ゼレンシキー・ウクライナ大統領の年越しの祝辞全文【日本語全訳】

ゼレンシキー・ウクライナ大統領の年越しの祝辞全文【日本語全訳】

ウクルインフォルム
ウクライナのゼレンシキー大統領は、2025年12月31日最後の20分間に、ウクライナ国民向けの新年に向けた祝辞動画を公開した。

ウクライナ大統領府が祝辞の全文を公開したところ、ウクルインフォルムが全訳した。


親愛なるウクライナ国民よ。

あと数分で新年となる。この祝辞において、『あと数分で平和が訪れる』と言えるなら、私はこの世の全てを明け渡すだろう。残念ながら、私はまだそう述べることはできないが、しかし、私も、私たち全員も、ウクライナが平和のために間違いなく全てを尽くしていると、完全な良心を持って言うことができる。そして、それを続けている。

昨日朝6時にキーウに戻った。私たちのチームは約50時間移動した。和平案は90パーセント完成している。残りは10パーセントだ。それは単なる数字以上の重みがある。その10パーセントに、実は全てがある。平和の運命、ウクライナと欧州の運命、人々の生き方を決定づける10パーセントだ。数百万の命を守るための10パーセント。平和を100パーセント機能させるために必要な10パーセントの覚悟。ウクライナ、米国、欧州、そして世界中の、切実に必要とされている団結と知恵の10パーセントだ。平和に到達するまでの、あと10パーセントなのだ。

今私は、私たち皆が波長を合わせ、現実を同じように理解し、戦場だけでなく『真実』を身につけて欲しいと思っている。誰が、何を本当に望んでいるのかについての真実だ。ウクライナは何を望んでいるのか。米国は何を望んでいるのか。ロシアは何を望んでいるのか。欧州、そして全世界は何を望んでいるのか。

最も大切なことから話そう。ウクライナが望んでいるのは何か? 平和だろうか?そうだ。いかなる犠牲を払ってでも臨むのだろうか?違う。私たちは戦争の終わりを望んでいるが、ウクライナの終わりを望んでいるのではない。私たちは疲れているだろうか?ひどく疲れている。それはつまり、私たちは降伏する準備ができているということだろうか?そう考える者は、ひどく間違っている。そう考える人は、この数年間を経てなお、ウクライナ人がどういう人々なのかを理解していないのだ。1407日間におよぶ全面戦争に耐え続けている人々である。その数字を認識して欲しい。それは第二次世界大戦において、ナチス・ドイツが多くのウクライナの都市を占領していた期間よりも長い。不屈のウクライナの1407日間だ。事実上、毎晩を避難所で過ごし、毎日を戦いに捧げてきた。しばしば明かりもなく、しばしば眠りもなく。そして何日も陣地で過ごした、何日も。しかし、いつでも、混乱も混沌も仲間割れもなく、平和を得るために団結してきた。私たちは戦争が終わることを望んでいるだろうか?もちろんだ。

なぜそれがまだ実現していないのだろうか? 答えは隣国にある。ロシアは戦争を終わらせることができるだろうか? できる。では、同国はそれを望んでいるだろうか?望んでいない。世界はロシアにそれを強いることができるだろうか? できるし、そうすることでしかうまくいかない。なぜ世界はそれを完全な形で行わないのか? 順を追って、正直に、あるがままに確認してみよう。私たちの国民がそれを一番よく知っている。

ロシアは自ら戦争を終わらせることはない。彼らが自らの願望で終結させた戦争は、歴史上存在しないのだ。他者からの圧力、他者からの強制のみが、彼らが自ら「善意のしるし」と呼ぶものを引き出してきたのだ。ロシアが誰かと戦ってきたこれまでの全ての歳月、つまりロシアが存在してきた全期間において、そうであった。かつてモスクワが戦争を仕掛けた全ての人々がそれを認めることができる。ポーランド、トルコ、フィンランド、シリア、ジョージア、アブハジア、オセチア、チェチェン。このリストは無限に続けることができる。なぜなら、ロシアのほぼ全ての領土が戦争によってかき集められたものだからだ。私たちが相手にしているのはそういう国だ。(ここで言う)「私たち」とは、ウクライナであり、欧州であり、米国であり、全世界のことだ。

