クレムリン高官コザク氏、プーチン氏の対ウクライナ戦争政策を巡る意見相違を受け解任

米国の戦争研究所(ISW)は、ロシア大統領府の高官らは、対ウクライナ戦争に関するロシア首脳プーチン氏の政策との長年の意見の相違を経て、おそらく同国首脳プーチン氏の同意を得た上で、ドミトリー・コザク大統領府副長官を要職から解任した可能性が高いと指摘した。

ISWが9月17日付報告書でロシア国営メディア「RBK」の記事に言及した

ISWの専門家たちは、RBKが9月17日に、2人の関係者の話として、コザク氏が先週末(9月13、14日)に「辞職」し、ビジネス界へと活動を移す様々な提案を検討していると報じたことに注意を向けた。

報告には、同報道が出た日、ロシアの政治学者アルカジー・ドゥブノフ氏も、モスクワの情報筋により、コザク氏が「自発的に」辞職したと伝えたと書かれている。ドゥブノフ氏によると、コザク氏は2022年2月21日のロシア連邦安全保障会議の会合で、ウクライナへの全面侵攻の開始に反対を表明した唯一の参加者だったという。ロシアの記者、アレクセイ・ヴェネジクトフ氏も9月17日に、ドゥブノフ氏の発言内容を認めたという。

ISWは、コザク氏は全面戦争開始当初にウクライナのNATO加盟を阻止する合意をウクライナと仲介していたらしいが、プーチン氏はウクライナ領土を併合したがっていたため、その合意を却下したらしいと伝えている。

ISWは、「コザク氏とプーチン氏との度重なる衝突についての報道は、プーチン氏、そしておそらくセルゲイ・キリエンコ大統領府副長官のようなクレムリン内の他の影響力のある人物が、コザク氏をその職から排除したか、あるいは、自発的な辞任を強要したことを示唆している」と指摘している。

コザク氏は以前、プーチン氏に特に近い顧問の一人であった人物。2022年にクレムリンが担当をキリエンコ氏に引き継ぐまで、クレムリンのウクライナ戦略を主導していたことが知られている。キリエンコ氏はまた、最近、コザク氏からクレムリンの対モルドバ政策の管理も引き継いだと報じられている。

ISWの専門家は、コザク氏がクレムリンを去ることで、プーチン政権におけるキリエンコ氏の権力と権限が強化されるだろうと指摘している。

専門家たちは、「ウクライナでの戦争終結を望む意向を表明したクレムリン高官を、プーチン氏が側近グループから追い出したというあり得る決定は、プーチン氏とその顧問らが、ウクライナでの戦争を継続するというコミットメントと、戦争に関するプーチン氏の最大主義的要求を中心に結束していることを改めて示している」と指摘している。