露宇戦争和平のために領土問題を提起するのは国際秩序への脅威=独専門家

ストックホルム東欧研究センター(SCEEUS)の専門家アンドレアス・ウムランド氏は、ロシア・ウクライナ戦争を終わらせるために、一部の政治家が「領土交換」を提起していることは危険であるとし、それは第二次世界大戦後の国際秩序全体を破壊する可能性があると指摘した。

ウムランド氏がウクルインフォルムにコメントした。

ウムランド氏は、「NATO事務総長のような一部の政治家が領土問題を提起していることは危険だ。私は、停戦中にロシアが占領地を支配し続けることについてのみを話し合っているのであって、ウクライナが正式に領土を割譲することではないと願っている。それが西側全体の政策ではないことを願っている。もしそうであれば、1945年以降に確立された国際秩序の終わりとなってしまう」と指摘した。

また独紙ビルトが、スティーヴ・ウィトコフ米大統領特使が、最近のモスクワ訪問中に、ロシア側の「領土交換」の意図に関する発言を誤解した可能性について報じたことにつき、ウムランド氏もその見方に同意した。同氏は、ウィトコフ氏の交渉スタイルは以前から激しい批判にさらされており、専門外交官の同行や独自の通訳もないままプーチン氏のところへ行っており、またウィトコフ氏には外交の経験もないことを指摘した。

同氏はその際、「彼には国際外交の経験がないが、今、このような世界的な政治問題を解決するために派遣されている。その結果、このような誤解が生じている」との見方を示した。

8月15日にアラスカ州でトランプ大統領とゼレンシキー大統領が会談する可能性について、ウムラント氏は、「現在、トランプ氏とプーチン氏の会談は実現しそうだが、そこにゼレンシキー氏が加わるのか、トランプ氏がゼレンシキー氏と会談するのかは不明だ。もちろん、どちらかの当事者が首脳会談をキャンセルする可能性もあるのだが、しかし、計画はすでにかなり進んでいるため、おそらく何らかの形で開催されるだろう」と述べた。

同時に、同氏は、トランプ氏にとっての問題は、プーチン氏の隣にいるという姿が米国大統領として、少なくともトランプ氏の一部の支持者にとっては、あまり良いことではないという点だと指摘した。その際同氏は、なぜなら多くの人がプーチン氏について非常に批判的だからだとし、プーチン氏は米国で人気がなく、ほとんどの米国民はウクライナを支持していることを挙げた。

同氏は同時に、対照的にプーチン氏にとっては、ショーとして首脳会談を開催することは大きな勝利になると指摘した。その際同氏は、プーチン氏は現在、皆をだましており、米国や欧州からの脅威を真剣に受け止めておらず、自身の議題を推し進めていると述べた。プーチン氏はこれまでのところ、制裁は限定的なままであり、高い関税やロシアの「影の船団」全体に対する制裁、凍結されたロシア資産の没収というような、より真剣な制限がまだ発動されていないことから、同氏は成功しているのだという。

その他、ウムランド氏は、トランプ氏とプーチン氏の会談が米国領、それもアラスカ州で行われることに驚いたと述べた。その際同氏は、ロシアのメディア空間では、アラスカは実際にはロシアに属しており、いつかはロシアに戻ってくるというミームが出回っていることを喚起した。さらに同氏は、アラスカは1867年に売却されたのではなく、ロシアによって貸し出されただけだとか、米国が当時支払ったお金は受け取られなかった、などといった陰謀論も存在すると伝えた。その上で同氏は、そのような背景からして、アラスカという選択は奇妙だと述べた。

また同氏は、将来の会談の結果について語るのは時期尚早だと述べた。同時に、同氏は、長射程兵器の使用を含む、部分的な停戦の考えに関しては、それはロシアにとって有利であるとの見解を示した。同氏は、なぜなら、ウクライナは過去数か月、長射程無人機でロシアのインフラ、産業施設、軍事基地を非常にうまく攻撃しているからであり、ロシアは明らかにそれを止めたいと考えているからだと述べた。同氏は、それはウクライナにとっては不利になるとし、なぜなら、ウクライナの技術的優位性は、ロシアと比較した上での人員不足を補う上で決定的に重要な意味を持っているからだと説明した。