ウクライナ、欧州委員会からEU拡大報告受領 改革評価あるも汚職対策に懸念あり
マテルノヴァ駐ウクライナEU大使とカチカ欧州・欧州大西洋統合担当副首相がキーウでの記者会見時に報告書につき発表した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
マテルノヴァ大使は、ロシアの残虐な(全面)侵攻が始まってから4年目に、ウクライナがEU加盟への進展に関して3つ目の報告書を協議できる段階にあるということは、「歴史的出来事だ」と指摘した。
マテルノヴァ氏はまた、「ウクライナは、いかに改革を実施しつつ、同時に私たちが目にしている犠牲を払いながら、国の生き残り、主権、自由を巡って戦うという、実質的に新しい教科書を書いている。そのようなことはこれまで一度もなかったのだ。EUは活発な戦争状態にある国と交渉を行ったことはこれまで一度もなかった。(中略)そのため、私は、報告書は、それが例外的な状況であるとの感覚を非常に明確に伝えるものだと特に強調したい」と発言した。
同時にマテルノヴァ氏は、欧州委員会の同報告書はウクライナが実行した作業の肯定的なダイナミズムと規模を示しているとし、様々な噂やニュースはあるが、大きく重要な作業が行われており、それがこのような評価を下すことを可能にしたと指摘した。
同氏は同時に、「しかし、状況を取り繕わないために、私はまた次のことも言いたい。懸念を覚えさせる分野があり、さらなる改善を必要とする分野がある。私たちは、各章のあとに勧告を出しており、昨年と比較すると、それらのいくつかには変化がない」と発言した。
そして同氏は、報告書には2025年7月の出来事(編集注:ウクライナ政権による汚職対策機関の権限縮小の試み)と汚職対策機関の活動の安定性に関する懸念も記述されていると伝えた。
その上で同氏は、「さらなる進展は、当然それら機関の独立の維持にかかっている」と強調した。
写真:ヘンナジー・ミンチェンコ/ウクルインフォルム
カチカ宇副首相は、記者会見時、欧州委員会の報告書には多くの勧告が含まれているが、いずれも「批判的なものではない」と指摘した。その際同氏は、法の支配や汚職対策の分野をはじめ、それらの勧告はウクライナが定めた方向性と一致していると述べた。
同氏は加えて、戒厳令は否応なく民主的機関の活動や憲法上の自由にも影響を及ぼしているとし、「なぜなら、そこに戒厳令の本質があるからだ」と指摘した。
同時に同氏は、「しかし、報告書に指摘されており、私たちにとって重要なことは、戒厳令の制限が釣り合いの取れたものとなっており、必要以上にはなっていないことだ。それはかなり独特なことである。つまり、ウクライナは表現の自由においても、民主的機関の活動においても、民主主義、開放性の然るべき水準を維持しているということだ。私たちは社会の民主的な性格を維持しているのであり。それは私たちにとって重要なことだ」と語った。
同氏はまた、エネルギーやデジタル経済のような構造的な分野では、ウクライナは非常に高い評価を維持しており、労働者の移動の自由のような始まったばかりの分野では結果はより控えめだが、勢いは改善されていると述べた。
その上で同氏は、「それは、私たちが2028年に交渉を完了し、必要な法制全てを2027年末までに採択するという野心を裏付けるものだ。全ての私たちの目標は変わっていない」と述べた。
これに先立ち、ロイターは、EUが作成した新しい「EU拡大報告書」案には、ウクライナはEU加盟に向けて「著しいコミットメント」を示しているものの、汚職対策分野における否定的な傾向を改めるとともに、法の支配分野の改革を加速する必要があると指摘されていると報じていた。