ベン・ウォレス元英国防相
プーチン氏がトランプ氏の発言に耳を傾けている兆候は一切見られない
ワルシャワでは安全保障フォーラムが開催され、世界の政府高官、政治家、軍人、専門家たちが欧州が直面する課題と欧州における戦争を終結させる戦略について議論した。
ウクルインフォルムは、同会場で、ウォレス元英国防相とインタビューを行い、トランプ米大統領による最近のウクライナ関連のイニシアティブや、ウクライナの防衛能力、プーチン氏の心理状態、英国の今後の支援について尋ねた。
聞き手:ユーリー・バナヘヴィチ(ワルシャワ)
写真:ユーリー・バナヘヴィチ/ウクルインフォルム、ワルシャワ安全保障フォーラム、Tim Hammond/No 10 Downing Street, Pippa Fowles/No 10 Downing Street, Tim Hammond/英国防省, Simon Dawson/No 10 Downing Street, State Department photo by Freddie Everett/Public Domain
ロシアの物流妨害はウクライナの防衛の一部
ウォレスさん、欧州の同盟国は、ロシアの燃料インフラや物流施設への攻撃を含め、ウクライナの自衛の権利をこれからも支え続けると思いますか? トランプ米大統領が最近、ウクライナに対してロシアの製油所への攻撃停止を呼びかけたことを踏まえた質問です。
同盟国はウクライナ支援を継続しなければなりません。ロシア軍への燃料供給をはじめ、ロシアの物流を妨害することはウクライナの防衛の一部です。そのため、答えは明白です。ロシアが違法な戦争を継続している限り、私たちはロシア領内で行動するウクライナの権利を支え続けます。私は、プーチン氏がトランプ氏の発言に耳を傾けている兆候も、軍事行動を一時停止する兆候すらも、全く目にしていません。。
ウクライナは、エネルギー・インフラをはじめ、ロシア領内深部への攻撃を強化し、拡大すべきでしょうか?
それは、戦場で何が自らにとって効果的か、また、平和が他の誰よりもプーチン自身の利益に合致することを彼にどう理解させるかという、ウクライナ軍司令部にとっての問いです。それは重要です。しかし、どこまで深く入り込むか、どれだけの攻撃を加えるかを決めるのは彼ら(編集注:司令部)です。前線に近い兵站への攻撃と、深部の兵站への攻撃の間のバランスは常に模索されなければなりません。いずれにせよ、違法な侵攻が経済的弊害をもたらすということをロシアに知らしめているウクライナの行動は正しいです。私はそれを全面的に支持しています。しかし私には、トランプ氏以外の誰かが、何らかの「合意」が存在すると判断したとの確信はありません。トランプ氏が行っていることの大部分はフロリダのゴルフ場で発案されたもので、世界の大部分の地域の現場で生じている現実とは無関係だと思います。
ウクライナはロシアの標的や能力の特定において、とても創意に富んでいる
欧州のパートナー諸国と英国は、今後どのようにウクライナを支援していく計画ですか?
私は英国のことのみ話すことができます。英国は、私たちがずっと進めてきたように今後も行動し続けなければなりません。つまり、物資とインテリジェンスの両面で支援することです。ウクライナ自体がロシアの標的や能力を特定する上で非常に創意に富んでいることを私たちは忘れてはなりません。ロシア人は忘れていますが、何千何万ものウクライナ人がソ連軍に加わり、多くのロシア人よりもはるかに詳しく、ロシアのことを内側から知っているという事実を、私たちは忘れてはなりません。結局のところ、私たちはできる限りの全てで彼らを支援しなければなりません。
前線及びウクライナ全体の状況をどう評価しますか?
私は、ウクライナが多くの面で優位に立っていると考えています。戦略的観点からは、ロシアは自らの行動の結果としてスウェーデンとフィンランドがNATOに加盟したのを目にしています。それはプーチン氏の計算に全く入っていなかったことです。今や自国国境の近くにさらに2つのNATO加盟国が存在しているのであり、それは彼が間違いなく望んでいなかったことです。プーチン氏は、実際のところ、自らのエゴのせいで自分が敗北していることを理解しなければなりません。彼には、自らの軍に対し不都合な質問をすべき時がきています。なぜなら彼らは明らかに真実を語っていないからです。彼と彼の閣僚たちは、戦場に存在しない偽りの勝利の捏造に追われています。ウクライナは、自国民に甚大な犠牲が出ているにもかかわらず、戦いを続け、大きな成果を達成しています。今日、ロシアが勝利したと主張できる者は誰もいません。
ウクライナは防空の強化、特に防空システム「パトリオット」用の追加のミサイルを必要としています。欧州はこれらのニーズを満たす支援ができますか?
テクノロジーはすでにこれらのニーズの一部を追い越しています。私たちはウクライナや欧州において、非常に高価なミサイルに代わるものを生み出している企業をすでに目にしています。この戦争に「パトリオット」ミサイルだけで勝利することはできません。この戦争は新しいテクノロジーによって勝利することになります。ウクライナは戦争初日からそれを証明しています。かつて私は対戦車ミサイル「NLAW」でウクライナを支援しましたが、それらはロシアの戦車に対抗する上で非常に役立ちました。テクノロジーは非常に速い速度で発展しています。ウクライナは、欧州と同様、この発展において優位を有しています。
戦争は近い将来どのように推移するとお考えですか?
私たちは、戦争初日からエゴと幻想に基づいて行動しているプーチン大統領と事を構えています。あれは非論理的で非理性的な思考です。彼の世界観は歪められた歴史に基づいています。結局のところ、ロシアは苦しんでいるのです。ロシアの民は、苦しみがプーチン氏のエゴの結果であることを理解し始めています。
英国は、ロシアに自らの行動の代償を払わせる現実的な行動を信じている
ロシアは英国を含む欧州諸国で工作活動を続け、偽情報キャンペーンを展開しています。西洋諸国はこれらの脅威にどのように対抗すべきでしょうか?
英国のような一部の国は、攻撃されたら傍観しません。私が内務担当副大臣を務めていた時、ロシア人によるスクリパリ父娘毒殺未遂事件(編集注:2018年3月)の後、私たちは同盟国とともに活動し、153名のロシア外交官を世界各国から追放しました。
攻撃には応えなければならない。そうでなければ、攻撃者は、全てのことが認められていると判断してしまうからです。
私たちはそれを受け入れません。フーリガンは許されている時にしか暴動を起こしません。英国は声明だけでは終わらせません。私たちは、ロシアが自らの政策の現実的な悪影響を感じなければならないと確信しています。それが非常に重要なのです。ロシアは脅迫できる者や買収できる者に執着することを好みます。しかし、北欧諸国、ポーランド、ウクライナ、英国を買収することはできません。攻撃には応えなければなりません。さもなければ攻撃者は全てのことが許されていると判断するでしょう。
最後に、全てのウクライナ人が関心を寄せている質問です。英国は必要な限りずっとウクライナを支援し続けますか?
ええ。私たちは、私たちの世代が第二次世界大戦以来目にしたことのない事態を目撃しています。クレムリンの全体主義独裁者が民族戦争、占領、国全体の破壊の道を選択しています。唯一の道は、すでに自らが敗北したことを彼に認識させるか、あるいは、その男が自国民を経済的・軍事的破滅に導いていることを国民自身が理解するのを待つかです。ロシアは現在、10年前よりもはるかに弱い国となっています。これはロシアにとって大きな代償を生み出している戦争です。