パウロ・パリサ宇大統領府副長官
勝利とは、ロシアがこれ以上私たちの人々を殺害できず、私たちの未来について命令できなくなる状態
2月24日で、ロシアの対ウクライナ全面侵攻開始から4年が経過した。この戦争は、ウクライナ、欧州、そして世界の安全保障秩序を変えた。この間、ウクライナは耐え抜き、国家性を維持し、国際的な支援連合を強化し、領土一体性の回復と公正かつ永続的な平和のための戦いを続けている。
パウロ・パリサ大統領府副長官はインタビューの中で、ロシアは大規模な攻撃を続け、適応しているが、同国には戦争の構図を変えるような突破口はないと強調する。ウクライナの重要な対応の中には、社会と軍の強靭性、軍のテクノロジー化、自国国防産業の発展、パートナーシップの強化があるという。
ウクルインフォルムは、2026年の前線における課題、軍に必要な変化、対露制裁、ロシア・ウクライナ戦争におけるベラルーシの役割について、パリサ大統領府副長官と話した。
聞き手:スヴィトラーナ・トカチューク
写真:パリサ大統領府副長官(フェイスブック)
戦場でロシアに戦争の構図を変えるような突破口はない
パリサさん、2月24日を前に、総括から私たちの話を始めるのでどうでしょう。ロシアの全面侵攻後、ウクライナは4年間ロシアの侵略に抵抗しています。ウクライナにとっては、高いテクノロジー性によって敵を抑止し、勝利できるような軍隊を構築することが極めて必要でした。あなたは、この4年間の戦争で、軍指導部の最も効果的な5つの決定として何を挙げますか?
正直に言うと、私は全てのことを「5つの決定」に集約させることはしません。この対峙は、1つの決定や1つの日付に関するものではないからです。これは、現代戦において完全に備えることが不可能な課題に対し、常に答えを模索し続ける、複雑かつしばしば苦痛を伴うプロセスです。私たちは耐え抜いた上で、戦いを続けています。ですから、私は「5つの決定」ではなく、戦争の挑戦に対してのいくつかの重要な「答え」についてお話ししようと思います。
1つ目は、社会の強靭性です。敵は迅速な戦意喪失をあてにしていました。しかし、ウクライナ人は、軍人も民間人も、長期戦を耐え抜く能力を示しました。全面戦争の4年間は、どんな国家にとっても前例のない挑戦です。しかし、ウクライナの軍人は単に持ちこたえているだけでなく、適応し、学び、戦術を変え、主導権を維持しています。これは1つの決定で測れるものではなく、侵略に対する戦略的な回答です。
2つ目は、戦争のテクノロジー化です。ウクライナは、無人機システム、デジタル管理、人工知能の要素を戦闘プロセスに非常に迅速に統合することができました。無人機は補助的なものではなく、システムとなりました。これにより戦場のバランスが変わり、敵の数的優位を補えるようになりました。
3つ目は、私たちの国防産業が、戦争の困難な条件下で耐え抜き、生産を拡大する能力です。企業、エネルギー、物流が攻撃されているにもかかわらず、私たちは単に能力を維持しただけでなく、それを拡大しました。2025年末時点で、ウクライナは重要分野において前線の需要の約半分を自力で賄っています。これは根本的な変化です。私たちは単なる援助の消費主体であることをやめ、近代兵器の製造主体となっています。
4つ目は、安定した国家間支援連合の形成です。それは、誇張抜きに、ウクライナ大統領及び外交チーム全体の大きな功績です。2022年初頭には、援助が体系的かつ長期的なものになることを誰も保証できませんでした。今日、私たちは、支援が単発的なものではなく、兵器の供給、財政支援、制裁政策といった構造化されたフォーマットを持っています。
国際支援、自国生産、テクノロジー性、人間の強靭性という、これらの要素の組み合わせこそが、全面侵略という課題に対するウクライナの回答となりました。
ロシアはウクライナ国内と同盟国の間の信頼を破壊したがっている
2026年のウクライナ軍にとっての主な課題は何でしょうか? どのような脅威や傾向が予想できており、そして予期すべきでしょうか?
