ロシア・ウクライナ戦争の和平交渉は行き詰まり=ウクライナ専門家

ウクライナの政治専門家ヴァディム・デニセンコ氏は、ウクライナ、米国、ロシアの三者フォーマットにおける和平交渉は、現在行き詰まりの状態にあり、人道面での合意を除いて、近い将来に具体的な成果は期待すべきではないとの見方を示した。

デニセンコ氏(分析センター「ジロヴァ・ストリツャ」代表)がウクルインフォルムとのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。

デニセンコ氏は、交渉を継続するための前提条件は存在するものの、交渉自体の実効性については大きな疑問が残ると発言した。その際同氏は、「率直に言うと、被拘束者交換を除いて、それ(交換)自体は非常に重要なことではあるものの、何らかの突破口は期待すべきではない」と指摘した。

また同氏は、現在の重要な問題はロシア首脳陣に対して実効的な影響力が行使されていないことだと強調した。同氏はその点につき、「今日、ロシア国内においても、国外においても、プーチン氏に対して現実的に圧力をかけられる勢力が存在しないのだ。そのような勢力が存在しない限り、彼は、今のように、行動し続けていくだろう」と指摘した。

影響力に関連して、同氏は、トランプ氏をはじめとする外国プレイヤーがロシア・ウクライナ戦争の推移に影響を与える可能性について懐疑的な見方を示した。同氏は、「トランプ氏には、プーチン氏に戦争を止めさせるだけの十分なテコがない。そのため、現在のフォーマットにおいて、成果を出すような交渉を期待することは、現実味に欠ける」との考えを示した。

その他同氏は、現在のイラン情勢が始まって以降、トランプ氏にとっては、「外政上の成功」が特別な意味を持つようになっているとし、その観点からウクライナがその1つとして検討される可能性があることに注意を向けた。そして同氏は、「それはウクライナにとって複雑な挑戦を生み出す。一方では、トランプ氏と対立することは避けねばならないし、他方では、譲歩シナリオを押し付けられることも防がなければならない」と指摘した。同時に同氏は、外交的圧力に対して、ウクライナが感情的に反応することは、戦略的な悪影響を生む可能性があると警告した。

その他同氏は、現在の行き詰まりの状態から抜け出すには、交渉フォーマットの変更が唯一の条件だとの見方を示した。同氏は、「参加国の範囲を広げない限り、現実的な成果を得ることは実質的に不可能だ」と強調した。

同氏はその際、まず何よりも欧州諸国、とりわけフランス、ドイツ、英国の役割強化が重要であるとし、これらの国々は既に協議に参加しており、ウクライナと立場を調整していると指摘した。また同氏は、拡張される可能性のあるフォーマットには、中国、サウジアラビア、トルコといった他の影響力のある国が加わる可能性にも言及した。そして同氏は、「フォーマットの拡張こそが、交渉プロセスを停滞状態から抜け出すための前提条件を作り出し得るだろう」と指摘した。