ウクライナ国営プリヴァト銀行、元所有者のオリガルヒ2名との裁判に勝訴
ウクライナの国営「プリヴァト」銀行は30日、英国の高等法院にて、同銀行の元所有者であるイーホル・コロモイシキー氏とヘンナジー・ボホリュボウ氏が信用供与スキームを利用する形で同銀行の資金約20億米ドルを不法に流用したことを認めたと発表した。
プリヴァト銀行がフェイスブック・アカウント伝えた。
発表には、「本日下された判決で、高等法院は、これら2名の人物が非常に複雑な信用供与スキームを用いて銀行資金約20億米ドルを不法に流用したこと、このスキームが被告である個人(すなわち、コロモイシキー氏とボホリュボウ氏)の利益のために用いられていたことを認定した」と書かれている。
また同銀行は、裁判官は、コロモイシキー氏とボホリュボウ氏によるそれら取引への関与の証拠がないという主張を却下し、彼らの反論が「完全に不正直な根拠に基づいている」ことを明らかにしたと伝えた。裁判所はまた、コロモイシキー氏が「自らを法を超越した存在だとみなしていたようである」とし、またボホリュボウ氏は人を騙す内容の文書を使用していたと認定したという。
この元所有者2名がプリヴァト銀行に対して負う債務の全額はまだ確定されていないが、裁判所がプリヴァト銀行の請求を全て認めたことを考慮すると、利息を考慮しない場合でも17億米ドル以上の支払いを義務付けられる可能性が高いと書かれている。そして、利息と法務費用を含めた総額であれば、それは20億米ドルを大幅に超える可能性があるという。
プリヴァト銀行は、元所有者のいずれも2023年の訴訟手続き中に証言を行わなかったと指摘しつつ、コロモイシキー氏がこの期間の一部をウクライナで一時的に拘束されていたことを喚起した。裁判官は、彼らが証言を拒否したのは、資金の不法流用における自らの役割に関する質問を恐れていたためであると認定した。
報告には、プリヴァト銀行の代理人を務めた法律事務所ホーガン・ロベルズのパートナー、リチャード・ルイス氏の発言として、「この訴訟手続きは、英国の裁判所でこれまで行われた中で最大級に複雑なものだった。プリヴァト銀行は裁判所に、いかにして数十億ドルがコロモイシキー氏とボホリュボウ氏によって不法に流用されたかについて、多大な証拠を提出した」と書かれている。
また、ウクライナのスヴィリデンコ首相も今回の判決をXアカウントで歓迎した。
スヴィリデンコ氏は、「これはウクライナにとって明らかで紛れもない勝利だ。改めて、ウクライナは国境を超えてなお、正義を貫き、国民の利益を守る能力があることを証明した。この判決は、国家が真実を追求するだけでなく、国際法定で国益を効果的に守ることができることを示すものだ」と書き込んだ。
なお、現在、プリヴァト銀行とその法務顧問は損害賠償請求の段階に入っており、元所有者の資産に対して裁判所の判決を強制執行していくことになるという。