戦時下は、複雑な歴史についての議論を行う最善の時ではない=ポーランド元外相
ポーランドのチャプトヴィチ元外相は、戦争中はウクライナとポーランドの間で複雑な歴史の議論を行う最善の時ではないとの見方を示した。
チャプトヴィチ・ポーランド元外相がウクルインフォルムとのインタビューの際に発言した(リンク先はウクライナ語)。
チャプトヴィチ氏は、「ポーランドは交渉のための空間を少し残しておくべきなのだ。戦争は、ウクライナにとって複雑な歴史的文脈についての議論を行うための最善の時ではない。今日、ウクライナは自らの存在、主権、国家性のために戦っているのだが、ポーランドにはこの状況への理解が十分ではないように私には思われる。代わりにポーランド側からは、私はそれを激しく批判しているのだが、ウクライナの歴史問題に対する姿勢を変えさせるために、ウクライナの苦しい立場を利用しようとする試みが看取される。私たちはウクライナに対して上から目線で接してはいけない。なぜならウクライナは強い国家であり、100万人近い軍を有しているからだ。したがって、ポーランドがウクライナに何かを強要できるという考えは大きな誤解である」と発言した。
同氏はまた、ナヴロツキ・ポーランド大統領はゼレンシキー大統領からポーランドの白鷲勲章を剥奪を主導の検討という不適切な手段を選択したと指摘した。同氏はその際は、「勲章の剥奪はそもそも検討の対象にすべきではなかった。外交的な措置に訴えることはできた。大使を呼び出したり、抗議の口上書を出して懸念を表明して、問題に注意を向けさせたりするか、あるいは他の影響力メカニズムを利用することはできただろう。しかし、選択された方法は不適切であり、私の考えでは、肯定的な結果をもたらすことはない」と指摘した。
その際同氏は、ポーランドは以前からウクライナともっと活発に、特に複雑な歴史の問題において協力すべきであったが、ナヴロツキ大統領はウクライナから招待を受けているのに、今なおキーウを訪問していないと述べた。
同氏はそして、「代わりに、歴史の複雑なページへの認識を冷静に形成し、徐々に和解へと進むために、対話を行い、相互理解と協力を深める必要があるのだ」と強調した。
その他同氏は、ポーランドはドイツから遥かに大きな損失を被ったが、それにもかかわらずポーランドはドイツとの同盟・友好関係を構築することに成功したと指摘し、「そのような道が、ポーランドとウクライナの両国民を待っている」と表明した。
同時に同氏は、ゼレンシキー大統領がウクライナの部隊の1つに「UPA(ウクライナ蜂起軍)の英雄」という名称を付与する決定を下したことは、ポーランド社会に本物の痛みを引き起こしたと強調した。同氏はその際、「多くのポーランド人にとって、UPAは何よりもヴォリーニの悲劇やポーランド人の大量殺害を連想させるのだ。ここにおいて『痛み』という言葉は完全に適切であると確信している」と指摘した。
これに先立ち、ポーランドの白鷲勲章評議会は、ウクライナのゼレンシキー大統領から同勲章を剥奪し得るイニシアティブを、ナヴロツキ大統領に提示していた。今後、ナヴロツキ大統領が剥奪に関する決定を「適切な時期」に下す予定となっている。
チャプコヴィチ氏は、今回のインタビューで、ナヴロツキ大統領がゼレンシキー大統領からの白鷲勲章剥奪に関する自らのイニシアティブについて、「一歩後退した」との見方を示している。
これに先立ち、5月27日、ゼレンシキー大統領は、ウクライナ軍特殊作戦軍独立特殊作戦センター「ピウニチ」に対し、「ウクライナ蜂起軍(UPA)の英雄」という名誉称号を付与していた。
これを受けて、ポーランド外務報道官は29日、この決定を非難した。
ウクライナのティーヒー外務報道官は29日、ポーランドとウクライナの歴史には栄光ある出来事も悲劇的な出来事もあるが、UPAの英雄賛美に反ポーランド的な意図はなかったと指摘した。
6月2日、ウクライナのミシチェンコ外務次官とポーランドのウカシェヴィチ駐ウクライナ・ポーランド大使代行は、今回の名称付与をめぐる、ウクライナとポーランドの社会の受け止めにつき協議を行っていた。
写真:ポーランド外務省