NATOは今のところウクライナに加盟時期を提示できない=エストニア首相
エストニア公共放送「ERR」が報じた。
カッラス首相は、ビルニュスにおける、ウクライナに対する約束をめぐる論争は、NATO加盟国が非常に深刻に本件に向き合っていることを示すものだと発言した。
カッラス氏は、NATO首脳会議の加盟国首脳コミュニケ採択後、「本件をめぐる論争の熱さが示すことが、私たちの大きな同盟国もまた、その言葉に対して非常に深刻に向き合っていること、それが単なる言葉ではなく、彼らもまた、その言葉を行動に移さねばならないということを示していることを、理解することが大切だ。そして、だからこそ彼らは本件に非常に非常に真剣に向き合っているのだ」と発言した。
また同氏は、ウクライナのNATO加盟期限を定めないというNATO首脳の決定をゼレンシキー大統領が批判していることにつき、「もちろん、私もまたヴォロディーミル・ゼレンシキー・ウクライナ大統領のフラストレーションは理解している。なぜなら、私たち皆がNATOの中で平穏の中で生きているのと同じように、彼もまた平穏の中で生きたいのだから。しかし、これは私たちが現在提案できる限界なのだ」とコメントした。
さらに同氏は、ウクライナに対してNATO加盟時期は戦争の終結と関連することであり、それを現在提示することは不可能だと指摘した。同氏は、「誰も直接戦争に参加したくはないし、戦争が続く限りは、誰も5条の保証を(ウクライナにまで)拡大したくはない。そのため、それは戦争の終結と結びついており、だから、それは文書上で確認できないのだ。なぜなら、(編集注:それを文書に記述したら)戦争がどのように終わるか、いつ戦争が終わるかを定めざるを得なくなるのだが、私たちはそれらのことを実際には知らないのだから」と発言した。
同氏はまた、「この戦争に終止符を打つために私たちができることは、ウクライナが自らの防衛を組織できるようにし、同国が本当にロシアを自国(ロシア)へと追い出せるようにするべく、ウクライナを支えることだ。それが私たちができることである」と指摘した。
加えて同氏は、エストニアにとっては、首脳会議の結論文書に「招待」の言葉が含まれていること、「道」という言葉が明確に書き込まれていること、NATOに加盟するウクライナのための実践的なステップ、実践的なロードマップが記されていることが大切だと強調した。
なお、これに先立ち、NATO首脳会議の初日となった11日、NATO加盟国首脳たちは、ウクライナによるNATO加盟の道における進展を確認した上で、「ウクライナの将来はNATOの中である」とするメッセージを発出した。他方で、NATO首脳は、ウクライナのNATO加盟招待については、「同盟国が同意し、条件が満たされれば、私たちはウクライナの同盟への加盟への招待を要請する立場を得る」との立場を示していた。