「モルドバ議会選挙は欧州にとってのリスク」=ゼレンシキー宇大統領
ウクライナのゼレンシキー大統領は27日、モルドバでの議会選挙は欧州にとってのリスクだとし、なぜならロシアがモルドバに影響力を行使し、同国を支配したがっているからだと発言した。
ゼレンシキー大統領が記者団とのやり取りの際にモルドバ議会選挙についての質問に答える形で発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「私は、欧州はリスクを抱えていると思っている。私たちは、それ(編集注:モルドバ議会選挙)をモルドバの国内問題だとは言えない。なぜなら、モルドバは欧州連合(EU)の将来の加盟国だからであり、同国の国境は欧州諸国と接しており、ロシアはモルドバに非常に強く影響を行使したがっているからだ。全ては政治から始まる。私たちはそれを経験してきた。議会に自勢力の政党が入れば、次の一歩は自勢力の政府、それから当然、自勢力の大統領となる。その後は、軍事プレゼンスだ。そういう方向でロシアは行動している」と発言した。
また同氏は、モルドバの親欧州的なサンドゥ・モルドバ現行大統領は、ウクライナの主権を尊重しているが、同時にモルドバ議会の政党に変化が生じれば、モルドバの政治にも変化が生じる可能性があると述べた。
同氏はその際、モルドバのトランスニストリア地域のいわゆる「共和国」についても言及した。
同氏は、「トランスニストリアとその地域の上層部にいる人々は今は静かだ。なぜなら、彼らは、戦争当初にシグナルを受け取って、私たちのことを恐れているからだ。トランスニストリアから数発の銃撃があり、彼らは良好な警告を受け取った。だから彼らは静かなのだ」と指摘した。
また同氏は、さらにモルドバには親欧州の大統領がいるとしつつ、もしモルドバの制作が親ロシア的になれば、今静かな人々も騒ぎ出すかもしれないと述べ、「なぜならそこ(編集注:トランスニストリア地域)には数千人のロシア軍人がいるからだ」と指摘した。
なお、モルドバでは、9月28日に議会選挙の投票日を迎える。
同選挙に関して、モルドバのサンドゥ大統領の安全保障担当補佐官を務めるスタニスラフ・セクリエル氏は8月上旬に、選挙への介入の試みとして、ロシアがモルドバ国外の欧州各地で暮らすモルドバ国民を対象として偽情報拡散を活発化していると発言していた。
日本の石破首相は今月1日、モルドバのレチェアン首相と会談し、同国で今月28日に投票の実施が予定されている議会選挙の情勢などにつき協議し、その際、双方は、「同選挙の民主的な実施が地域や国際社会の安定にとって重要であるとの認識で一致」していた。
7月には、モルドバ首都キシナウで第1回欧州連合(EU)・モルドバ首脳会議が開催され、その際に採択された共同宣言では、ロシアによるモルドバの選挙への介入の試みに特に注意が払われていた。
同共同宣言には、「モルドバの未来は、外部圧力、外国からの干渉、印象操作なしに、モルドバ国民によって自由かつ民主的に決定されねばならない。私たちは、モルドバの民主的な選挙を破綻させることを目的とした、ロシアによる恒常的かつ増大するハイブリッド脅威、情報環境への操作と干渉、そして現地の仲介者を通じた大規模な選挙不正スキームの利用を断固として非難する」と書かれている。
モルドバのヴォデ政府報道官は9月9日、レチェアン同国首相の姿で、議会選挙前にガス料金の値下げを約束するディープフェイク動画が拡散されていると警告していた。