ウクライナの汚職対策機関独立性回復法により検事総長の介入は不可能となる=汚職捜査機関トップ

ウクライナの政権高官の汚職犯罪の捜査に特化した機関「国家汚職対策局(NABU)」のクリヴォノス局長は1日、発効したNABUと特別汚職対策検察(SAP)の独立性回復法により、検事総長が両機関へ介入する可能性は取り除かれると発言した。

クリヴォノスNABU局長がウクルインフォルムにコメントした

クリヴォノス氏は、この度発効した新しい法律は検事総長から汚職対策機関の活動への介入を排除するものだと発言した。

その際同氏は、法律が発効した今「検事総長は私たちから事件を奪ったり、それを他の法執行機関に移管したり、通報者や非公開捜査行動の情報を含め、刑事事件の情報へのアクセスを得たりすることはできない」と説明した。

また同氏は、同法はSAP長に、閣僚、最高会議(国会)議員、政府機関、関税庁、税務庁の代表者といった政権高官への容疑の通知を独自に行う完全な権利を付与するものだと伝えた。

同氏はそして、「これら全てが戻された。それをこそ、透明性、独立性、上からの影響のない真の行動をこそ社会は待っていたのだ」と強調した。

同氏はさらに、法律の新しい改訂版では、SAP長に対して、検察官グループの構成を定め、最大級に機微な訴訟で自らがそのグループを率いることもできるようになると指摘した。同氏は、そのような仕組みは、情報漏洩のリスクを最小化し、捜査の機密性を保証すると説明した。

また同氏は、その法律は以前の均衡を回復するだけでなく、汚職対策機関にあらゆる手続き上の権利と刑事手続きにおける独立性の保証を与えるものだと強調した。

これに先立ち、31日、ウクライナ最高会議は、汚職対策機関の独立性を回復する法案を採択し、その後ゼレンシキー宇大統領が同法案に署名していた。そして、8月1日に同法は発効した。

また、最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた

同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていたが、同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した

キーウなどウクライナ各地では、連日最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求

23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた

24日、ゼレンシキー大統領は、最高会議に両機関の権限を回復し、独立を確保する新しい法案第13533を提出。NABUとSAPは同日、ゼレンシキー大統領が提出した法案第13533は両機関の独立性のあらゆる保証を回復するものだと表明した

31日は、朝から最高会議近くの広場で、同法案採択を要求する市民が抗議集会を開催していた