ウクライナ正教会への独立トモスの付与が決定:コンスタンティノープル総主教庁聖会議

コンスタンティノープル総主教庁聖会議は、ウクライナ正教会に独立に関するトモス(編集注:正教会の公布文書)を付与する決定を採択した。

11日、イスタンブルで開催されている聖会議により、同決定が確定された。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

聖会議12人の構成員とヴァルソロメオス1世コンスタンティノープル総主教の署名の入った決定には、「以前コンスタンティノープル総主教庁が採択した、ウクライナの教会に独立を与えるとの決定を更新する」と書かれている。

同決定を読み上げたのは、フランス府主教のエマニュエル・ガルスキーであった。

また、同決定によれば、聖会議が、フィラレート・ウクライナ正教会キーウ(キエフ)聖庁総主教の要請を受け入れ、同総主教を教会法上合法な正教会の聖職者であることを認めたとある。

また、同様に、ウクライナ正教会自治独立派のマカリー総主教も教会法上の合法性を回復したとのこと。

決定には、「教条上ではない理由で分断に陥っていたフィラレート・ダニセンコとマカリー・マレチチおよび彼らの追随者の訴えを受け入れる」とある。

さらに、聖会議は、1686年のモスクワによるキーウ府主教区の編入を違法なものと認めた。

決定には、「1686年付の会議書簡の法的効力を無効化する。この会議書簡は、神の配慮のみを通じてモスクワ総主教にキーウ府主教を叙聖(編集中:任命)するための権利を保証する一時的なものとして定められたものであり、同総主教はあらゆる祝いの際に、自らが教会法上母なる教会コンスタンティノープルに依存していることを宣言し、確認しつつ、コンスタンティノープル総主教を最上級の聖職者として祝福することが義務付けられていた」とある。

聖会議構成員は、すべての関係者に対して、対立的状況が生じるのを回避するよう呼びかけた。

聖会議の公式文書の最後の項目には、「私たちは、すべての関係者に、教会、修道院、その他の資産を欲することを控え、また、平和とキリストの愛を維持するために、あらゆる暴力行為、復讐を控えることを呼びかける」と書かれている。

これまで報道にあったように、イスタンブルでコンスタンティノープル総主教庁聖会議が10月9〜11日の3日間開催されていた。10日には、聖会議は、ダニエル大司教とヒラリオン府主教によるウクライナ訪問結果の報告を聞いていた。

4月19日、ウクライナ最高会議(国会)は、ポロシェンコ大統領からヴァルソロメオス1世コンスタンティノープル総主教に対しての独立のトモス付与に関する呼びかけを支持した。

コンスタンティノープル総主教庁は、ウクライナ正教会への独立付与の準備の一環で、ダニエル大司教とヒラリオン主教の二人を総主教代理として任命した。

以前、ゾリャー・ウクライナ正教会キーウ聖庁報道官は、コンスタンティノープル総主教庁聖会議による独立のトモス付与の決定が下された後、キーウにおいて、トモス付与をコンスタンティノープル総主教に要請したウクライナ正教会のキーウ聖庁、モスクワ聖庁、自治独立派の聖職者による会議が招集されると説明していた。会議により、教会統一が行われ、唯一のウクライナ統一正教会が創設され、その総主教が選出されることになる。

その後、ウクライナ統一正教会の新たな総主教により、文書としてのトモスの授受が実施される。