ウクライナ汚職対策機関、国会議員に汚職捜査を妨げるおそれのある法案に賛成しないよう要請

ウクライナの政権高官の汚職犯罪の捜査・訴追に特化した機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」は1日、最高会議(国会)の第二読会での審議が準備されている法案第12439が重要汚職捜査にとっての障害を生み出すおそれがあるとの見解を発表した。

NABUとSAPが共同声明を発出した

声明には、「最高会議では、刑事手続き実施の際の事業体保護の保証を、あたかも改善することを目的とする法案第12439が、第二読会の審議に向けて準備されている。NABUとSAPは文書の条項を分析し、提案されている変更(とりわマクシム・ブジャンシシキー議員とフリホリー・マムカ議員によるもの)が、重要な汚職との闘いに深刻な障害を生み出すとの結論に至った」と書かれている。

両機関は、この改変案の執筆者は、ある行為が規制当局の「説明」に合致している場合に、その行為を合法と認定するよう提案していると報告している。そして、両機関は、「これは事実上、裁判所の判断が、たとえそれが個別手続きで提供されたものであっても、当局者の恣意的な解釈に置き換えられることを意味する」と説明している。

さらに両機関は、同法案は、捜査判事の然るべき決定なしに、賄賂の提案・約束、その提供、あるいは影響力の濫用に関する事件において、緊急の家宅捜索を行うことを不可能にするものだと指摘している。

両機関は、「提案されている変更は憲法や法の前の平等という原則に反しており、重要汚職犯罪者に不処罰のための手段を与え、現在進行中の捜査や裁判所に送致された事件を危険にさらすものである」と訴えている。

その上で両機関は、「それは、当局者や法執行機関による権力濫用から事業を保護するものではない。提案されている新規定は、権力を濫用する者たちの責任追及を不可能にする。汚職対策システムと司法に痛ましい打撃を与える可能性のある投票を控えるよう、最高会議議員たちに呼びかける」と伝えている。

これに先立ち、本年2月25日、最高会議は「刑事手続きの実施における事業体の保護の保証を改善するための刑事手続き法典改正案」(第12439号)を第一読会で採択していた。