ウクライナの保安庁と汚職捜査機関、それぞれの主張に反論

ウクライナ保安庁(SBU)は21日、汚職捜査管理機関である特別汚職対策検察(SAP)の家宅捜査時に、SBU職員が秘密の捜査情報にアクセスしたとする指摘を否定した。一方、国家汚職対策局(NABU)は、今回のSBUによる家宅捜索の根拠の一部である交通事故というのは2021年と2023年のものであり、事故にかかわった職員は責任逃れはしておらず、捜査に協力していたと主張した。

SBU広報室は、同庁は7月21日にSAPの国家機密法遵守に関する調査を開始したが、国家機密法第37条にて定められている範囲、手段でのみ調査は行われていると主張した

発表には、「公式に発表する。SBU職員は、あらゆる機密上かつ作戦上の措置に関する情報、NABUとSAPが行っている特殊作戦の情報へのアクセスを得ていない。SBUの調査は、そのような文書の内容全般を知ることではない。SBU代表者によるNABUとSAPが行っている機密捜査情報のあり得る暴露に関する声明は、無根拠であり印象操作的だ」と書かれている。

さらにSBUは、裁判所の承認のない緊急捜査の実施は、そのような承認を得ることが情報漏洩を引き起こしかねなかったり、ロシアとの協力に関する捜査の一環での特殊作戦に障害をもたらしかねなかったりする場合には、法律違反ではないと強調した。

NABU広報室は、テレグラム・チャンネルにて、今回同局職員3人が国家捜査局により通知された交通事故事件は、2021年と2023年のものであると伝えている

発表には、「2021年(2件)と2023年(1件)に生じた個別の3つの交通事故に関するものである。それぞれの事例で、NABU職員は、出来事の後すぐに被害者に応急治療を施し、救急車と警察を呼び、関連機関に連絡していた。それは、適切な形で記録されており、NABU内部管理局が実施した業務調査の結論で認められている」と書かれている。

NABUはまた、自局職員は職務上の地位を自己の利益のために利用したり、責任を回避しようとしたりはしておらず、反対に、交通事故の状況の改名に最大限協力し、捜査の要求に応じてあらゆる必要な説明と書類を提供してきたと強調した。

その上でNABUは、「これらの状況からして、2〜4年前に生じた出来事の事実にもとづいて大規模家宅捜索の実施も、代替のない拘留という形での予防措置の申し立ても、理解し難いものに見える。また、同時に、捜査への影響のリスクがないにもかかわらず、3名の職員全員の職務停止の申し立ても出されている」と伝えた。

NABUは、手続き上の決定は、適法性、正当性、比例性の原則に基づかなければならないと訴えている。

これに先立ち、SBU関係者が同日、SBUと検事総局は、NABUへの「ロシアの影響力を排除」する特殊作戦を実施していると伝えていた。またSBUは、現職最高会議(国会)議員であるフェージル・フリステンコ氏に、国家反逆罪の容疑を通知したとも発表していた。SBUは、フリステンコ氏はロシア連邦保安庁(FSB)のトップエージェントだと主張している。

同時に、特別汚職対策検察(SAP)は21日、ウクライナの保安庁(SBU)がSAPのもとで、国家機密法遵守の調査を行ったと報告した。SAPは、今回の措置は、現在NABUとSAPが捜査している多くの刑事事件における秘密裏の捜査活動に関する情報の漏洩に繋がるおそれがあるとの見方を示している