのだ。」

私は、私たちの政府を理解できない。彼らは、手を止め、こういうのだ。「私たちは何もすることができない」と。嘘だ。あなたがたにはできることがある。あなた方は、紙とペンを手にして(辞表を書き)、自らの職を、次の世代について考える人々のために明け渡せるのだ。次の選挙についてではない!それをして欲しい。それは人々が評価するであろう。

どうも、あなた方の拍手はまちまちである。私の言っていることを、皆が気に入っているわけではないのかな?無駄なことだ。なぜなら、これは私が言っているのではなく、ウクライナ国民が言っているのだから。

私が選出されたことは、国民が、経験ある、システマティックで、慢心した政治家に疲れたことを証明している。この政治家たちが「可能性」の国を作ったのだ。「ぴんはね」、「資金流出」、「汚職」の可能性の国をだ。私たちは、別の可能性の国を作る。そこでは、全ての人が法の前で平等で、公正かつ透明なゲームのルールが存在する。ルールは、皆にとって平等なものとなる。そのためには、政権に国民に奉仕する人々が入らなければならない。

また、あなた方の職務室に、私の肖像をかえることはしないで欲しい。なぜなら、大統領は、イコンや偶像ではないからだ。大統領は、肖像写真ではない。大統領の写真の代わりに、自分の子どもの写真をかけ、一つ一つの決定を前に、彼らの目を見て欲しい。

私は、まだたくさんのことを言えるが、ウクライナ人は言葉でなく、行動を欲している。

だから、親愛なる最高会議議員よ!あなた方は、就任式を月曜日に定めた。平日だ。そこに私は、一つの利点を見ている。つまり、あなた方は、働く準備があるということだ。

だから、私はあなたたちに、次の決定の採択を要請する。

1.最高会議議員の不可侵権剥奪法

2.違法蓄財の刑罰化法

3.長年待たれる、選挙法典。非拘束式名簿にするように。

さらに、以下の人物を解任して欲しい。

1.保安庁(SBU)長官

2.検事総長

3.国防相

あなた方ができるのはこれだけではない。だが、始まりとしては十分であろう。あなた方には、2か月ある。その期間に、これらの重要な法と決定を採択して欲しい。繰り上げ議会選挙に向けて、良い得点を稼いで欲しい。

私は、第8最高会議を解散する。

ウクライナに栄光を!

最後に。親愛なる民よ!私は、これまでの人生でずっと、ウクライナ人を笑わせるために努力してきた。それは、私の使命である。今から、私は、ウクライナ人がもう泣くことのないよう、あらゆることを行っていく。


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