ウクライナと米国、復興投資基金設立協定に署名
ウクライナと米国は4月30日、復興投資基金設立協定(これまで「鉱物資源合意」と呼ばれていたもの)に署名した。
ウクライナのスヴィリデンコ第一副首相兼経済相がフェイスブック・アカウントで報告した。
スヴィリデンコ第一副首相は、ベッセント米財務長官と、米国・ウクライナ復興投資基金設立に関する協定に署名したと報告した。
そして同氏は、同協定は、ウクライナと米国が共同で「ウクライナ復興投資基金」を創設し、同基金がウクライナへのグローバルな投資を誘致していくことを目的としたものだと説明した。
加えて同氏は、同協定の重要条項を以下のように説明した。
1:完全な所有権と管理権はウクライナに残る。
ウクライナの領土および領海内に存在する全資源はウクライナに属する。どの場所で、何を採掘するかはウクライナが決定する。鉱物資源はウクライナの所有であることが、協定に明記されている。
2:対等なパートナーシップ。
「基金」は50対50の割合で設立される。ウクライナと米国が共同でこの基金を管理する。いずれの側にも優越的な決定権は付与されず、そこには両国間の対等なパートナーシップが反映される。
3:国有資産は保護される。
協定は、国営企業の民営化や管理体制の変更を規定しておらず、国営企業はウクライナに今後も属すことになる。「ウクルナフタ」や「エネルホアトム」のような企業は、引き続きウクライナ国家の所有に残る。
4:いかなる負債もない。
本協定には、ウクライナが米国に対して負債を負っていることに関する言及は存在しない。協定は、その実現により、両国が対等な協力および投資を通じて、経済的潜在力を拡大することが可能となるものである。
5:協定はウクライナ憲法および欧州統合の路線と合致している。
本協定は、ウクライナの国内法と整合しており、また国際的な義務とも一切矛盾しない。また、本協定は他の世界のプレーヤーたちに対しても、ウクライナとは今後数十年にわたり信頼できる協力が可能である、というシグナルとなる。
6:同基金は「新規ライセンス」から得られる収入によってのみ資金が充当される。
「基金」の資金源は、新規のライセンス(重要鉱物資源、石油・ガス関連プロジェクト)によって得られる収入の50%となる。既存のプロジェクトや既に予算に組み込まれている収入は同基金には入らない。本協定は、今後の戦略的協力に関するものである。
7:法改正は限定的なものに留まる。
基金の運用のために必要とされる法改正は、国家予算法典に関するもののみである。協定自体は、ウクライナ最高会議による批准が必要。
8:米国は追加の投資および技術の誘致を支援する。
本基金は、米国政府の支援機関であるDFC(米国国際開発金融公社)によって支援される。DFCは、米国・EU・その他のウクライナを支援する国家における基金や企業の投資および技術の誘致を支援していく。技術の伝達と発展はこの協定の重要要素である。なぜなら、ウクライナには、単に投資だけでなく、イノベーションも必要だからである。
9:基金に対して税制面の保証が付与される。
基金の収益および拠出金には、米国でもウクライナでも課税されない。これは投資が最大限の結果を生むようにするためである。
さらにスヴィリデンコ氏は、「基金」がどのように機能するのかについては、「米国が基金に資金を拠出する。その拠出は金銭に限らず、例えばウクライナへの防空システム供与など、新たな支援の形でも可能だ。ウクライナ側は、新しい区域への新規ライセンスによる新しい使用料からの国家予算収入の50%を基金に拠出する。また、ウクライナは、必要に応じて、この基本拠出以外の追加的な拠出も可能である。これは今後数十年にわたる協力に関するものである」と説明した。
加えて同氏は、今後、「基金」は鉱物資源採掘や石油・ガス採掘プロジェクト、関連インフラや加工に投資していくとし、具体的な投資プロジェクトは、ウクライナと米国が共同で決定していくと伝えた。
同氏はまた、重要な点として、本基金が投資を行うのはウクライナ国内に限定されていることだと指摘した。
その他同氏は、初期の10年間においては、基金によって得られた利益および収益は分配されず、すべてウクライナへの投資にのみ、新しいプロジェクトや復興にのみ充てられることを期待していると指摘し、その条件については今後追加的に協議されると補足した。
加えて同氏は、両国の相互利益を定める協定を作り出したと強調し、「本協定は、米国がウクライナにこえる長期的な平和の実現を促す願望を明確にし、またウクライナが核兵器を放棄することで世界の安全保障に貢献したことを認めるものだ」と指摘した。
同氏はそして、「この協定は、米国のウクライナの安全保障問題、復興および再建へのコミットメントを示すものである」とも説明した。
その上で同氏は、ウクライナ・米国の両大統領のリーダーシップや、この協定の実現のために尽力し、内容を充実させた関係者に感謝を表明した。同氏は、この協定は、ウクライナと米国にとって成功を確保し得るものだと指摘した。
また、スヴィリデンコ氏は、今回の署名につき、Xアカウントでも報告した。
写真:スヴィリデンコ第一副首相(フェイスブック)
※修正(5月1日17:00)合意→協定