常設仲裁裁判所、ロシアにウクライナ・ガス企業への50億ドルの補償支払いを命令 クリミアでの損害賠償

ハーグに位置する常設仲裁裁判所は12日、ロシア連邦に対して、同国による2014年のウクライナ領クリミア占領時におけるウクライナ国営ガス企業「ナフトガス」社の資産奪取の損害賠償として50億米ドルの支払いを命じた。

13日、ナフトガス社が常設仲裁裁判所仲裁廷の12日付判決を伝えた

ナフトガス社のチェルニショウ最高経営責任者は、「ナフトガスのチームは、エネルギー戦線で勝利を得ている。ロシアは司法の妨害を企てていたが、仲裁廷はロシア連邦に対して総額50億米ドル損害を補償するよう義務付けた。ロシアが2014年にクリミアにおける私たちの資産を奪取したことの被害に関するものである。今後ロシアは、国際法に従った自らの義務にのっとりこの判決を履行しなければならない」と伝えた。

同裁判所は、ロシアがクリミアのナフトガス社資産の違法奪取によって生じた損害を完全に補償しなければならないことを認めたことになる。

ナフトガス社は、「仲裁判決は、強制執行メカニズムを通じて履行が可能だ。よって、ロシアが自発的な判決履行を拒否した場合、1958年ニューヨーク条約に従って、ナフトガス社は承認と、ロシア連邦資産のある国の領土内での判決強制履行へのアクセスのプロセスを開始する権利を持つ」と伝えた。

裁判では、補償金額が当時のナフトガス社の資産の市場価格と一致しなければいけないことが確定されたという。ロシア側は、ナフトガス社にはいかなる補償の権利もないと主張したが、法廷は同主張に同意しなかったと書かれている。

今回命令された補償の額は、ロシアによるクリミアの資産収用の補償額として国際仲裁裁判が定めたものの中では最高額だという。