石破日本首相とルッテNATO事務総長、ウクライナの状況についての対話継続へ

日本の石破首相と北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は9日、ルッテ氏の訪日の際に会談を行い、共同声明を発出した。両者は、ロシアによるウクライナ侵略が国連憲章を含む国際法の深刻な違反を構成するとの立場を改めて表明した。

日本外務省が共同声明日本語仮訳を公開した

とりわけ、ロシア・ウクライナ戦争に関して、両者は「現在関係国によって行われている包括的で公正かつ永続的な平和を達成するための外交努力が重要であることを確認」した。

また、ルッテ事務総長は、日本によるNATOの「ウクライナのための包括的パッケージ(CAP)」信託基金を通じた殺傷性のない装備品などのウクライナへの継続的な供与、とりわけ軍事医療・リハビリ分野の支援への貢献」を歓迎した。さらにルッテ氏は、NATOの「対ウクライナ安全保障支援及び訓練組織(NSATU)」への参加に関する日本の意欲を歓迎した。

両者は加えて、ウクライナの状況について日NATO間で引き続き対話を行っていく重要性を確認した。

その他、両者は、ロシアによる北朝鮮製ミサイルのウクライナに対する使用や、ロシアに派遣された北朝鮮兵士の対ウクライナ戦闘への参加を含む、北朝鮮・ロシア間の軍事協力を強く非難した。

同時に両者は、「北朝鮮による不法な兵器計画に対しロシアが提供している可能性のあるいかなる政治的、軍事的又は経済的支援に対する深い懸念を共有し、ロシア及び北朝鮮に対し、全てのそのような活動を直ちに停止し、関連する国連安保理決議を遵守するよう」強く求めた。

さらに両者、中国がロシアの防衛生産基盤を支援していることについても懸念を表明した上で、「我々は、中国を含め、ロシア及び北朝鮮とつながりのある国々に対し、ロシアの侵略の危険な拡大に反対し、全ての関連する国連安保理決議を履行することにより、国際法を堅持するよう要請」した。

その他、両者は、「日本及びNATOが戦略的利益並びに自由、民主主義、人権及び法の支配といった価値を共有しているという確固たる信念を改めて述べた。また両者は、「欧州・大西洋及びインド太平洋の安全保障が相互に連関しており、多くの同様の挑戦に直面していると」の認識を示した。そして、「強固なNATOは日本にとっても利益となる」とした上で、「我々は、変わりゆく不確定な安全保障環境の下、日本及びNATOの協力の継続が欧州・大西洋地域及びインド太平洋地域の安全保障と強靱性にとって有益であるとの信念を共有する」と表明した。

これに先立ち、訪日したルッテNATO事務総長は8日、中谷防衛相との会談時に、日本がウクライナを強力に支援していることにつき謝意を表明していた

写真:日本内閣広報室(外務省ウェブサイト)