「ドンバスから出ていけば、全てが終わる」。「欺瞞」は、ロシア語からそのように翻訳される。ウクライナ語、英語、ドイツ語、フランス語、事実、世界のあらゆる言語に訳しても同じだ。いまだに彼らを信じている者がいるのだろうか? 残念ながら、いる。今でも、真実があまりにも頻繁に回避され、そうすることが『外交』と呼ばれているが、それはスーツをまとっただけのただの『嘘』だ。

そうする中で、ウクライナには圧力がかけられている。だからこそ、私たちはこうして戦っている。そして、クリミアの占領、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の制圧、(2022年)2月24日の全面侵攻、ブチャ、マリウポリ、オレニウカ、その他クレムリンが行ってきたあらゆる行為の後において、それでもロシアの言葉を信じるというのは罪である。共通の国際安全保障に対する罪であり、自国民を守るべき全ての首脳に対する罪だ。

私たちのこれらの主張は届いただろうか? そう強く期待している。私たちに同意してくれただろうか? 完全ではない。まだだ。だからこそ、今のところ和平案の準備は、100パーセントではなく、90パーセントだと述べているのだ。

意向が「安全の保証」にならなければならない。つまり、それは批准されなければならない。米国議会、欧州諸国の議会、全てのパートナーによってだ。「ブダペスト紙切れ」のようなもので、ウクライナは納得しない。絢爛に書き込まれた「ミンスクの罠」など、ウクライナには必要ない。脆弱な合意に署名しても、戦争に燃料を注ぐだけである。私の署名は、強力な合意にのみ行われる。そして、そのことについて今、全ての会談、全ての電話、全ての決定が行われている。皆のために強力な平和を確保するために。1日や1週間、あるいは2か月ではなく、何年にもわたる平和を確保するため。そして、その時はじめて、真の成功となるのだ。ウクライナにとって、米国にとって、欧州にとって、そして戦うのではなく生きたいと願う全ての人にとってだ。

私はそのことをトランプ大統領に伝えた。私たち全員にとって嵐となって終わる可能性があった最初の会談でも、そして平和が近く、かつてないほど可能になっている、という希望を私たち全員に与えてくれた最近の会談でも、伝えた。私たちはそれを共に実現することができる。

正直に言おう。ウクライナと米国の関係において、これほどまでの変化を遂げるのは決して容易なことではなかった。最初の米大統領執務室での多くの「とんがり」から、マー・ア・ラーゴでの(最近の)会話に至るまで、容易ではなかったが、1つの事実が証明された。「ウクライナ抜きでは何も生じない」ということだ。ウクライナは自らの発言する権利を防衛し切った。ウクライナが自らを尊重していることを誰もが見ており、だからこそ、皆が私たち、ウクライナを尊重しているのだ。その最も明白な証拠は、今年、私が米大統領と7回会談したことである。ワシントン、ニューヨーク、ハーグ、バチカン、世界のどこで会おうとも、米国の大統領は常に私たちの民に言及し、ウクライナ人がいかに勇敢に戦っているかを語る。全世界にとって、ウクライナ人について語ることは今や不可欠なことになった。それを聞くことは幸せであるし、このような人々の大統領であることは誇りだ。

そして、耐え抜いて、あらゆる敵の軍事施設や製油所に到達し、戦争をロシアに押し返し、NATOの軍人に現代無人機の何たるかを教えている国家の大統領であることも(編集注:誇りだ)。ロシアに非対称な平手打ちを食らわせ、クプヤンシクを3度制圧したとか「邸宅近くの無人機を自分の手で叩き落とした」といった嘘をプーチンにつかせられる国家の大統領であることを。成熟した長期的視点を持ち、国産の長距離攻撃能力を持ち、ゆえに根拠を持っているウクライナ。知恵と尊厳を持ち、妥協する用意はあっても、侮辱を受ける用意はないウクライナだ。

