紛争の凍結はプーチンを更なる侵略へ駆り立てるだけ=ゼレンシキー宇大統領

ウクライナのゼレンシキー大統領は、ウクライナ領が占領されたまま紛争を凍結することはプーチン露大統領を更なる侵略へと駆り立てるだけだと発言した。また、外交的解決手段が可能となるのは、ロシアが自らの軍を1991年時点の国境まで撤退させた後だとも指摘した。

ゼレンシキー大統領が英エコノミスト誌へのインタビュー時に発言した

ゼレンシキー氏は、ウクライナの人々はロシアとの間で領土を失う形での妥協には同意しないと強調した。同氏は、ウクライナ領が奪われたままの形ではどのような紛争の凍結もプーチン露大統領を更なる侵略へと駆り立てるだけだと説明した。

そして同氏は、「だからこそ、1991年時点の国境に向かうことが非常に重要なのだ」と強調した上で、それ(編集注:脱占領の対象)は今年奪われた領土だけではなく、2014年にロシアが占領したウクライナ南部のクリミアやウクライナ東部一部地域も含むと補足した。

同氏はまた、プーチン氏にとっての唯一の出口はロシア軍を今年占領した土地と2014年に占領した土地から完全に撤退することだと強調し、差異が生じ得るのは、ロシアが自分から撤退するか、ウクライナが撤退させるかという点のみにあり得ると指摘した。

さらに同氏は、「もしプーチンが今1991年国境へと退いたら、外交的手段が始まる。つまり、彼のみが戦争を軍事的局面から外交的局面に移行させ得るのだ」と説明した。

その他同氏は、ロシアによる一部ウクライナ領の長期間の占領は「ウクライナ人の脳を毒してしまった」と発言した。同氏は、被占領地に暮らす人々はロシアの偽情報の「宇宙服」がなかなか脱げない宇宙飛行士と比較が可能だと指摘した。

なお、ゼレンシキー大統領は11月7日に、ウクライナにはロシアと和平協議を行う明確な条件があるとし、それは領土一体性の回復、戦争犯罪者への罰、これまでに起きたことが繰り返されないことの保証などを挙げている

写真:大統領府