ドイツ当局、ノルド・ストリーム2の認証プロセスを一時停止

ドイツのエネルギー規制機関「連邦ネットワーク庁」(BNetzA)は、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始に必要な認証プロセスを一時的に停止した。

16日、BNetzAが発表した

発表には、「BNetzAは、独立輸送ネットワーク・オペレーターとしてのノルド・ストリーム2AGの認証プロセスを一時的に停止する」と書かれている。

BNetzAはまた、文書の詳細な分析により、ノルド・ストリーム2の認証は、オペレーターの業務運営がドイツ国内法に合致する場合にのみ可能になるとの結論に至ったと説明している。

発表には、スイスに本社を置くノルド・ストリーム2の事業会社「ノルド・ストリーム2AG」社は、同社を再編するではなく、同パイプラインのドイツ通過部分のみのためにドイツ法に従った子会社を設置することを決定したと説明されている。そして、同子会社が、同ガスパイプラインのドイツ通過部分のみの所有者となり、同部分を利用するという。発表には、その場合、同子会社が輸送ネットワーク・オペレーターの独立に関するエネルギー法の要件に合致しなければならないと書かれている。

BNetzAは、「子会社への主要資産と人的リソースの引き渡しが完了しない限り、認証プロセスは停止され続け、BNetzAは、新たな申請者となる子会社の提出文書の一体性を改めて確認することはできない」と伝えている。この要件が満たされる場合、BNetzAは、法が定める4か月間の内の残された期間内に調査を再開することができ、決定案を作成し、欧州委員会にコメントを求めるために提出することができるようになると説明している。

なお、独露間天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」は、今年9月に完工している。ただし、同パイプラインの利用開始には、BNetzAによる同パイプライン認証が必要となっている。

同天然ガスパイプラインは、ウクライナを迂回する形で、ロシアからドイツへとバルト海を通じて建設されたもの。露国営ガスプロム社などが出資者。

なお、7月21日、米国とドイツは、「ノルド・ストリーム2」に関する合意を発表していた。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。同合意は、米国が同ガスパイプラインの完工を容認するものであるとして、米国内外にて批判が出ていた。

とりわけ、同合意につき、ウクライナとポーランドは、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」はウクライナや中欧全体に対する政治、軍事、エネルギー面の脅威を生み出すものであり、米独合意はそれを止める試みを拒否するものだとして批判している。

なお、11月15日、BNetzAは、ウクライナのナフトガス社とガス輸送システム・オペレーター社が独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の認証プロセスへの参加を発表している。ただし、両者は、認証への拒否権は有さない。