戦争研究所、プーチン氏によるトランプ米大統領への電話の意図を分析
戦争研究所(ISW)が4月29日付報告書で指摘した。
報告には、「ロシアのプーチン大統領は、4月29日のトランプ米国大統領との電話会談を利用して、当初の軍事目標への固執を改めて認め、 また、ウクライナの防衛が崩壊しつつあり、ウクライナでのモスクワの勝利は不可避であるという虚偽の描写をすることで、認知戦の努力を推進した」と書かれている。
ISWは、実際にはウクライナは前線に沿ったロシア軍の前進を大幅に停滞させており、ロシアによる2026年の春・夏の攻勢を鈍らせていると指摘した。
さらに報告書には、ウシャコフ露大統領補佐官が4月29日に、米露首脳会談が1時間半に及んだとし、プーチン氏がトランプ氏に対し、ウクライナにおける戦争の現状について説明し、ロシアが戦略的イニシアティブを握っており、ウクライナの陣地を「押し戻している」と主張したことが伝えられている。 その際ウシャコフ氏は、モスクワは「いかなる場合でも」軍事目標を達成するが、外交的手段でそれらを達成することを望んでいると述べたという。
これに対して、ISWは、「プーチン氏及び他のロシア政府高官は、ロシア側が実質的な譲歩を提示していないにもかかわらず、プーチン氏の要求への降伏を拒否するウクライナを、和平交渉における不服従な側として一貫して描写しようとしてきたことを喚起し、その上で「プーチン氏は4月29日、トランプ大統領に対して再びこの視点を繰り返した」と指摘した。
さらにISWは、プーチン氏がウクライナの防衛が崩壊しておりロシアの勝利は不可避であると虚偽の主張をしようとしている、と解説している。 ISWは、プーチン氏は、ウクライナへの降伏要求を正当化するため、戦場においてロシアが良好な成果を上げていると改めて主張したと指摘しつつ、「しかしながら、プーチン氏の主張の前提は虚偽のままである」と説明した。ISWは、ウクライナ軍は、ロシアにとっての最優先課題であるドネツィク州を含む前線の数か所でロシア軍の大幅な前進を阻止し続けており、これらの攻勢の継続に伴いロシア側に増大する損耗を与えていることを喚起した。
さらに報告書には、ロシア側は同国経済が引き続き大きな課題に直面しており、損失が増大し続け、新規動員兵の補充がますます困難になっていることから、戦争の影響を一段と強く受けていると指摘されている。
ISWは、「クレムリンは、ロシアの全面侵攻では達成できなかった方法でウクライナを降伏へ追い込むよう、トランプ氏及び西側を説得しようと試み、それらの損耗の一部を軽減しようとしている可能性が非常に高く、その取り組みの一環として、自らの軍事的及び経済的な失敗を隠蔽している」と指摘している。
写真:ホワイトハウス