ロシア軍攻撃によりウクライナの原子力発電所の稼働にとって重要な変電所が損傷

国際原子力機関(IAEA)は、10月30日のロシア軍によるウクライナ各地に対するミサイル・無人機攻撃により、ウクライナの原子力安全の維持にとって重要な変電所が損傷したと報告した。

IAEAがグロッシー事務局長の声明として公表した

声明には、「IAEAは、今朝(編集注:10月30日)早く、ウクライナにおける軍事活動が、原子力安全保障にとって重要な変電所の損傷をもたらしたとの報告を受けた。これに続き、南ウクライナ原発とフメリニツィキー原発のIAEAチームは、それぞれが外部送電線を1本失ったと報告した」と報告されている。

加えて、リウネ原発のIAEAチームは、同発電所が電力系統オペレーターの要請により、4基ある発電ユニットの内の2基の出力を下げたことを報告した。

グロッシー氏は、「原子力安全への脅威は依然として全くもって現実的で引き続き残っている。私は、原子力施設付近での最大限の軍事的自制と、原子力安全・防護の7つの不可欠な柱(原則)を完全に尊重することを改めて要請する」と、グロッシ氏は述べた。

IAEAはその他、ザポリッジャ原発では、損傷した330キロボルトの「フェロスラウナ1」送電線の修理作業が続けられており、送電線に追加の損傷が発見されたことを報告している。

声明には、「外部からの電力供給なしで丸1か月が経過した後の、外部からの電力供給を回復するための修理作業中、IAEAは、ザポリッジャ火力発電所の開閉所から約1.8キロメートル離れた予備線『フェロスラウナ1』に追加の損傷が発見されたことを確認した」と報告されている。

グロッシー氏は、この送電線の復旧は「発電所における脆い原子力安全の状況を改善するために極めて重要」だとい指摘している。

これに先立ち、ウクライナへの全面侵略を続けるロシア軍は、29日夜から30日朝にかけて、同国各地に対してミサイルと無人機による大規模な複合攻撃を行っていた