キーウなどウクライナ複数都市で汚職対策機関権限縮小法に反対する抗議集会が4日目開催
ウクルインフォルムの記者が伝えた。
キーウの中心部では、4日連続で市民が集まり、議会が採択し、大統領が署名した汚職対策機関権限縮小法の無効化を要求している。同法は、第二読会時に急に修正が加えられたことで、NABUとSAPの権限を縮小し、実質的に両機関の独立性を奪う内容となっている。
キーウで汚職対策機関権限縮小法に反対する集会開催 写真:キリロ・チュボチン/ウクルインフォルム
ウクライナ市民は、汚職対策機関の全ての権限の回復を要求し続けており、最高会議議員に対し、前日ゼレンシキー大統領が提出した権限回復を目的とする法案を7月31日に採択するよう呼びかけている。 なお、同法案では、国民の怒りを引き起こす原因となった規範を削除することが提案されている。

集会のコーディネーターたちは、「私たちはウクライナ国民に、7月30日水曜日と(編集注:法案の)投票日である31日に、ここ、劇場前広場に来て、最高会議議員たちに対して、私たちが公正な決定、つまり新しい法案に投票することを期待していることを示すよう呼びかけている」と述べた。


南部ザポリッジャでは、NABUとSAPの権限を制限する法案に反対する抗議行動に約50人が参加した。
主催者は、参加者に対し、プラカードに不適切な言葉を使わず、挑発と見なされる可能性のあることは叫ばないよう呼びかけていた。
ザポリッジャで汚職対策機関権限縮小法に反対する集会開催 写真:オリハ・ズヴォナリョヴァ/ウクルインフォルム
集会主催者のオレクサンドル・スピヴァク氏は、「スローガンで冒涜的な言葉を使うのは控えるようお願いする。もしプラカードに不適切な言葉があれば、取り除いて欲しい。私たちはザポリッジャがウクライナの文化的な町であってほしい」と呼びかけた。
ザポリッジャでは、若者たちが3日連続で抗議集会に参加した。この日は、約50~60人が集まった。参加者たちは大通りに沿って立ち、「抜け穴のない法律を」「汚職のあるところに未来はない」「私たちの声はもっと強い」と叫んだ。
これまでと同様に、若者たちが抗議行動に参加していた。彼らは、汚職対策機関の権限を回復させる新しい法案が最高会議で審議される7月31日まで、この行動が続くだろうと述べていた。
南部オデーサでも、7月25日、NABUとSAPを検事総局に従属させる法律に反対する抗議行動が4日連続に行われ、市の中心に約20人が集まった。
オデーサでのNABU・SAP支持集会4日目 写真:ニーナ・リャショノク/ウクルインフォルム
参加者たちは、「私たちは旧ソ連諸国の中で最も民主的な国だが、この法案は私たちをロシアに変えてしまうものだ」と述べている。
西部リヴィウでも、同法律に反対する集会がシェウチェンコ記念碑の近くで開催された。
西部リヴィウの抗議集会 写真:アナスタシヤ・スモリイェンコ/ウクルインフォルム
これに先立ち最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた。
同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていた。
同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した。
キーウなどウクライナ各地では、連日最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求している。
また、一部の最高会議議員は、同法の審査について憲法裁判所に申し立てをするために、議員の署名集めを行うと発表している。
23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた。
24日、ゼレンシキー大統領は、最高会議に両機関の権限を回復し、独立を確保する新しい法案第13533を提出。NABUとSAPは同日、ゼレンシキー大統領が提出した法案第13533は両機関の独立性のあらゆる保証を回復するものだと表明した。