敵は「量」、恒常的圧力、適応に賭けています。自爆型無人機、FPV、誘導航空爆弾、大規模な航空攻撃など、戦闘の性質が急速に変化しているのを私たちは目にしています。しかし、重要なのは別の点で、その(編集注:変化の)ペースにもかかわらず、敵は戦場で重大な戦略的成果を達成していないことです。敵には、戦争の構図を変えるような突破口がありません。そしてこれこそが、敵にジレンマを生じさせています。政治的な局面や和平交渉に進展がなければ、ロシアはおそらく再び動員を通じてリソースを探さざるを得なくなるでしょう。つまり、「質」ではなく「量」への賭けが強まる可能性があります。私たちにとって、それは戦争が激しいままで続くことを意味します。
次の重要課題は、人を守ることです。「消耗」は抽象的概念ではありません。全面戦争の4年間は、人員にとって多大な負荷です。交代の問題や訓練の問題は、戦闘能力の問題そのものです。
その他、情報面の圧力を指摘したいと思います。ロシアは私たちの団結、社会、パートナーとの結束を標的にし続けています。ロシアは、前線とは衝突ラインだけではなく、国の内部と同盟国間の信頼のことだと理解しています。そのため、情報の次元は引き続き戦争の完全な構成要素なのです。
ロシアは自らの帝国主義的野心のために高い代償を払う準備がある
ロシアはこの4年間の全面侵攻において、ウクライナの土地1キロメートルごとに、疑いなく一定の代償を払ってきました。その数字は共有できますか?
率直に言えば、ロシアは非常に高い代償を払っており、今も毎日払い続けています。しかし、ここで重要なのは損失の数だけでなく、その中身も理解することです。
ロシアの人的損耗の累計は既に126万人に達しており(これは第二次世界大戦後で最大の損失です)、2025年における1キロメートルの制圧にかかったコストは120人でした。これらは単なる数字ではありません。ロシアは「世界第2位の軍隊」としての名声を失いました。職業軍人のかなりの部分を失いました。部品の外国からの供給、他の独裁政権の支援に依存するようになりました。これもまた代償です。
経済に関しては、形式的には、ロシアはまだ一定のマクロ指標を示していますが、これらの指標は予算の軍事化によって維持されています。彼らは事実上、経済を戦時動員モードに移行させました。これは国防支出の増大、民間セクターへの投資削減、テクノロジー面の孤立を意味します。このようなモデルは一定期間は機能しますが、長期的な安定を生み出すものではありません。
しかし、次のことは正直に言わなければなりません。これらの損失にもかかわらず、ロシアは止まっていません。彼らは適応し、戦術を変えています。自らの帝国主義的な野望のために高い代償を払う準備があるのです。
だからこそ、私たちの課題は単に彼らの損耗を記録することではなく、戦争の継続が彼らにとって戦略的に無意味な水準になるまで、彼らの軍事的潜在力を体系的に消耗させ続けることです。しかし、もし外交的な手段で戦争を止めるチャンスが少しでもあるならば、それを利用すべきであるとも指摘しておきます。
勝利するためには、大胆な変化が必要
新任のフェドロウ国防相との最初の実務会議の後、あなたは、重要優先課題を一致させ、必要な結果を確保するための新しい決定の基盤が築かれたと述べましたね。国防相のアイデアは国の最高軍事指導部に肯定的に受け入れられましたが、より低い現場の軍人たちにはどのように受け入れられていますか? 指揮官たちからのフィードバックはありますか? 彼らはそれらのアイデアを非現実的すぎるとは考えていませんか?
私たちが話したような課題に対抗する上で、私たちは立ち止まるわけにはいきません。それどころか、勝利のためには大胆な変化が必要です。不人気であっても非常に必要な改革を行うという姿勢は、むしろ必要不可欠であり、私たちが最前線の兵士たちから正に聞いている要求でもあります。詳細を明かすことは控えたいですが、ただし、近い将来、フェドロウ氏からさらなる詳細や、新しいアイデアがどのように実現されるか、私たちは目にすることになるでしょう。
軍内の「レーティング」は、メディア向けのものではなく、プロフェッショナルな手段となるべき
指揮官の効率についてのレーティング(格付け)を作成し、人事異動を行うという提案についてどうお考えですか? そのための人材面の余裕はありますか?
人材面の余裕があるかについては、あります。ウクライナには、4年目も戦い続け、計り知れない経験を持つ軍人の世代が形成されています。私たちの課題は、彼らを失うことではなく、彼らの経験を正しく活用することです。
効率性を測定するというアイデアは正しいですが、「レーティング」はプロフェッショナルな手段であるべきで、メディア向けの手段であってはなりません。明確な基準が必要ですし、それが効率的な指揮官の昇進に役立つようにすべきです。また、その基準が、各層の指揮官が主観的な基準や忠誠度(誰が誰を好きか嫌いか)ではなく、総合的な能力に基づいて任命される上での条件となるべきです。
軍における重要な方向性の1つは、明確な軍役期間を定めた明瞭な契約モデルの導入
国防大臣は、不人気な措置をとる準備があると述べました。あなたの考えでは、どのような不人気な措置を優先的に行うべきでしょうか?