その点でウクライナを支えてくれている全てのリーダーたちに感謝する。何よりも大切な次のことを理解してくれている人々にだ。今、選択肢は2つしかない。世界がロシアの戦争を止めるか、あるいは、ロシアが世界を自らの戦争に引きずり込むかだ。これほどの戦争が行われ、ウクライナで、欧州で、このような戦争が4年も続いた後でも、残念ながら、いまだに多くの人にこのことを説明しなければならないのは衝撃的である。私たちは説明しているし、繰り返している。首脳が交代しても、問いは同じである。

米国は侵略者を非常に迅速かつ断固として止めることができるだろうか? 間違いなくできる。私たちはそれを望んでいるだろうか? 強く望んでいる。それはいつ可能だろうか? 常に可能だ。そしてそれはいつ必要だろうか? 昨日ですら必要だった。そして2026年、それは可能である。制裁はある。私たちは感謝している。制裁はロシアを蝕んでいるが、死に物狂いの力しか機能しない。ロシアの石油はすでに安くなっているが、戦争を止めるためには、彼らのタンカーを完全に止めなければならない。ロシアの工場はすでに停滞しているが、占領軍が動けないように完全に停止させなければならない。そして、ウクライナが「トマホーク」を手にすることが証明するのは、実は1つのことだけである。それは、「平和には代案がない」ということ。そして平和は存在しなければならないということだ。支援も、強力な合意も必要だ。そうすれば、全てがうまくいく。

欧州はそれを理解しているだろうか? 理解している。欧州全体が理解しているだろうか? 否。私は、ウクライナがそうであったように、ある日の朝4時に突然、欧州の全ての人がそのような理解に至るようなことにはなって欲しくない。私は、欧州の人々の住む通りに「Z」の文字が書かれた兵器が現れることによって、そのような理解が生じることを望まない。プーチンが「あなた方を攻撃するつもりはない」と言う時というのは、彼の戦車と彼の無人機がどこへ向かっていくかを示す最初のシグナルである。

私たちは今日、次のように述べる権利を持っている。「ウクライナは実際、快適な欧州の生活を『ロシアの世界』から隔てている唯一の盾である』と。多くのリーダーたちにとって、なぜウクライナを支援するのかという問いはもはや生じない。なぜなら、もし万が一、ウクライナが倒れれば、次の問いが待っているからだ。「なぜポーランドを支援するのか」、「バルト諸国のために誰が戦うのか」、そして「ウクライナ不在のNATOで何をするのか」。

欧州にはウクライナが必要であり、ウクライナには欧州が必要だ。私たちはそれをかつてないほど感じている。米国での会談の後、欧州のパートナーたちと電話をする時には、彼らは眠らずに、とても心配しており、私たちは常に連絡を取り合っている。マクロン仏大統領と今後どう行動すべきか協議している。キーウへの帰路では、メルツ独首相と話すと、彼は「防空システムを届ける」と言ってくれる。スターマー英首相とも話しているし、彼とは年明け直後に会わねければならない。「有志連合」を生じさせ、全ての文書を完成させ、米国を失わず、ロシアを追い詰めるためには、いかなる休止も作ってはならない。メローニ伊首相が言うことは完全に正しい。彼女は、「合意文書は正しくなければならない。平和はウクライナ人が受け入れられるものでなければならない。その平和はウクライナ人が承認しなければならない。なぜなら、もし全てが不公平で、平和が脆弱なものであれば、モスクワは再び侵攻してくるからであり、その時、失望したウクライナの人々が、広場で欧州や米国の首脳たちの肖像画を焼くようなことにはなって欲しくないのだ」と述べている。

平和は生じなければならないし、それは尊厳あるものでなければならない、というこれらの言葉は、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、ポーランドといった、ウクライナのために実に多くのことをしてくれている全ての人々が支持している。フレデリクセン・デンマーク首相はいつも「私たちはウクライナのために十分なことをしていない、もっと多くのことをしなければならない。なぜなら、それは欧州全体の防衛のためだからだ」と述べている。私たちと共にいるスペインや、外交と祈りとともにあるバチカンとファナール(コンスタンティノープル全地総主教庁)。チェコ、ルーマニア、ギリシャ、エルドアン(トルコ大統領)、EUの全ての国々もだ。今朝はストゥブ・フィンランド大統領が電話をくれた。私は、毎日彼と連絡を取り合っている。重要な会話の後、彼はいつも最後に「友よ、トレーニングを忘れるな。君は強くなければならないし、ウクライナ人は強くなければならない。私たちはあなた方を信じている。私たちは皆、あなた方を必要としている」と言ってくれる。

