ウクライナ汚職対策機関トップ、検事総長に汚職捜査事件を他の機関へ移管しないよう要請
クリヴォノスNABU局長が公共放送「ススピーリネ」とのインタビュー時に発言した。
クリヴォノス氏は、「検事総長は、NABUにも特別汚職対策検察(SAP)にも、いかなる捜査も閲覧を要求しておらず、またその捜査を他の機関に移管する決定も下していない。この期間(編集注:新しい法案が採択・発効するまで)にそのような出来事が全く生じないことが非常に重要だ。検事総長に対し、今後もそうしないよう呼びかける」と述べた。
また同氏は、もしそのようなことが起きた場合、クリメンコSAP長へと手続き保証が回復された後に、移管された先の機関からその刑事捜査を再要求することができると説明した。
同時に同氏は、「しかし、私たちの捜査のそういう移管や再要求は大惨事となるだろう! (なぜなら)それらの捜査には、私たちの内部告発者や秘密の捜査・捜索活動に関する情報、違法行為の証拠が含まれているのだ。したがって、それを看過してはならない」と強調した。
さらに同氏は、もし検事総長が新法発効までにNABUから何らかの捜査も取り上げて、他の機関に移管すれば、NABUは直ちにその情報を公開すると警告した。
同氏はその際、「そのような要請があれば、その瞬間に、私たちはウクライナ社会にそのことを伝える。したがって、私は、その(編集注:検事総長がNABUの捜査を閲覧したり、他の機関に移管したりしようとする)蓋然性は極めて低いと考えている」と述べた。
同時に同氏は、現在(編集注:先週採択の法律により)SAP長が事実上、手続き上の権利を失っているため、NABUとSAPは現在、社会にとって重要な捜査を進めることができない状況にあることを喚起した。
その際同氏は、「例えば、現在、高官による不正な利益や何らかの違法行為を文書化する必要があるとしよう。SAP長は検察官のグループを定めたり、自らそのグループの責任者を務めて、その事件の情報を保護したりすることができなくなっているのだ」と説明した。
同氏は、現在、クリメンコSAP長が容疑を通知できる対象は、村議会の議長か地方レベルの議員だけだと指摘した。
これに先立ち最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた。
同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていた。
同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した。
キーウなどウクライナ各地では、連日最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求している。
また、一部の最高会議議員は、同法の審査について憲法裁判所に申し立てをするために、議員の署名集めを行うと発表している。
23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた。
24日、ゼレンシキー大統領は、最高会議に両機関の権限を回復し、独立を確保する新しい法案第13533を提出。NABUとSAPは同日、ゼレンシキー大統領が提出した法案第13533は両機関の独立性のあらゆる保証を回復するものだと表明した。
同法案の最高会議での審議は、7月31日に行われる見込み。