率直なところ、戦争における最も不人気な決定というのは、いつでも動員と公平性の原則に関連しています。
社会は明確なルールを待望しています。ですから、重要な方向性の1つは、軍役へのアプローチの刷新であるべきです。それはつまり、明確な奉仕期間を定めた明瞭な契約モデルの導入です。それは、様々なカテゴリーの国民の利益に関わるため、複雑なテーマなのですが、予測可能性と条件の平等こそが公平感を生み出します。
戦争は長く続いています。私たちは緊急の決定から、軍の充足に関する体系的なモデルへと移行しなければなりません。これには変化が必要です。
新大臣がそのような措置をとることに責任を持つ準備があることに、私は敬意を持って受け止めています。そして、改めて、詳細は控えたいですが、近い将来彼が新しいアプローチを提示することになるでしょう。
米国からの兵器及び軍事装備品の供給に関してウクライナが過去1年間直面している問題を考慮すると、欧州での調達を段階的に増やすのが妥当ではないでしょうか?
多元化は強靭性の一要素です。確かに、最近、自分たちの生産能力への投資という点で、欧州が徐々に「覚醒」しているのを目にしています。自分たちでまだ製造できないものは、最も近いパートナーから得た方が良いです。欧州での生産が増え、共同プロジェクトが増えるほど、政治的な揺らぎに対する私たちの脆弱性は小さくなります。それでもなお、米国は兵器のリストや供給の規模、特に防空手段において、引き続き重要パートナーです。
多くのパートナー国はロシアとの直接的な戦争に入ることを恐れている
あなたの考えでは、なぜパートナーたちは、ウクライナ西部の上空だけでも封鎖する(編集注:防空を担う)ことに未だに踏切れないのでしょうか? 政治的な声明とは別に、ロシアが本当にNATO加盟国を攻撃するかもしれないのでしょうか?
それは、難しい質問であり、パートナーたちに問いかけるべきです。しかし、率直に言えば、多くのパートナー国にとって、それは戦争への直接的な参入に対する恐怖です。私の立場は単純です。欧州での大戦争のリスクを減らす最善の方法は、ロシアの敗北を確実にすることです。
敵が少人数の襲撃グループで容易に浸透できないように、「キルゾーン」を拡大することはいつ可能になりますか?
その点では、用語を正しく理解することが重要です。「キルゾーン」とは特定の場所にある1つの区域ではなく、偵察、探知、迅速な意思決定、攻撃、結果のコントロールという、エコシステム全体を指すものです。
それは徐々に拡大しています。主に無人機の能力によってです。拡大は十分な速さでしょうか? もし敵が適応し、少人数の襲撃班や分散、あるいは「浸透」に移行しているなら、それは不十分であることを意味します。その点にはまだ取り組むべきことがあります。私の考えでは、「小さな」空を支配するためには、敵の操縦士に対してより積極的に活動する必要があります。解決策は既に開発されていますが、具体的なパラメーターや時期については公開の場ではコメントしません。
敵国内での情報作戦の効果は出ているが、即効性は求めていない
敵国領内での情報作戦の効率をどう評価していますか?
効果はありますが、即効性を与えることはできません。情報の影響は長期的に機能するものです。当局への信頼、動員への影響、代償を払う準備などに作用します。同時に、ロシアには強力な検閲及び抑圧機関があるため、急速で「爆発的な」成果を期待すべきではありません。重要なのは、体系的であること、真実であること、そして敵の社会的な痛みに的確に命中させることです。
敵は遮断されたスターリンクの代替を探している
ロシア人にとってスターリンクの遮断は、前線の状況にどのように影響を及ぼしましたか?
大仰な表現には慎重になるべきですし、ロシア側ですら正確な統計は把握していません。どのような形でも通信が制限されれば、無人機コントロールの効率や部隊の調整力が低下するのは事実です。これはフェドロウ氏のイニシアティブのおげであり、イーロン・マスク氏の対応のおかげです。しかし、敵は代替手段を探しています。彼らは適応しています。ですから、「魔法のような効果」は期待すべきではありません。これは通信と管理の領域における戦いの一要素です。
今日の戦争は通信の戦争でもあります。より安定した管理を持つ者が優位を得ます。
ロシア人は4個師団の創設を始めたが、人員を補充できていない
ロシアは新しい軍管区を創設していますか? どこに、いくつですか?
ロシアは既に2024年に、レニングラード軍管区及びモスクワ軍管区を創設し、構造を再生、再編しました。しかし、これは主に対NATOの方向性の強化として提示されており、心理的な側面の大きいものです。紙の上で軍管区を作るのと、それを訓練された人員、装備、物流で満たすのとは全く異なることです。さらに、創設された部隊が戦闘能力を獲得するまでには、まだ相当な時間が必要です。ここで、ロシアが2025年に15個の新師団を創設するという課題を掲げたものの、実際に創設し始めたのは4個のみであることを忘れてはなりません。それも、前線での多大な損耗のために人員を補充できず、能力の制限された形式的なものに過ぎません。
ゼレンシキー大統領は、ベラルーシが戦争に引き込まれるリスクがあると発言しました。あなたの考えでは、ロシアにとって戦略的に重要なのは、ベラルーシの領土を攻撃のプラットフォームとして利用することですか、それとも新しい前線を作り出すためにベラルーシ軍を巻き込むことですか?
