露ガスプロム社、宇ナフトガス社に欧州へのガス輸送契約案を送付

ロシアの国営ガスプロム社は、ウクライナの国営ナフトガス社に対して、ウクライナ領を通る欧州へのガス輸送につ関し、現行契約の延長、あるいは、2020年までの欧州のガス需要を考慮した1年間の新契約締結に関する正式提案を送付した。

18日、露インテルファクス通信がガスプロム社広報室の発表を報じた

報道では、「ガスプロム社の提案には、現行契約延長あるいは新契約締結の必須条件として、国際仲裁裁判所へのあらゆる提訴の相互撤回、全ての裁判審議の停止が入っている」と伝えられている。

更に、同社のアレクセイ・ミレル社長の署名の入った正式提案には、その他の条件として、ウクライナ反独占委員会によるガスプロム社に対する「経済競争違反」により課された罰金決定の無効化、ナフトガス社によるガスプロム社に対する欧州委員会調査を主導するイニシアティブの撤回が含まれているとのこと。また、ガスプロム社は、ナフトガス社からのロシア産ガスの直接購入に関する立場も待っていると書かれている。

ガスプロム社は、「正式提案の写しは、オレクシー・オールジェリ・エネルギー・環境保護相とミロシュ・シェフチョヴィチ欧州委員副委員長に送付されている」と伝えたとのこと。

なお、ロシア発のガスをウクライナ領を通じて欧州に輸送する現行契約は、2019年12月31日に失効するため、ウクライナ・欧州委員会・ロシアにより、新契約締結に向けた3者協議が開催されている。本年9月に3者会談が行われた際、ウクライナはロシア側と欧州委員会側に、欧州国内法の自国システムへの導入に関する「ロードマップ」を提示している。ロシアは、ウクライナがガス輸送実行主体の認証をはじめ、欧州法に従って全ての手続きを完了する場合、新ルールでの契約署名を行うと伝えている。

同時に、ロシアは、ウクライナが同手続きを完了できない場合、現行契約の延長を提案している。しかし、ロシア側は、ウクライナが現在欧州側からのガスの逆流供給をしているものを、ロシアから直接の購入に切り替える契約を結ぶことが重要だとの見方を示している。ウクライナは、2015年以降、ロシア産ガスの直接購入はしていない。

11月15日、ナフトガス社のユーリー・ヴィトレンコ専務取締役は、ガスプロム社との契約は、同社が契約上の義務を履行する場合にのみ意味があるとし、同社が義務を履行していないことはストックホルム仲裁裁判所における訴訟の対象となっていると喚起していた。

写真:ナフトガス社