EUが拡大報告書案を作成 ウクライナは「法の支配分野の改革を加速すべき」
ロイターがEU拡大報告書の草案文におけるウクライナに関する部分を報じた。
本日採択される見込みの同報告書には、「ロシアの侵略戦争によって国が置かれている非常に困難な環境にもかかわらず、ウクライナは過去1年間、EUへの加盟の道に対して著しいコミットメントを示し続けた」と記されている。
同時に報告書には、ウクライナが改革プロセスを開始したことを称賛しつつも、ウクライナは司法の独立、組織犯罪との闘い、市民社会の尊重において、さらなる進展を達成する必要があることが表明される見込みだという。
記事には、欧州の当局者が、今年7月にウクライナの検事総長が国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察庁(SAP)に対して、より大きなコントロール権限を得るために取られた措置について懸念を表明していたことが喚起されている。
ロイターは、当時の状況につき「戦時下では珍しい抗議活動により、ウクライナ首脳陣は急速に方針を転換することを余儀なくされたが、その出来事はブリュッセルおよびEU加盟国の首都におけるウクライナ支持者の注目を集めることになった」と記している。
欧州委員会の報告書には、「汚職対策特化機関や市民社会に対する圧力の増大を含む、最近の否定的な傾向は、断固として改められるべきである」と書かれているという。
なお、ほぼ全てのEU加盟国がウクライナのEU加盟願望を公に支持しているにもかかわらず、現時点でウクライナが近いうちにEUに加盟する予定はなく、多くの外交官はウクライナの加盟が重大な障害に直面するだろうことを認めているという。
他方で、ウクライナ当局は、2028年末までに加盟交渉を完了する意向をEUに示している。これに対し、欧州委員会は、それを達成するにはウクライナが努力を活発化する必要があると述べているという。
これに先立ち最高会議は今年7月22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択し、同日ゼレンシキー大統領が同法に署名した。これを受け、キーウなどウクライナ各地で、同法に反対する多くの市民が抗議集会を開催していた。
その後7月31日、ウクライナ最高会議は、汚職対策機関の独立性を回復する法案を採択し、その後ゼレンシキー宇大統領が同法案に署名していた。