イラン航空管制はウクライナ航空機がミサイルで撃墜されていたことを知っていた=報道
ウクライナのTSN局が番組内にて、テヘラン空港の管制塔側とイラン「アセマン・エアラインズ」航空機のパイロットの会話記録を公開した。
報道では、「TSN.ティジュデンは、センセーショナルな証拠を入手した。テヘラン空港の管制塔と、イランのアセマン・エアラインズ社の副操縦士の会話記録だ。彼は、イランの航空機のハンドルを握りながら、ミサイルの発射と爆発を見ていたのである。しかし、この記録でわかる重要なことは、イランの航空管制がウクライナ国際航空の旅客機の事件の真の理由を単に隠していただけではないということだ。この記録は、イランの人々が発射の瞬間からウクライナの旅客機に命中する瞬間までミサイルを見ていたことを示している」と伝えられている。
報道には、ウクライナ航空機の機体は、1月8日午前6時20分に離陸、その時、アセマン・エアラインズ社のシーラーズ~テヘラン間を飛行するEP3768便が着陸しようとしており、ウクライナ機離陸の約3分後に、イラン機パイロットがミサイルとを目にしたと述べていると報じられている。
TSNは、主にペルシア語で行なわれていた会話を全て訳し、テキストで公開している。
会話記録では、着陸に向かっていたEP3768便パイロットが「ルート上にミサイルからのような閃光。何がそこにあるのですか?」と尋ねる声が聞こえる。
続けて、このイラン機のパイロットは、「今、そこからそれが飛んで行って、光が見えています。これは間違いなくミサイルの光ですよ」と述べ、ミサイルが町の方角から飛んできたと補足している。
その後、管制塔側は、ウクライナ国際航空の機体と連絡しようと試みるが、問いかけには返事はなかった。その後、管制塔側は再びイラン機に連絡すると、パイロットはもう何も見えないと返答する。
イラン機パイロットは、「管制塔、私たちは爆発と、爆発による大きな閃光を見ました。それが何かはわかりません」と答えている。
パイロットはまた、管制塔側に対して、自身の操縦する飛行機は「大丈夫か?」と尋ねており、管制塔側はそれに対して、「ええ、私は、あなた方に何かしらの問題が起こるとは思わない」と答えている。
TSNは、イランが自らの罪を公式に認めたことについて、「それは、裁判でもイランの法律家が同様に認めることは全く意味しない。イランが『ブラックボックス』をいまだにウクライナに渡していないことも、その考えを後押ししている」と報じている。
更に報道は、今回公開した会話記録にて、イランの政権がウクライナ側に対して真実を伝えていなかったことを明確に示していると指摘しており、事件に関する会話記録は一切ないと伝えていたことを喚起している。
番組内で、アンドリー・ツァパリイェンコ記者は、この記録は、イラン側が発射の瞬間からウクライナの旅客機に命中する瞬間までミサイルを見ていたということを示しているとし、更に、管制塔側はミサイル発射と爆発について知りながら、「落ち着いた声で、目撃者のパイロットを落ち着かせている」と述べる。番組内では、航空問題の専門家ヴァディム・ロマノウ氏が、管制塔がイラン機には問題が起きないと明言する場面について「少なくとも疑問が沸くものだ」と指摘している。
ツァパリイェンコ記者は、「私たちは、このように推測している。もしかしたら、私たちは、管制塔が他の誰かと連絡する際の会話の部分は聞けていないのではないか?誰かが管制塔職員を落ち着かせて、もうミサイルは発射されないと述べていたのではないか?という推測だ。私たちは、ミサイル発射が偶然だったのかどうか確実に知ることはいまだにできていない。イラン政権がウクライナの専門家に『ブラックボックス』をいまだに渡していないことは懸念を起こさせる。(中略)この悲劇的なエピソードにおいて、イランがいまだに何か隠している可能性は排除されない。会話記録の提出拒否を別の何かで説明することは困難である。国際裁判におけるブラックボックス不在は、イラン政権の責任回避を可能にする」と述べている。
なお、2日、ゼレンシキー大統領がTSNに今回報じられた会話記録に関してコメントしている。
これに先立ち、これに先立ち、8日、イラン首都テヘランのイマーム・ホメイニ空港を離陸した後、キーウ(キエフ)に隣接するボリスピリ空港へ向かっていたウクライナ国際航空のボーイング737が墜落した。同機には、乗客・乗員計176名が搭乗。ウクライナ国民11名を含む、その全員が死亡している。
イランは、11日にウクライナ航空機を誤射で撃墜したことを認める発表を行なっている。
写真:AA