ウクライナの汚職対策機関改革がEU加盟を危うくする=報道
英フィナンシャルタイムズは、ウクライナのゼレンシキー大統領による、同国の汚職対策機関を管理下に置こうとする、論議を呼ぶ動きが、欧州からの財政支援と、ウクライナの欧州連合(EU)加盟への道を危うくしているとする記事を公開した。
フィナンシャルタイムズが欧州当局者の話をもとに報じた。
同紙は、「火曜日にゼレンシキー氏は、自身が任命した検事総長に、2つの独立した汚職対策組織であるNABU(国家汚職対策局)とSAP(特別汚職対策検察)へのコントロールを付与する法案に署名した。大統領はロシアのスパイを根絶することを目的としていると述べたが、その動きはEUとG7のメンバーから非難を浴びた」と伝えている。
ウクライナへの財政支援を監督するドンブロフスキス経済担当欧州委員は、フィナンシャルタイムズに対し、これら2つの機関は「ウクライナの改革プログラムにとって決定的な意味を持ち、汚職と闘い、国民の信頼を維持するためには、独立して活動しなければならない」と述べた。
さらにドンブロフスキス氏は、「私たちの現在のウクライナへの財政支援は、透明性、司法改革、そして民主的な行政にかかっている。それはウクライナのEU加盟の道にも当てはまり、強力な汚職対策能力も必要となる」と訴えた。
また、関係者がフィナンシャルタイムズに語ったところによると、マクロン仏大統領とコスタ欧州理事会議長が今週、ゼレンシキー氏と話し、改革を再考するよう促していたという。
同紙は、汚職と司法の独立性は、ウクライナのEU加盟候補国地位に関して、長らくEUにとっての2つの最大懸念であったと報じている。ウクライナは、2022年にEU加盟候補国の地位を得たが、最もロシアに友好的なEU加盟国ハンガリーの抵抗により、加盟への道のりは進めていないとある。ハンガリーは、ウクライナの公式加盟におけるいかなる進展にも繰り返し拒否権を発動している。
最近のEU加盟国首脳会合では、ハンガリーのオルバーン首相を除く全員が、ウクライナはEU加盟関連の改革において「著しい進展」を達成したと高く評価していた。彼らはウクライナに対し、加盟プロセスにおける「次の措置」をとるよう促した。これには、民主的な抑制と均衡、財政管理、その他の汚職対策要件を含む、EUの「基本的な」価値観に関する交渉が含まれるという。そして、その目的は、ハンガリーの拒否権にもかかわらず進展を達成することであり、ハンガリーが譲歩した際にウクライナがEU統合への道をさらに進むことが期待されていた。
しかし、EU当局者は、ウクライナの最近の動きがこれらの努力を損なわせたと述べたという。
写真:大統領府