ロシアの対独戦勝式典は欧州各国首脳にとってのテスト

ロシアの対独戦勝式典は欧州各国首脳にとってのテスト

ウクルインフォルム
ロシア連邦は、モスクワにて大規模な軍事ショーを行うことで、世界に対して新しい兵器を示しつつ、自らの影響力の強化を試みている。

6月24日のモスクワにおける軍事パレードの開催は、形式的には第二次世界大戦終了を記念したものとされている。しかし、実際には、同パレードはロシアが支援する非承認国家の「首脳」を合法化しようとしたり、独立国家共同体(CIS)の国々に対して、クレムリンの意思を否定することは厳しく罰せられるということを示そうとしたりすることを目的としている。グローバル脅威・民主主義分析研究所(IGTDS)(米デラウェア州)は、ロシア政権による24日に予定される戦勝式典の真の動機を分析し、欧州の首脳たちに対して、この「おかしな見世物」に参加することにつき警告している。ウクルインフォルムは、IGTDSの記事の訳を掲載する。


クレムリンは、欧州連合(EU)各国首脳をモスクワでの戦勝記念のおかしな見世物に出席させようと、あらゆる外交・非公式チャンネルを活用してきた。

特に、在クロアチア・ロシア大使館には、6月24日にゾラン・ミラノビッチ・クロアチア大統領をモスクワに来させるよう、指示が出されていた。アレクサンダル・ブチッチ・セルビア大統領の出席が確認されていることを考えると、ウラジーミル・プーチン露大統領と並んでこの二国(クロアチアとセルビア)の首脳が出席することは、バルカン半島におけるロシアのリーダーシップを強調するだけでなく、同地域におけるロシアの北大西洋条約機構(NATO)加盟国への影響力も強調することになる

欧州において保健システムの危機と危機的に多くの感染事例を起こした新型コロナウイルス感染(COVID−19)の世界的流行は、ロシア政権には、対独戦勝記念式典を2020年6月24日に延期させることになった。この延期は、第二次世界大戦終了との関連がなくなったことで、その意味を完全に変えている。更に、軍事パレード開催は、ロシアにとっての第二次世界大戦開始記念日の2日後に定められている。このように、ロシアは、今年の行事を論理的に中止のではなく、代わりにそのアイデアを推し進め、9月2日(日本による降伏文書署名日)という第二次世界大戦の正式な終了の代替日ではなく、それよりも2か月前の日を選んだのだ。

9月2日は論理的には式典延期日になり得る日なのだが、モスクワでは、多くの人がその日は昭和天皇の日本への勝利における米国の役割を連想する。そのため、この日がトップレベルで(延期先の日程として)採択される余地はなかった。

ロシア政権幹部は、ロシア社会の団結、軍国主義的感情や、ポーランドとの間の事例であったような外政上の空論をの維持・発展するために、第二次世界大戦勝利におけるロシアの重要な役割というテーマを利用しており、彼らにとってその役割を顕示することは、極めて重要となっている。

クレムリンは、自らの侵略政策の正当化と国内有権者への影響力行使のために、ファシズムの外的脅威を可視化し続けることに関心を持っている。全体主義の脅威や、表現の自由の不在や、自由な意思の発露の可能性や政界における競争の欠如よりも、ファシズムの脅威の方が理解しやすいような国内有権者に対する影響力である軍事パレードは、クレムリンにとっては、恐怖のプロパガンダであり、周りのあらゆる勢力が(ロシアという)国を弱体化させ、崩壊させたがっているとする、幻想を創出するためにある。このような手段で、クレムリンは、権威主義のリーダーの周りに国家を団結させようとしている。このような実践は、北朝鮮、中国、イラン、ベネズエラやその他の非民主的国でも広範に行われているものである。

地政学的意義

モスクワにおける戦勝式典は、ロシアにとって地政学的意義も持つ。第一に、それは、クリミア併合とウクライナ東部での戦争展開によって科された制裁の政治的効果を中和する試みである。第二に、傀儡の自称共和国(非承認国家)の代表者の合法化の試みである。クレムリンの公式発表によれば、戦勝式典には、非承認アブハジアのアスラン・ブジャニヤ「大統領」と非承認南オセチアのアナトリー・ビビロフ「首長」の出席が伝えられている。更に、非公式情報では、ウクライナ東部の傀儡共和国「LPR」と「DPR」やトランスニストリアの「首脳」の到着も予定されている。ロシアは、彼らを欧州の首脳たちとともに式典へ出席させることで、彼らが承認されたかのような外観が作れ、欧州首脳たちとの直接的な個人的接触の条件が作り出せると信じているのだ。クレムリンは、欧州各国の首脳たちと傀儡領域の形式的トップを並ぶ映像に関心を持っている。その後、その痕跡や写真はつなぎ合わされ、欧州各国にてプロパガンダメディアを通じて流されることになる

軍事力の顕示

式典運営者は、式典が1.5時間長くなると発表した。それは、式典に第二次世界大戦時の軍服を着た10の追加の行進隊列、装甲車の数字上の優位を保つためだけにまだロシア国防省の構成に維持されている旧時代のT-34戦車やSU-100自走砲を参加させるためである。そして時間が長くなることの主要な理由は、地対空ミサイルシステム、防空システム、沿岸ミサイルシステム、遠隔地雷設置車両、戦車、歩兵戦闘車といった、新型兵器を示すことにある

つまり、終戦を祝う式典にて、ロシア首脳陣は、軍事パレードが優位と拡張のシンボルであった1930年代のナチス・ドイツ同様に、明確な軍国主義的なナラティブを示そうとしているのだクレムリンは、自らをファシズムと対峙させつつも、ファシズムの特性である、軍国主義、不寛容、ナショナリズムを丸々引き受けている

軍事パレードの公式な目的は、戦後のロシアの再生と、侵略再来と占領を看過しない防衛能力を示すことだとされている。しかしながら、ロシアによるシリアやリビアの戦争参加、ジョージアの占領、ウクライナでの戦争展開、クリミアの併合は、威嚇と侵略のメッセージを伝えている。このメッセージを重要な受取人は、12のロシアの旧ソ連プロジェクトであるCISの参加国である。ロシアは、彼らに、自らの影響圏を抜け出すことは看過しないという明確なシグナルを送っている。同時に、モスクワは、戦勝75年のメカニズム、レトリック、象徴主義を用いながら、欧州に対してもそのような影響を拡大する望みも捨てていない

グローバル脅威・民主主義分析研究所(IGTDS)


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