欧州の首脳たちとのこのようなやりとり、このパートナーシップの温かさと精神は、ウクライナがすでに欧州家族の一員であり、私たちの間の全ての交渉クラスターが実はとっくに開かれていることを意味する。そして、そのような団結は希望を与える。ウクライナと欧州のこのような団結は証明されている。私たちは1000億ドルの支援を得た。これは単なる2年間の支援以上のものだ。私たちの軍の強靭性であり、私たちの人々の平穏であり、資金、賃金、年金である。そう、それは『命』である。そして、最終的には、それにロシアが代償を払うというのが正義である。

このような団結、ウクライナへの関心は、大陸をはるかに越えている。それは日本、オーストラリア、カナダにおいても顕著に実感できる。歴史の光の側に立ち、ウクライナの側に立って、ウクライナが自らの目的を達成し、平和へと到達できるよう、全てを尽くしている世界の全ての人に、私はとても感謝している。

親愛なる国民よ!

まもなく新年だ。私たち、何百万人の人々がそれを待っている。何はともあれ、新年はやってくる。なぜなら、私たちはそういう人々であり、ウクライナ人であり、何かを思い付き、何かを料理するからだ。私たちは華やかに、美味しく、シャンパングラスを手にするだろう。人によってはもっと強いお酒かもしれない。そして乾杯が行われ、非常に大切な言葉を述べるだろう。皆で1つ、何百万のウクライナ人のために乾杯。

今、最前線にいる兵士たちのために。ウクライナのために命を捧げた一人一人のために。毎日私たちを救い、教えてくれる全ての人々のために。いつも、今夜も任務に就いている全ての人々のために。消防士、医師、エネルギー技術者。拘束から帰還し、この新年を自宅で迎える私たちの人々のために。私たちが待っている全ての人々のために。私たちを助けてくれる全ての人々のために。この戦争が終わるように。平和が訪れるように。敵が何も成功しないように。私たちがこのように戦い、このように耐え続ける限り、敵が成功することはない。私たちがウクライナ人である限り。

ロシアが戦うよりも平和のための理由を1つだけ多く見つけた時に、彼らは戦争を終わらせざるを得なくなる。だからこそ、私たちは、前線の若者たちが言う言葉をしばしば口にする。『私たちに必要なのは、彼らよりも一日長く持ちこたえることだけだ』。

そして今日、付け加えようと思う。1歩先に、1時間早く、1つの決断をより勇敢に。そしてたとえ10分の1でも良いから、より良い決断に。そして10パーセント、最初に述べたあの10パーセントだ。10パーセント強く行動する。そうすれば私たちは100パーセント平和を勝ち取ることができる。私は、私たち全員にそのことを願っている。

親愛なるウクライナ国民よ!

2025年が幕を閉じようとしている。私たちの周りは本物の冬だ。そして長い間目にしなかった、新年の雪がある。子供たち皆、そして正直に言えば、大人たちも、それを待っていた。

それは強い感覚を与えてくれる。私たちが何かを強く強く望めば、遅かれ早かれそれは実現するという感覚だ。間違いなく、今私たちが最も望んでいるのは平和である。しかし、新年の雪とは異なり、平和は奇跡のように空から降ってくるものではない。それでも私たちは平和を信じ、そのために闘い、そのために働いている。そして、それを続けていく。なぜなら、私たちは2026年に、空が静かで、大地が穏やかになり、私たちの家に暖かさと明かりが生じることを、とても望んでいるからだ。170ではなく、本来あるべき220となることを(編集注:おそらくワット数のこと)。私たちの人々が皆、前線、捕虜収容所、占領地から、家に戻れることを。私たちが存在し続け、ウクライナが存在し続けることを、望んでいる。

新年おめでとう、親愛なる国民よ! ウクライナに栄光あれ!


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