国際海洋裁判所、ロシアのウクライナ海軍軍人24名拘束問題に関する口頭弁論開催 判決は5月25日

国際海洋裁判所、ロシアのウクライナ海軍軍人24名拘束問題に関する口頭弁論開催 判決は5月25日

ウクルインフォルム
10日、ドイツのハンブルクにある国際海洋裁判所(ITLOS)にて、ウクライナのロシア連邦に対する、後者が違法に拘束する24名のウクライナ海軍軍人の問題に関する案件の口頭弁論が開催された。

ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

口頭弁論に参加したのは、ゼルカリ・ウクライナ外務次官(ウクライナ代表団団長)と弁護士団や国際法専門家。ロシア側は、今回の口頭弁論への参加を拒否した。

ゼルカリ外務次官は、ITLOSに対して、ロシアにウクライナ海軍軍人と艦船を解放させるべく、暫定措置を取るよう要請した。

同外務次官は、弁論の際、ロシアが本件に関して何らかの裁判を開く度に両国間の係争は問題を深めるだけとなっているとし、「ウクライナ、ウクライナ海軍軍人、艦船を受けている損害は深刻であると同時に、その深刻度は日に日に増しており、情勢は緊急の判断を要している。ウクライナは、国際海洋裁判所に対して、暫定措置を採り、それにより、ロシアに同艦船・乗員を速やかに解放し、ウクライナに戻すことを求めるべきだ」と発言した。

さらに同外務次官は、2018年11月25日、ロシアが黒海海上でウクライナ海軍の艦船をだ捕し、それにより国連海洋法条約が定める他国の軍に所属する艦船の「免責」の基本原則に違反したことを指摘した。

外務次官は、今回の裁判を始めるまでに、ウクライナは様々な国際場裏で、ロシアに国際法の義務を遵守させるべく作業をしてきたが、肯定的結果を得られることはなかったとし、それにより、ウクライナは、国際海洋法条約の第7付属文書にのっとり、係争解決のための裁判手続をとらざるを得なくなったことを主張した。

加えて、ゼルカリ外務次官は、ロシアの行動が国際海洋法条約への著しい違反行為であることを改めて強調するとともに、クリミアがウクライナの不可分の領土であり、今回ウクライナの艦船がだ捕された領海はウクライナに属する、あるいは排他的経済水域であることを喚起した。同時に、同次官は、たとえロシアが自らの領海・排他的経済水域でウクライナの艦船をだ捕していたと仮定しても、それは同様に国際海洋法条約への違反となっていたことを指摘し、その説明として、国際システムにおいて艦船の持つ免責が基本的原則であることを喚起した。

続けて弁論を行った、「Covington & Burling LLP」社のジョナサン・ギンブレット(Jonathan Gimblett)弁護士は、ロシアによるウクライナの艦船だ捕に関して主張している正当化の根拠に反論した。

ギンブレット弁護士は、ロシアが5月7日に発表した覚書において、ウクライナの艦船に関する複数の断罪を行っていることを喚起し、第一に、ロシアがだ捕したウクライナ艦船3隻が「秘密オペレーションを行うためにロシア領海に進入」と主張していることにつき、「事実に反する」と反論した。同弁護士は、これら3隻は、オデーサ港からアゾフ海北岸のベルジャンシク港に向けて移動していたことを喚起し、ウクライナの別の艦船がロシアによるだ捕の発生する2ヶ月前の2018年9月にも同様の移動を行ったことを指摘した。

また、ロシア側がだ捕したウクライナの艦船から見つかった文書を参照し、「これら艦船に対し、秘密裏にロシアの領海を通行することを命ずる内容」と解釈していることにつき、ギンブレット弁護士は、「タラソウ・ウクライナ海軍中将は、同文書の目的は、ロシア政府の船との不要な事態を回避することにあったことを確認している」と指摘し、「ケルチ海峡を秘密裏に通行することは物理的に不可能である」ことに注意を促した。また、ギンブレット弁護士は、ウクライナの艦船がケルチ海峡に差し掛かった際に、ロシアの国境警備隊とケルチ市の港湾運営局に3隻の海峡通行の意図を伝えていたことを喚起した。

第2に、同弁護士は、5月7日のロシアの覚書には、だ捕の発生した2018年11月25日にはケルチ海峡に多くの船舶が集まっており、それによりロシアがウクライナ海軍艦船の行動を正当化しようとしているが、説得力のない主張であると反論した。同弁護士は、ケルチ海峡の商業船の通行は普段から多く、11月25日のみとりわけ多かったことは多く公開されている写真からも確認できないとし、更にロシア側がタンカーでケルチ海峡を封鎖した際には、ウクライナ海軍艦船のみならず、全ての船舶の同海峡の通行が妨害されていたことを喚起した。

同弁護士は、仮にロシアの主張するような「危険な船舶数」が海峡付近にあったならば、ロシア沿岸警備隊側が軍事行動をとり、ウクライナ艦船に対して砲撃をすることは不可能であったはずだと指摘した。

第3に、同弁護士は、ロシア側は、だ捕前のウクライナの艦船が攻撃態勢に入っていたとして断罪するが、ウクライナの艦船が小型であることとロシア側の同海域の船舶の規模を考えれば、批判に耐えられる主張ではないと指摘した。

同弁護士は、ロシア側が提示するだ捕・砲撃の根拠は、全て事実に反しており、2018年11月25日のケルチ海峡沖での出来事は、国際海洋法条約の決定的な違反であり、国際海洋裁判所の審理対象となるものであるとの考えを示した。

同日の口頭弁論は、ゼルカリ次官、ギムブレット弁護士の他、マルニー・チーク(Marney Cheek)、ジャン=マルク・トルヴェニン・ハーグ国際法アカデミー教授(事務局長)(Jean-Marc Thouvenin)、アルフレド・ソーンス教授(Alfred H. Soons)が弁論を行った。

同日の口頭弁論が終わると、パク・チジン・ヒョン裁判官は、本件の判決は5月25日に言い渡されると発表した。

なお、ウクライナ側は、4月16日付訴訟にて、「2018年11月25日、ロシア連邦は、ウクライナ海軍の艦船3隻、『ベルジャンシク』、『ニコポリ』、『ヤニ・カプ』のコントロールを奪い、だ捕、軍人24名を拘束。だ捕の際、ウクライナの船舶は黒海上で、オデーサ港に向かい移動しているところだった(編集注:ケルチ海峡からオデーサへ戻り始めていた)。ロシア連邦は、海洋法条約の第32、58、95、96条と慣用法の定める軍艦船・その乗員の有す主権的免責を侵害した』と主張している。


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