加盟に向けた3つの要素:ウクライナのNATOへの道

加盟に向けた3つの要素:ウクライナのNATOへの道

ウクルインフォルム
安全保障のためには、国内の強靭さが不可欠である。

※この特集記事は、オリハ・ステファニシナ欧州・欧州大西洋統合担当副首相が欧州プラウダ通信に寄稿した記事です。

ウクライナは、2か月前、北大西洋条約機構(NATO)との実質的協力を進化させる上での重要な一歩を歩んだ。北大西洋理事会(NAC)が高次機会パートナー(EOP)地位を私たち(ウクライナ)に付与したのだ。

これまで、その地位を有していたのは5か国だけである。ジョージアや、欧州連合(EU)加盟国であるスウェーデン、フィンランドがそうだ。

この地位は、前払い金によって私たちに与えられたのではない。それは、ウクライナの大陸での集団安全保障への貢献が認められたことを意味しており、私たちが行ってきた多くの仕事の総括として付与されたのだ。

同時に、その成功は、私たちのNATO加盟に向けた今後の道がどのようなものとなるか、という質問を突きつけている。

分析しよう。私たちがNATOに加盟するための一般的なアルゴリズムは、3つに分けられる。

1つ目は、最も明白なのは、軍の相互運用性である。しかしこれは全体の半分に過ぎない。

2つ目は、国内改革であり、それらは年次国家プログラムに反映されている。

3つ目は、戦略的コンセプト「NATO2030」形成のような、NATOの大きなプロセスへ加わるという希求である。

年次国家プログラム2020

ウクライナNATO年次国家協力プログラムは、NATO加盟の際の基準に合った達成を行うための手段である。毎年、一貫して段階的に実現されるそれは、国を根本的に変貌させていくものであり、対象は軍事・防衛問題にとどまらない。

報道やソーシャルメディア上に、2020年が世界にとって困難となった理由について多くの情報がある。ウクライナは、地球上のその他の場所と同様に、コロナウイルスの世界的拡散、地球規模のロックダウン、その経済的影響を体感することになった。それでもそのような状況とは無関係に、戦略的優先課題は変更されず、私たちは2020年、ウクライナNATO委員会の庇護の下、年次国家プログラムの中間ラインを越えた。

本年上半期の年次プログラムの参加者全員(国営企業を含む70以上の省庁からなる)による報告は、「飛行は上々」であることを示している。プログラムは、アクティブな状態にあり、概して期限を守った上で予定通り履行されている。

そのため、私たちは、秋のNATO国際事務局の専門家たちのウクライナへの訪問の準備を粛々と行っている。

NATO
NATO

戦略的改革

各年次プログラムは、戦略的改革のパッケージとなっており、それらがウクライナを、軍に限らず、様々な分野においてNATO加盟国のレベルに引き上げるものとなっている。説得力ある事例を挙げよう。今年NATOに加盟した北マケドニアの一人当たりGDPは、6000ドル強であり、ウクライナの約2倍である。

つまり、加盟希望国が、民主主義、自由、法の支配という、NATOの基盤となっている価値を追うには、体系的で価値的な変化が必要なのだ。そして、それによって国民生活のレベルが向上することになる。

年次国家プログラム2020は、特に人間中心的な内容である。防衛・安全保障分野への注意は下げないまま、同時に体系的な変革に焦点が当てられている。

なぜなら、安全保障にとっては、国内の強靭さが不可欠だからだ。その強靭さが、経済的安定性、法的支配、現代的インフラ、教育、医療をもたらすのである。

その意味では、私たちが欧州大西洋統合に向けてすべき行動というのは、その多くが欧州統合の枠内での行動と一致し、それを補完するものなのである。

ウクライナとNATO2030

ウクライナの国際安全保障への貢献が、NATOによってEOP地位付与という形で認められた後、明白となっているのは、次のステップである、NATOの将来的発展の戦略的視点形成の分析的プロセスである「NATO2030」(NATO reflection process)へ我々が参加することである。

このコンセプトは、NATOの今後10年の発展を定めていくものである。

またそれは、拡大計画だけでなく、過去数年に生じた挑戦を反映させた、欧州大西洋安全保障・世界安全保障の効果的メカニズムを作るという作業でもある。

私たちは、ブリュッセル訪問時、ウクライナ側をそのプロセスに加えることの重要性につき、ヤン・ストルテンベルグNATO事務総長と協議を行なった。私たちの観点では、ウクライナの経験、可能性、欧州大陸と世界全体における安全保障維持におけるウクライナの戦略的役割、欧州大西洋統合の動きの詳細化を考慮した上で、戦略コンセプト「NATO2030」を作成することは、論理的なことである。

私たちがこの方向で成功するには、自国の戦略的イニシアティブ、政府、議会、社会という全ての方面で、調整され、一貫した共同作業ができるかどうかにかかっている。

かつてNATOは、軍事的安全保障のために作られたが、それは広範な意味での安全保障というものの一部に過ぎない。

広範な意味での安全保障というのは、実質的に「生活の質」に合致するものである。そしてそれは、NATO加盟国国民にとっては、現在のノルマとなっているものなのだ。

オリハ・ステファニシナ欧州・欧州大西洋統合担当副首相(欧州プラウダ通信に寄稿)


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