プーチンにとっては、ベラルーシ領を圧力やミサイル配備のための便利な場所として利用する方が都合が良いです。しかし、既に「シャヘド」の通過経路としての活用や、無人機の飛行管理のための通信塔の利用が活発に行われています。
ベラルーシ軍の直接的な参入は、ルカシェンコにとってのリスクであり、戦闘価値も疑問ですが、圧力や揺さぶりの手段として、その脅威は利用されています。
あなたは定期的にパートナー国の大使たちと対話しています。ベラルーシの話題や「オレシニク」システムの配備の可能性は、それらの会話の議題になっていますか? また、パートナーたちはそれをウクライナにとっての地域的な脅威と捉えていますか、それとも既に欧州の安全保障の要因と捉えていますか?
はい、その議題は会話や私たちの記者会見で定期的に登場しており、大使館の代表者たちはベラルーシ領内への「オレシニク」配備の詳細について尋ねています。パートナーたちは、核弾頭の運搬体であるそのシステムのベラルーシ領内への配備が、彼ら自身、とりわけ欧州の西側パートナーたちにとっての脅威を目的としていることを十分に理解しています。
あなたは、2月10日の投稿で、パートナーたちとロシアのミサイルに含まれる外国製の部品や、あり得る制裁の決定について詳細に議論したと言及されました。ロシア側の兵器製造を困難にするために、ウクライナとパートナー諸国は何ができるでしょうか?
それは非常に重要なテーマです。ロシアの軍事機構は、マイクロエレクトロニクス、光学機器、工作機械といった輸入品の部品に大きく依存しています。したがって、最も効果的な手段は、単なる「全般的な」制裁ではなく、供給網のピンポイントな管理、二次制裁、輸出管理の同期です。それは複雑な作業ですが、成果を出しています。いくつかの供給網が切断され、彼らは他の供給ルートを探さざるを得なくなり、しばしばより質の低い部品で代用したり、あるいは一部の部品は全く代用できなかったりしています。ロシアが精密兵器を製造するのが難しくなるほど、大規模な攻撃の可能性は小さくなります。
勝利とは、ロシアがこれ以上ウクライナの人々を殺害できず、私たちの未来について命令できなくなる状態
2022年2月24日のことを思い出すことがありますか? どのような気持ち、感覚でしたか?
ええ、とてもよく覚えています。当時、私は米国にいて、米国陸軍指揮参謀大学で研修を受けていました。それは作戦計画や現代の戦争遂行のアプローチに関する高度な訓練を含む専門的なプログラムでした。私は一晩中眠れませんでした。メッセージ、電話、ニュース。戻るという決断は一瞬でした。迷いはありませんでした。私はウクライナ軍の兵士です。私の場所はウクライナにあります。しかし、戻るのはそう簡単ではありませんでした。米国側は、当然ながらすぐには戻らせたがりませんでした。公式なプログラムであり、手続きがあるためです。私は、ウクライナ軍総司令官からの公式な要請が必要だと言われました。私はその時、「全面戦争の初期に、どうやってそんな要請を見つかるというのだ? 今、誰が公式文書を作成できるというのだ?」と思ったのを覚えています。それから、私はただ電話をかけ始めました。知人や繋がりを通じてです。ようやく、陸軍司令官の番号を見つけました。状況を説明しました。戻らなければならないと伝えました。そこからは事態が早く動き始めました。それは完全に明瞭となった瞬間でした。あったのは、恐怖やパニックではなく、義務感でした。ただ待つことはできないと理解していました。未来がどうなるか、見当もつきませんでしたが、私がウクライナにいなければならないことだけは確実に分かっていました。
どんな戦争も、その長さにかかわらず、死、破壊、損失、消耗をもたらします。ましてや、現在数百万人のウクライナ国民が直面しているような戦争ならなおさらです。あなた個人にとって、軍人の伝統を持つあなたの家族にとって、侵略者に対する勝利とは、何を意味しますか?
「勝利」とは、感情的な一場面でも「ある一日」でもありません。それは、ロシアがもうこれ以上私たちの人々を殺害することができなくなり、私たちの未来を命令することができなくなる状態のことです。それは、安全の保証、強い軍隊、犯罪に対する正義、被拘束者や連れ去られた児童といった、私たちの人々の帰還を意味します。軍人の家族にとっても民間人の家族にとっても、「勝利」とは単純なことを意味しています。子供たちが空襲警報の音を生活の当たり前のことだと思わずに育つことです。
そして、ウクライナが支払った代償が、新しい戦争の前の一時休止ではなく、長い平和に変わることです。